有料で地震予測をメールで配信する『ブレイン地震予報』というサービスがあります。
地電流、低周波音、地震活動の推移などで地震予測を行っていると主張し、『予知するアンテナ』というサービスにも地震予測を提供しています。つまり、事実上『ブレイン地震予報』と『予知するアンテナ』は、現在同じ地震予測を提供しています。
※なお、『予知するアンテナ』は当初、早川正士・電通大名誉教授による地震予測を有料で提供していましたが、なぜか早川正士氏が途中で『予知するアンテナ』に地震予測を提供するのをやめてしまっています。
ところで、この『ブレイン地震予報』(『予知するアンテナ』)が、9月6日に北海道で発生した胆振東部地震(M6.7)を予測成功していたのではないかと、一部で話題になっているようです(たとえばこちら)。それでは、実際のところどうだったのか、検証してみましょう。
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『ブレイン地震予報』(『予知するアンテナ』)が、9月6日の胆振地方東部地震の発生直前までに発表していた地震予測は、以下のとおりです。

(『予知するアンテナ』サイトより引用、青矢印は当ブログで描き込み)
…確かに、8月17日に「北海道南部で危険度「中」」という予測を発表していた(青矢印)ことがわかります。
しかしながら良くみますと、実はほぼ同じ時期に、中国地方西部や東北地方北部などに対しても、同じ規模の地震を予測しており、北海道南部だけを言い当てたわけではないことが分かります。
また時期についても、1ヶ月に2~4件のペースで、年がら年中「危険度「中」」という地震予測を次々と乱発していることが分かります。そして、そのような乱発にもかかわらず、6月18日に大阪府北部で発生したM6.1の地震(最大震度6弱)については、全く予測できていません。
そもそも、彼らの言う「北海道南部」とは、下図に示すように実に広い領域であり、胆振地方東部をピンポイントに予測したわけでも何でもないことも分かります。つまり『ブレイン地震予報』は、このような広い予測円で、常に日本の2~4箇所を覆っているということです。

(10月5日「MAG2ニュース」より引用)
以上のことから、『ブレイン地震予報』に有意な地震予測能力があると言うのは極めて疑わしく、常日頃から連発している地震予測のひとつがたまたま当たっただけ、のように見えます。
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また、『ブレイン地震予報』は、自己検証の結果として「予知成功率80%」と宣伝しています(下図)が、これも極めて疑わしい数字です。

(『ブレイン地震予報』ホームページより引用)
『ブレイン地震予報』がどのように自己検証を行っているかは、こちら(もともとの提供元名である静岡地震防災研究会のブログ)で見ることができます。これを見ますと、危険度「中」(M5以上)として発表した予測に対して、気象庁マグニチュードがM5未満の地震しか起きなかった場合には、MwやMbという計算方法が異なる別のマグニチュードを持ってきて無理やりM5に到達させて、「予知成功!」とカウントしていることがわかります。非常に不自然な自己検証であると言えます。
また、上述のとおり、ひとつひとつの予測領域が極めて広いため、「北海道南部に中規模地震」と発表した予測に対して、浦河沖で地震が起きようが、色丹島で地震が起きようが、「予知成功」とカウントしていることも分かります。要するに、胆振東部地震のような大きな地震が仮に起きず、たとえば色丹島でM5に届かないような小地震しか起きなかったとしても、彼らは「予知成功」と主張していたという事です。
こういう人達が言う「予知成功率80%」という自己検証は、率直に言って何の当てにもならないと思います。
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以上のとおり、『ブレイン地震予報』には有意な地震予測能力は今のところみられず、「地震予測を乱発し、当たったものだけを後から選んで取り上げて宣伝し、自己検証も極めて甘い」という、世の中にはびこっている典型的な地震予測サービスのひとつに過ぎないと思われます。