元世翬の気学観測

運気の流れを気学で読み解く

「元世翬の気学観測」第百話

2024年04月30日 | 気学よもやま話
〔5月の運気〕

 2025年は気学的に見て非常に大きな節目となる年です。36年前に訪れた同じ巳の二黒土星年とは大きな違いがあります。なぜなら運気とは流れに意味があり、この流れでこの十二支と九星を迎えるということに特別な意味があるからです。2025年の変革は今年我々がいかに自己変容を遂げるかにかかっています。この自己変容は今までの世の中の価値観から完全に離れ、自分独自の価値観と視点を持ち、世の中を見ることができるようになることです。こうして初めて政治も経済も文化もアカデミズムも、正しい視点を持つ国民に主導権が移っていくものと考えます。
 2025年の転機を迎えるにあたり、5月の国民の動きは一つの試金石となります。5月は来年の十二支および九星と同じ巳の二黒土星が中宮に入るからです。5月のポイントは国民がすべての決定権を握るという点です。その伏線として組織の利害に挟まれた一国民が良心に基づき意思表示する動きが出てきます。そこに真実を究明する九紫火星と、情報伝達を司る四緑木星が協働し、国民を意味する二黒土星の意思表示を促します。四緑木星には天道のエネルギーが加わり、世間の人々が方々で真実の情報に触れ、これを異口同音に口走るようになります。5月に起きることは2025年に起こり得ることの縮図と言ってもよいのです。さらに5月から6月、7月と国民の力が安定的に増し、7月には幹部の交代による組織の刷新が起きてくることでしょう。


〔世の真相を見抜く〕

 世の中の真相は決して表には出てきません。易は裏を見よと教えていますが、世の真相は裏に隠れており、裏を見て初めて表の取り繕い様が分かってくるのです。気学が捉える事実認識は離宮(りきゅう)に存在し、その事実認識を裏付けする真相は対極の坎宮(かんきゅう)に存在します。離宮にはすべての人が共通して認識できる事実が現れ、坎宮はその人しか知らないこと、その人のみの事実が現れます。その人のみの事実とは心の動きであり、心が捉えていることです。心の動きは他人には見えませんし、いくら説明しても客観的に理解することは出来ません。この世界は初めから表と裏の見え方が違い、置かれているスタンスが違います。
 では心の動きは外から確認することは出来ないのでしょうか。その動きは見えなくとも形に現れたものは確認することができます。気の世界は物質化という現象がありますから、例え心の動きが見えなくとも、その心の動きが行動になり、行動は物質を動かし、それが形跡として残ります。ここに至って初めてその人の心の動きを推察することができるようになるのです。例え真相は表に現れなくとも、表に現れた形から裏の心の動きや考えの中身を推測するということは可能です。
 今世の中で起きていることの真相をどれだけの人が理解しているでしょうか。多くの報道は確かに世の中の様々な出来事を伝えていますが、それは表の報道であり、決して裏の真相を伝えているとは言えません。世の中の真相はすべての人が自分自身の推測によってしか分かり得ないのです。今世の中で常識とされている事のどれだけが真実を言い当てているでしょうか。私たちの行動の規範はどれだけ真実に沿ったものなのでしょうか。今一度立ち止まって考えてみる必要があります。
 今現時点で正しいと思っている物理法則が数十年後に書き換えられている可能性はあります。今当たり前とされている治療法が、数十年後には完全な誤りであったと認識される可能性は十分あります。今当たり前とされている歴史が、数十年後には科学の進歩と新事実の発見により、まったくの誤りであったと認識される可能性も十分あります。では私たちは何を根拠にこれらのことを学んでいるのでしょうか。誤った認識をもとにどうやって日々を生き抜くことができるのでしょうか。
 世の真相をきちんと知っておくということは、私たちが地に足を付けて生きていくうえでの第一条件となります。誤った事実を受け取ったままで、どうして上手く地に足を付けて進んでいけるでしょうか。世の中の不自然な出来事や物事の進め方を見れば、真実が多分に歪められていることに気付かなければならないでしょう。
 世の真相をきちんと理解することと、自分の人生を自分軸で打ち立てることは同じことです。他人が作った価値観で世の中を見ている限り、自分の命運を本来の形で活かすことは出来ません。自分軸とは自分の思いと自分の真実が裏付けになっている価値観です。それがある限り、外に現れている光景に惑わされることはありません。自分軸がきちんとできると、自分の視点によって世界をしっかり見ることができるようになります。そこでは他人の価値観に揺り動かされることはありません。他人の見方を気にすることもなくなります。自分がどう感じたか、どのように認識したか。そのことのみが真実を見抜く目となります。
 自分軸でその価値を見抜き表現したものはすべてオリジナルの作品となります。オリジナルとはその人の真相が形に現われたものです。自分軸をもってオリジナルのものを世に作り出していく。ここに至ってはじめて世の真相が明確に見えてくるものと私は考えています。


〔運勢学を必要とする時代へ〕

 2024年以降はおそらくすべての人が何らかの形で運勢学を必要とする時代になっていくでしょう。なぜなら2025年という運気の節目に当たり、私たち一人一人が自分の価値観を持たなければどこへ進んでいったらよいか分からなくなるからです。そのためには今までとは異なる視点から自分を見つめなおすための学問がどうしても必要になります。運勢学を何らかの形で持っていないと、今後の我々の歩みはおぼつかなくなると私は考えています。
 運勢学は宇宙の法則を掴み、我々の人生との関係性を示し、自分の歩み方を発見する意義を示しています。残念ながら既存の学問ではこれを補うことはできないでしょう。既存の学問は意図的な社会形成のために構築された意が強く、宇宙の真理そのものに焦点を当てていないからです。もちろん既存の学問も物理や数学のように、究極のところは宇宙の法則に繋がるものもありますが、それが人事に降りてこない以上、やはり学問としての限界は明らかなのです。
 本当の学問は何を探究しても必ず宇宙の法則と人事が繋がります。気学にしても、その基盤となっている易学にしても、常に宇宙の法則と運気の繋がりを明らかにします。気学が示す後天図は宇宙の法則の基本的原理を示していますが、この原理が分かると、暦を用いてあらゆる人事に応用できるようになるのです。本当の学問は具体的事象であれ、抽象的事象であれ、何を尋ねられても人事すなわち人が抱える悩みや問題に対して客観的に答えられるものでなければなりません。

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 自分の運勢を知るということは、自分を客観的に知るということであり、それは自分という存在が周囲との繋がりと協調の中で保たれていることを知ることでもあります。運勢学の基本は自分を知ることですが、それは謙虚になることと言い換えることができます。運勢学を極めた人はその時点から自分を前面に出そうとしなくなり、身の回りとのバランスを考えるようになります。それがいかなる微細な事柄であってもその偏った部分を見抜き、その行く末を按じ、自らの言動を自らの力で矯正していきます。
 運勢学はそれぞれの人が持つ命運を明らかにし、その命運に合致した歩み方を示してくれます。言い換えれば自分の命運から人生の目的を掴むことができるのです。そのために運勢学はそれぞれの人の現在地を示し、その道筋が本来の道筋と合致しているのかを明らかにしてくれます。
 運勢は自立によって成り立ちます。命運は自立するエネルギーによってしか正しく起動しません。誰一人として自分以外の命運に立ち入ることは出来ません。もとより命運はその人のみが顕現させることのできるエネルギーであり、その人のみがハンドリングできるものです。宇宙は干渉を欲しません。干渉は偏りに加担します。自分で選び自分で決断するということが、宇宙の循環に与する極めてシンプルな作法になるのです。
 運勢学を一つ持つことの意義は、本当の自分を知り、自分の価値観を持ち、自分の力で生きていくことにあります。それが本当の意味での自立であり、周囲の動きに流されない自分の確立なのです。自分が確立すると何ものにもぶれない生き方ができるようになります。そして自分の価値観の軸から外れた判断や行動をしなくなります。それは同時にいかなる時も本当の自分を表に出して歩いて行けるという自信に繋がります。
 運勢学は数か月、数年ではとても習得することは出来ません。本当の運勢学を自分のものにするためには一生涯の研鑽が必要です。もとより学問とはそういうものです。学問は必ずその都度新しい見識が加わり、他の学問との整合性を得ながら、進化していくものです。深く掘り下げれば掘り下げるほど、その都度次の扉が開き、次の課題へと進んでいくのです。
本当の学問を究める道に入ると、これをやることに何の意味があるのだろう、これが何の役に立つのだろうと言った疑問が湧かなくなります。なぜならそれを探究していること自体に価値があると感じるからです。
 運勢学は成果という俗世の利害から隔絶しています。なぜなら宇宙の法則そのものを探究することが最終目的だからです。だからこそすべての事象に応じることができるのです。すべての事象に応じることができるからこそ、すべての出来事が同じ法則の元に動いていることを見抜き、人の躓きもこの法則から外れた時に現れるのだと見抜くことができるのです。





                                      浅沼気学岡山鑑定所

「元世翬の気学観測」第九十九話

2024年03月31日 | 気学よもやま話
〔4月の運気〕

 2024年の十二支は辰、九星は三碧木星です。そして4月の十二支は辰、九星は三碧木星です。今月は年盤と月盤において同じ十二支と九星が重なります。そして八白土星においては同じ吉神の同会が生じます。これは特別なエネルギーの発現の可能性を秘めており、いわば今年最も注目すべき月であると考えることができます。天道という能力活性化のエネルギーは今年八白土星と七赤金星に降臨しています。今年、離宮(りきゅう)に同会する七赤金星は価値観の変容をもたらし、我々の意識の覚醒を促します。また坎宮(かんきゅう)に同会する八白土星は技術継承と世代継承をもたらし、自己変革の糸口としてその道の達人から直接技術を伝授するという幸運をもたらします。特に八白土星は坎宮という水面下での動きとなるため、表には出ませんが個々人の内面に確実に変革をもたらします。いずれの九星も今までの自分を作り替えるというエネルギーに満ちています。4月は多くの人の内面を変革させることでしょう。このテーマは次年度以降の時代変革に引き継がれていきます。
 中宮の三碧木星は雷のごとく世間を轟かすような出来事を引き起こします。眠っている人を起こし覚醒させる働きが三碧木星の役目です。そして三碧のエネルギーは世の中を一気呵成に変えていきます。その原動力として国民を意味する二黒土星が権力側に対して力を結集し具体的な退陣を要求します。これに対し権力側はこの力にまともに対処する力がなく、逃避または退陣を余儀なくされます。
 2月から5月への流れは2022年から2025年の流れと本質的には同じ流れになります。この3年間は最も重要な変革のタイミングとなり、2025年の国民主権への移行を覆しようのないエネルギーで押し寄せていきます。その大きな節目となるのが4月です。


〔完全性の自分で結びつくということ〕

 気学から見て人と人との結びつきには二つの方向性があるように思います。一つは互いの最も優れた部分で繋がっている縁。もう一つは互いのエネルギーの欠落部分で繋がっている縁です。二つの結びつきの内、どの結びつきが良いかというと、これは一概には言えない所があります。なぜなら人と人との結びつきはその時に出会う意味=縁があり、その縁に導かれていることがあるからです。つまり出会いの意味がある時、それは良し悪しの評価を越えているという見方もできるからです。その上で強い結びつきと弱い結びつきの違いはどこにあるのかについて気学の観点から述べてみたいと思います。
 気学的な見地から捉えると、強い結びつきとは互いの良き点を伸ばしあい協力関係を築くことのできる縁です。強い結びつきは余計なエネルギーを必要としません。すべてにおいて無理がなく自然体で付き合うことができ、これは途切れることがありません。一方弱い結びつきの縁はエネルギーの欠落部分があるため、互いの結びつきを維持するために余分なエネルギーを必要とします。そして波長が合わない部分を補うために、しばしば相手に要求し相手を変えようとします。このため弱い結びつきの縁を維持するためにはストレスを抱えざるを得なくなり、エネルギーの調整を行う過程で断絶を余儀なくされます。
 ではなぜ波長が合わない人同士が結び付くのでしょうか。それは自分の不足している部分を相手が補ってくれると感じとるからです。自分に弱みがあると自覚している人は、往々にして自分の欠点を補ってくれる人を強く引き寄せます。これは一見自分の不足を埋めてもらうことで一時の充足感や安心感は得られます。ところがこの結びつきは元来エネルギー的にバランスが取れていないため、過不足を補い続ける必要があります。エネルギーのバランスのみに焦点を当てると、自分が不足している部分を補おうとしても、不足の部分が完全に埋められることはありません。不足する部分は一時的に補うことは出来ても、時とともに再び不足の状態に戻ります。命運が持つエネルギーの欠落部分は過不足が繰り返し生まれる部分でもあり、その不足を補い続ける必要があるのです。ですから互いの心を繋ぎとめておくために余分なエネルギーを必要とし、関係性を維持するために大きなストレスを抱えることになります。 
 良縁とはその人の最も優れたところを活かす形で結びついている縁です。これを完全性の自分と私は捉えます。良縁は自分の最も良い点を褒めてくれる人、見抜いてくれる人、応援してくれる人、励ましてくれる人との結びつきです。この縁は時に先生と生徒の関係となり、上司と部下の関係となり、友達関係となり、夫婦関係となります。いずれの形になろうとも、良縁は自分のエネルギーを高め、自分の可能性を広げてくれます。また良縁は周囲との調和を形作り、人間関係の安定性、生活基盤の安定性、生きやすさ、暮らしやすさをもたらしてくれます。
 気学的な理想の縁とは良縁で結びつくことです。ただ人にはそれぞれ人生の歩み方において、自分の命運が現れます。その命運の中で“不足の自分を補ってくれる人と歩む“というテーマを選択すれば、その人はそのように歩むことになります。一方自分は自分の最も優れたところを伸ばしてくれる人とともに歩むというテーマを選択した人は、そのような人を見つけ、その人とともに歩んでいきます。どういう人とともに歩んでいくかというテーマはどのスタイルが正しいかではないのです。その人が選んだテーマに沿って歩んでいくのですから、その人が選択したテーマがその人の人生となり、その人の歩み方になるのです。そして人生の歩み方は命運に従いながらも、自分自身がその都度選択し決めることになります。
 その上で気学から申し上げられることは、良縁は自分の可能性を広げ、想定以上の成果を上げることができ、それが周囲との調和を築き上げ、互いの生活を豊かにするということです。そして宇宙はどのような縁を応援しているかというと、不足を補おうとする縁ではなく、互いの最も優れたところを引き出しあう縁です。宇宙は調和と永続のために動いています。それ故バランスの崩れた部分は暦通り行き詰まり、破綻し、バランスの取れた部分は暦通り発展し、成就し、続いていきます。


〔自分の表現に戻る〕

 自分という存在を表現する上においては、自分にしかできない表現をすることが大切です。自分にしかできない表現には様々な形があるでしょうが、いずれにしても自分の内側から出てきた表現は自分独自のものです。それは自分の中で既に消化され統合された表現であるため、独創的で他の誰にもできない表現になります。自分独自の表現は他の誰の表現とも競合することはなく、そのエネルギーが薄らぐことはありません。
 世間ではより広くより強く世間にアピールすることを優先するあまり、SNSにおいて拡散力のあるツールを用いようとします。これは気学から判断するとメリットとデメリットがあります。気学では最も目立ち最も人の出入りの激しい空間を震宮(しんきゅう)とします。震宮は最も短い期間で成果を出すというメリットがありますが、その反面、最も競争が激しく、その影響力と持続力は最も短いと判断します。つまり一瞬にして広がり一瞬にして消える。これが震宮の特徴です。
 その人固有の世界、独創性、価値観が存在する坎宮(かんきゅう)は、その人のみが入ることのできる空間であり、決して競争にさらされることはありません。その宮に入る条件はアピール力ではなく、本来の自分に戻ることです。本来の自分にきちんと戻り、そこに鎮座し、そこから動かない人のみが自分固有の表現ができるのです。
 どういう形で表現するかは人それぞれです。坎宮の表現はしっかり自分で考えたことを書くことが基本です。それは書いてすぐに表に出すのではなく、しっかり校正し、何度も読み返し、本当の自分をその文章に沁み込ませてから世間という表に出すのです。
 坎宮は最も目立たない場所にありますが、一番長く影響力を及ぼします。本当の独創性は水面下で育ち水面下からシグナル(坎)を発します。そして本当の自分から出た表現は時を経て天道の一白水星となり、その表現を求める人の心にしみわたる慈雨となって降り注ぐことになるのです。


〔七赤金星時代の到来〕

 2022年より七赤金星の時代が訪れていると私は繰り返し述べてきました。その意味は世の中をあらゆる面で住み心地よくしていくということです。その原動力を七赤金星が担っているのです。七赤金星の本質は喜び、程よさ、快適さの追求です。そのために世の中の無意味な慣習やノウハウ、固定観念をことごと省略し廃していきます。それはただ廃するだけではなく、最も効率の良い方法を導入し、また誰の手も煩わせないようなシステムを導入します。そして最終的にはすべての人が苦手意識を持つことのない世の中に変容させます。七赤は利便性、合理性のみをもたらすのではなく、そこに面白さ、楽しさ、明るさを組み込み、和気をもたらします。これが七赤の本当の役目なのです。
 七赤金星にはそれぞれの人が持つ才能を見つけ、その才能を皆の前で発揮させるという働きがあります。七赤はその才能の活かし方を教えます。それは既成の価値観にとらわれず、その特技そのものの面白さをピックアップします。面白さは人を呼びます。七赤がもたらす喜びには我々が生きるための根幹のエネルギーが含まれているのです。
 七赤金星はその特技を持ちより、交換することで衣食住を成り立たせます。個々人が持つ才能には本来的に我々の衣食住に不自由させないエネルギーがあります。言い換えるとその人が持つ固有の才能をきちんと発揮する限り、その人は衣食住に決して不自由しないというのが気学的な法則でもあるのです。そういう社会を築き上げ、整えるのが七赤金星の働きでもあります。
 職業とは世間から認められた仕事や組織に従属することではないのです。七赤金星の本来的な意義は才を発揮する自由であり、いかなる特技でもそれを富に結び付けることのできる容易さです。七赤時代が今後我々の社会にもたらすものは、いかなる特技やいかなる才能も、それを必要とする人に宛がわれるということです。それが何の役に立つのかではなく、それを面白いと思ってくれる人がいるということ、それ自体が七赤の富をもたらす絶対条件になります。七赤の“面白い”は人を集め、その才能を発揮させ、その才能を伸ばします。それが七赤のもたらす本来的な富なのです。
 私は鑑定で事あるごとに”物事を始める時は常に喜びから始めて下さい”とお伝えしています。この意味は七赤を動機にして始めてくださいということです。これは言い換えると不安、心配、恐れ、打算のような負の感情から始めないことを意味します。負の感情はエネルギー的な欠落から生じており、いずれ暦の特定のタイミングで断絶します。
 気の世界は始まりが途中及び終わりの形を決めます。七赤すなわち喜びから物事を始めると、暦の変化運に上手く乗っていき、いつまでもそのエネルギーが続いていくのです。七赤は人を集め、それぞれの人が持つ才を発揮させ、最終的にはあらゆる分野の才を集め、そこに集まる人々が衣食住に不自由しない空間を作り上げます。 
 七赤時代が今作り上げていることは、それぞれの人が生まれながらに持つ才能を発揮させること、その才能を見出し、それを必要とする人に出会わせ、その喜びのネットワークを築き上げることです。七赤が作り上げる共同体は、最終的にはその集まりで日常生活のすべてが賄えるというレベルに達します。そういうネットワークや共同体が無数に発生する時代が既に到来しています。





                                浅沼気学岡山鑑定所

「元世翬の気学観測」第九十八話

2024年02月29日 | 気学よもやま話
〔3月の運気〕
 暦に掲載される年盤と月盤は地球の気象を現わすものであり、その科学的な根拠をもとに気象判断を行うことができます。3月盤の形は昨年2023年の年盤の九星および十二支の配置と一致します。従って昨年起きたことの要点が3月に再び浮上してくると解釈することができます。昨年の運気の特徴に国民の動きが活発化し、政府が妥協せざるを得なくなるというポイントがありました。従ってその動きがこの3月に再び顕著に現れてきます。既にこの動きは欧米諸国の抗議活動に現れています。この流れは5月にピークに達し、政府を現わす六白金星がその地位と面目を完全に失い、補償を余儀なくされるという流れに向かっていきます。今年の国民運動は組織化することに特徴があり、交渉を通じて政府が国民の要求に応じざるを得なくなる形があります。また六白金星にはエネルギー供給の意味があります。世界情勢の不安定化によりエネルギーを輸入に頼る国はエネルギーの確保に支障を来す可能性が出てきます。
 3月は全体的には新しいことに踏み切るタイミングではなく、従来の流れに沿って動くことが求められます。中でも一白水星は日常生活を意味する坤宮に天道という能力活性化をもたらすエネルギーを伴い同会します。一白は先を見越して準備しておく特徴があることから、事前に起き得る災害や生活の混乱を見越して生活環境の守りを固めます。まずは家内を整え衣食住を整えることです。“備えあれば患いなし”。これが3月の心構えになります。

〔2024年は自己変容の年〕
 2024年は三碧木星というスピード感と決断力のある九星が中宮に入り、周囲の九星を動かしていきます。その中で八白土星と七赤金星に天道(てんどう)という九星の能力を活性化させるエネルギーが入っています。八白土星は変革と技術継承を使命とする九星です。今年の八白は自己を意味する宮に入っているため、自分を変革するすなわち自己変革を促すエネルギーが充実してきます。また八白には先祖や先代、師匠から弟子へ伝統技術を継承するという役目があります。今年は師と弟子の関係を築く上で強いサポートが得られるという特徴があります。
 七赤金星は衣食住の安定、喜び、楽しみ、励みをもたらし、意識を変容させる九星です。その七赤金星が今年は離宮という価値観を司る宮に入ります。七赤金星は緩みと柔軟性をもたらす働きがあるため、今までずっと持ち続けてきた個々人の価値観が変容していきます。価値観の変容とは他人軸で作り上げてきた価値観が自分軸に移っていくことを意味します。他人軸の価値観とは我々が学校あるいは世の中から常識として教わってきたこと、しきたり、慣習によって当たり前のことと考えてきたことです。これらの価値観は現在も尚有意義な働きをしている部分もありますが、同時に時代の変遷を経てむしろ我々の可能性を抑制してきている部分もあります。自分軸で考えるようになると、同じ決断や選択をする場合でも、自分の本当の思いに従い、自分の命運に沿った決断ができるようになります。
 自己変容をもたらす七赤金星は喜びのエネルギーで、物事を始める時のモティベーションの柱になります。喜びから始めたことはいつまでも喜びを維持したまま続きます。生活のため、安定のためという判断は物質世界特有の判断基準です。その物質世界は法則通り劣化しいつか消滅していきます。物質世界の価値観は変化スピードの遅い時代においては確かに有効に働いていました。ここ数千年はこの価値観が非常に有効に機能していたのです。それが2020年のパンデミックによって大きく変化し始めました。
 今我々が直面している時代の大きな流れは、2025年に向けて大きなうねりを作っています。その大きなうねりとは我々自身に世界を再構築する役割が巡ってくるということです。つまり我々国民が世界の方向性を決めるという今までにない流れがやってきます。この流れは集団の力によってなされるのではなく、一人一人の心の変容に委ねられています。その心の変容が2024年の我々一人一人に起きることです。暦はこの絶好の機会が訪れることを示しています。

〔運気は法則通りに展開し可能性も法則通り巡ってくる〕
 気学は非常にシンプルで明解です。その人が直面している事柄に対し、その人の歩みに出来るだけ干渉せず、時宜に合わせたアドバイスが行えるのです。その根本にあることは、いかなる時も進む道は自分自身が決めるということです。気学はそれぞれの道で起きうることを示すことは出来ても、その人が歩む道を決めることは出来ません。決めるのは常に自分です。この自分で決めるということが命運の力を発揮させる第一歩になることを強調していきたいと思います。
 一方、運気は自分の意思だけで決まるものではなく、暦が示す宇宙全体の気の流れの中で決まっていきます。目の前に現れる様々な問題はその都度運気の流れに従い、具体的な形に現れ、対処する局面、退縮していく局面へとい向かっていきます。気学が示し得ることは、あらゆる難局も必ず暦に従い解消していくということです。塞がった道に入り込み、到底抜け出すことは出来ないと感じた時も、暦にはきれいに整った道が記されています。難局から抜け出すにはまず自分の現地点を確認し、自らが置かれている状況を客観的に知り、タイミングを図り、そしてエネルギーのきちんと整った道に切り替えることです。この切り替えは世の中の出来事すべてに当てはまります。行き詰まっているのは部分であり、全体は決して行き詰まっていません。つまり行き詰まった時もどこかにスムーズに通っていける道があるのです。行き詰まりは自分が持つ気の中で“こうでなければならない”と拘っている部分に生じており、これが先行きを塞いでいると気学では考えます。
 気の世界には常に表と裏があり、例え表が塞がっていても裏は全くことなる局面が展開しています。そして立ち塞がっていると思っていても、救いの手が差し伸べられている道は常にあります。その道は今目の前に現れていなくとも、暦のタイミングに従い必ず目の前に現れてきます。暦はその人の立ち位置を正確に示しています。これが意図するところは、その立ち位置にふさわしい振舞い方があるということです。行き詰まった現実と筋道が整った現実は常に並行して存在します。自らがその整った現実にチャンネルを切り替えられるかどうかが問われているのだと思います。地球が規則正しく起動している限り、運気は法則通りに展開し、可能性も法則通り巡ってきます。





                                    浅沼気学岡山鑑定所

「元世翬の気学観測」第九十七話

2024年01月31日 | 気学よもやま話
〔2月の運気〕
 2月4日は暦上の年の始まりです。そして運気というものはすべてにおいて始まりが最も重要です。その始まりがどういう形で始まったかによって、途中および終わりの形が決まってくるのです。今年の2月は個人の自立と新しいことを試みるエネルギーラインに光が当たっており、現状維持を意味するラインに障害を伴う気が入っています。
 2月は五黄土星というゼロから作り上げるエネルギー体が暦の中央に入り、九紫火星が天道を伴い定位の離宮(りきゅう)から五黄土星を正しい方向へ導きます。十二支においては寅のエネルギーが旺盛となり、旧体制を捨て、新しい道を切り開くように進んでいきます。これらの配置を総合的に分析すると、今年は現状維持で進める部分は限られており、新しい道をそれぞれの人がゼロから切り開く年になります。特に2月の九紫火星は善悪を見極め、真実を自分の目で確認し、万民の救済に向かいます。五黄土星と九紫火星(天道)の組み合わせが未解決問題を浮上させ、腐敗したものを表に出し、解体と浄化をもたらします。2月は政治、経済その他あらゆる分野の矛盾と問題が浮上する中、九紫火星による成敗が光る月となります。
 2022年から始まった七赤金星の上昇気流は今年頂点に立ちます。離宮に同会する七赤金星の意味は個々人が持つ価値観の変容です。すべての九星は今年何らかの形で七赤金星の影響を受けます。七赤金星は自分の内側の変容によって外部環境を変えていくエネルギーです。自分の考え方や見方を変えることによって、より歩みやすい道、より通りやすい道を選び、自分に合った道をそれぞれに進んでいくようになります。

〔本命世界と月命世界の価値観〕
 2024年は本命と月命のバランスがより一層問われてくる年になります。今まで繰り返し本命と月命の違いについて述べてきましたが、本命世界の基本は物質世界であり、目に見えるものによって我々が動かされていく世界です。本命世界では地位、名誉、肩書、権威が価値の基準となり、蓄財を含めた物質環境によって生活の安定が保証される世界です。
 これに対し月命は非物質的な世界で、個々人の精神性、情緒、感性が重んじられ、生きがいが生活のモチベーションとなって動いていきます。月命世界はその本命世界とタイアップし、自分の生きがいを反映させていくために本命世界が作る環境と歩調して動いていきます。けれどもその関係は月命が本命の基盤に助けられることもあれば、本命環境の向かう方向性に縛られる側面もあります。今置かれている世界の状態は本命世界の価値観に大きく傾き過ぎ、本命世界の環境的制約に収まる形での生きがいの現実化に留まっているように思います。
                    
〔命運の傾斜が語ること〕
 本命世界と月命世界のバランスは気学における傾斜(けいしゃ)に現れます。気学で捉える傾斜は月命九星から見た本命九星の位置によって決まります。この傾きは月命が本命の位置する環境に傾いていくということを意味し、月命が主導権を握っているようでも、実はその裏で月命が本命の環境に引っ張られ、人生の方向性を定められているという解釈も成り立ちます。この解釈はある意味で正当な解釈ですが、宇宙の法則から捉えると十分ではないと指摘できます。つまり宇宙は一方に偏り続けることがないからです。気の世界は必ず陰と陽のバランスを取ろうとします。従って一方への傾斜があれば必ず逆に動こうとする力が発生します。月命が本命に引っ張られるのであれば、本命も月命に引っ張られる関係になります。つまり二つの命運はバランス状態にあるのが本来の姿と捉えるのが宇宙の法則に適っています。
 本来の命運のバランスは波動の高低差から、本命世界が月命世界を下支えし、バックアップする形によって安定性が生まれてきます。本命世界が月命世界の方向性を決めるのではなく、月命が志向する方向性を本命世界が裏から支えるのです。この関係性はある時は本命が良き伝統を守りながら月命の行き過ぎた革新を抑え、またある時は月命が本命の行き詰まった環境を革新するようになります。こうして二つの命運は互いの特性を活かし、歩調関係を取り、陰陽のバランスを取っていきます。そうであってこそ本命世界が持つ物質の堅実さと安定性が月命世界に活かされていくのだと私は考えています。

〔本命世界の虚構〕
 2020年のパンデミックによって世の中の方向性は明らかに変わりました。それは既存の価値観が崩れ去るとともに、個々人が自分の価値観に目覚めた年でもありました。こうして本命世界が持つ地位、名誉、肩書は今までのような意味をなさなくなり、今まで信じて疑わなかった権威、権力に多くの人が容易に従わなくなるようになってきました。本命世界が堅牢に築き上げた価値観は既に崩れつつあり、蓄財の量で生活の安定を図ることは出来なくなっています。
 本命世界が持つ堅実さと安定性は、その虚構が顕わになり崩れ去ろうとしています。今起きている政治と経済の混乱は、物質世界に価値を置き過ぎた究極の姿です。物質世界は時代の流れとともに老朽化し、何れ消滅していく世界です。我々は今本命世界の虚構を目の当たりにし、月命の生きがいをどのように実現していくかを探り始めています。 

〔2025年は決着点であり分岐点〕
 暦の流れを観ると、この時代のうねりは2025年に一つの決着点を迎えようとしています。ここから大きな命運の分岐点を迎えます。2025年は国民を意味する二黒土星が中宮に入り、政治、企業、金融、公共、平等を意味する六白金星が離宮という規範の位置に入ります。これによって2025年は一部の権力者から国民に主導権が移り、政治・経済・貨幣の理想の姿が打ち出されるようになります。六白の虚構は既に剥がれ落ち始めています。2025年から2026年にかけて真正の六白が姿を現わし、国民の支持を得、虚構の六白は沈みゆく運命とともに表舞台から姿を消していきます。
 2024年から2025年にかけて現れてくる世界の変容は、本命世界から月命世界への脱皮と言ってもよいかもしれません。ここから本命世界は月命世界を裏から支えていくよう、本来のあるべき姿に変わっていきます。本命世界の本来のあるべき姿は生きがいを現わす月命世界を物質世界から支えていくということです。
 月命世界が主導権を握る世界では本命世界の地位や肩書や権威や財力が今までのようにものを言うことはありません。月命世界の豊かさとは個々人の価値観に沿った生きがいの実現であり、それは外から評価できるものではないのです。その生きがいは自分のみならず他人の生活を豊かにし、世の中の利便性を向上させ、貧困という状態を無くしていきます。月命世界に今までのような貧困はありません。月命世界の豊かさとは個々人の生きがいを仕事にすることによって築かれ、それは物質的充足ではなく精神的充足に向かって行くからです。月命世界は本命世界の援護を得ることはあっても、今までのような物質的不均衡に身を置かれることはないのです。

〔自分の価値観を構築する〕
 この意識の変化は自分自身の価値観が確立していて初めてなされるものです。価値観は今までのように本命世界が提供してはくれません。外からもやってきません。自分自身が何に価値を置くか、それがすべてです。その価値判断は自分が行い、自分が結論を出し、その評価も自分自身が行うのです。答えはどこにもありません。点数をつけることも出来ません。優劣をつけることもできません。自分が価値ありと思えばそれが価値となり答えになるのです。
 生活のために働く波動が強ければ強いほど、命運は本命主導に傾き、既存の社会の価値観に従属し、物質的拘束と環境的制約を受けながら生活するようになります。そして本命世界で主導権を握る権力、権威、肩書、地位、名声が相変わらず世の中を支配し、貧富の格差を広げながら世界を過度な競争と対立構造へと導いていきます。
 一方月命世界に軸を移動し自分の価値観を構築した人は、月命の波動に乗ることで夢や理想の実現が今まで以上に早くかつ容易になり、本命世界とは異なる豊かさを手に入れるようになります。繰り返しになりますが、本命世界の役割がなくなるわけではありません。本命世界は今まで通り月命世界を物質側から支えていき、生活基盤を整え、生きがい実現のための物質的基盤をもたらします。こうして月命と本命の関係は波動の理論通りに結び付き、本来のあるべき傾斜の姿とバランスに収まっていくことになるのです。




                                     浅沼気学岡山鑑定所

「元世翬の気学観測」第九十六話

2023年12月31日 | 気学よもやま話
〔2024年1月の運気〕

 12月は個々人の内面を変革する月。これに対し1月は人事を入れ替えて構造を変革する月です。1月は三碧木星、六白金星、九紫火星という妥協を許さない九星が変化ラインと呼ばれる三つの宮に入ることで、旧体制の行き詰まりを解消します。前年から浮上した政治問題の追及は大詰めになり、組織のトップが自ら身を引かざるを得ない場面あるいは退陣を余儀なくされる流れが出てきます。
 一方1月は八白土星に天道が付き、物流を整える四緑木星と向き合うため、新しいインフラが開通するか、あるいは回復する状況が現れてきます。また四緑木星はメディアを現わし、八白土星は入れ替わりを促す役目があるため、既存のものとは異なる新たなプラットフォームを作る機会が訪れます。政治的には新しい国と国の繋がりが生まれ、今までとは異なる国家連盟が世界を動かすようになっていきます。
 2024年の運気を形作るポイントとなる九星は七赤金星と八白土星です。七赤金星は2022年より好調期に入り、七赤金星時代を定着させるために、個々人の内面的な変化変容を促しています。今年の七赤は規範と価値観を意味する離宮(りきゅう)に同会します。七赤は旧来の価値観を変容させ、自分独自の価値観がしっかりと打ち立てられるように導きます。また前年の11月から運気を上昇させてきた八白土星は、今年の運気の基軸を作り、世代間継承、伝統技術の伝承、今までにない新たな人脈の形成に力を発揮します。この流れは2025年に引き継がれ、地球規模的な変革期の流れを明確に後押ししていきます。
 

〔気遣いと礼節の国日本〕

 目に見えない気遣いや配慮が今後の人間関係を豊かにしていく原動力になります。その気遣いと配慮とは七赤金星と一白水星が目指す思いやりです。そこでは競争による強者と弱者の分離もなく、自分と他人の力を比較することもなく、社会が認める肩書や地位も必要とされず、権力を持つ者が多数の人を支配下に置くこともありません。
 この気遣いを最も大切にする社会を築いている国は日本です。日本人の国民性を一言で言うと、気遣いの細やかさです。ですから他の国々の人が日本に訪れるとその細やかなサービス精神に驚かされるのです。その国民性には慎ましさを重んじる清貧の思想があります。豊かさには物質的な豊かさと精神的な豊かさがありますが、日本人が古来より大切にしてきたことは物質的豊かさよりも精神的豊かさの方です。物質は時とともに劣化し消滅していくものですが、精神はいつまでも受け継がれ、人心の暖かさを温存したまま受け継がれていきます。


〔個人主義と家族主義〕

 西洋社会の基本には個人主義があります。個人主義は自分一人の力で生きていくことを求められます。それ故にまずもって強さが求められ、物質やお金の蓄積、身を守るための人脈が求められます。肩書は自分の価値を代弁し、通行証となり、交渉を有利に進めるための武器になります。これは個人主義の強さと見ることもできますが、裏を返すと内面の弱さを補うための甲冑に見えます。
 日本人の本源は個人主義ではなく家族主義です。家族という繋がりは五行の土でできており、土は気学的には利害が絡まないエネルギー体になります。それ故に家族同士はお金のやり取りを必要としないのです。家族は自分の分身としての位置づけになります。生活において最もお金のかからない方法は、出来るだけ家族単位でまとまることです。そうすれば物を共有することができ、不足と過剰を補い合うことができ、何か困ったことがあるとき即座に助け合うことができます。気学の理論通り、家族を意味する土の気はお金がかからないのです。お金がかかるどころか、土は金を生み出します。土生金とは土から金が生まれるという意味です。土は何もないように見えて、種をまけばいくらでも植生が育ち、実がなり、食料を確保することができるのです。
 日本は土の国家です。日本の原点は農です。土は人を裏切らず、急かさず、ノルマをかさず、責任を問わず、ありのままに受け入れ、見返りを求めません。それが土の強みであり、土がある限り人は物質的にも精神的にも飢えることはなく枯れることもありません。
 日本が今後世界のリーダーとなっていく基盤には、この土の精神を取り戻す必要があります。土は家族の団結を生み、お金のやりとりを必要とせず、阿吽の呼吸で助け合い、農の営みによって無から富を作るのです。この家族の集合体が強靭な国家を作りあげていくのです。
 
〔九紫火星が示す礼節の形〕

 礼節を現わす九紫火星は間隔の形です。物と物が正しい間隔で配置され、人と人が正しい間隔で接する形です。気学が捉える礼節とは、近すぎず、遠すぎず、適切な間隔を保つことです。それは人間関係のみならず、国と国との適切な間隔にも通じ、政治的にも経済的にも文化的にも、正しい間隔で人々が接することにも通じます。礼節を表す九紫火星は気の世界における規範です。これが南の天上に位置し、これに導かれることにより世界の秩序は生まれます。
 日本らしさの最上の形は慎ましさではなかろうかと思います。慎ましさは日本的礼節の要です。それが相手にどう受け止められるかに配慮した心遣いが日本的な礼節です。思ったことをそのまま言葉にし態度に出す気は、気学では若年層の気質と受け止めます。それは大人としての成長過程で出てくる気質であり過渡期の気質です。気学で示す大人とは、規範に基づき、自分と他人、自分と世間との関係性をきちんと踏まえた上で行動できる人です。
 西洋社会が世界を席巻してきた長い歴史の中で、本当に秩序ある社会を形成するにはどうしたらよいか、もう一度振り返ってみる必要があります。それは社会に秩序をもたらす礼節であり、物と物の適切な間隔、人と人の適切な間隔を作ることだと私は思います。その模範を示すことができる国が日本です。
 その日本的な礼節は大人の社会で崩れかけているようにも見受けられますが、一方でそれをより強く意識して人間関係を作っている若い世代の動きも見受けられます。海外の人との交流が急速に増えていく中、良き日本の本質をきちんと捉えている海外の人は、やはり日本的な慎ましさや気遣いに心を寄せているように思います。これは西洋社会の価値観と逆方向に向かっています。自分を主張し相手を負かすことは日本的礼節に反するのです。日本的な慎ましさとは、人々が出来るだけ日々気持ちよく過ごし、自分と他人との摩擦を出来るだけ減らしていくための知恵であり、これを長い歴史を通して身に着け守り続けてきた文化なのです。



                                     浅沼気学岡山鑑定所

「元世翬の気学観測」第九十五話

2023年11月30日 | 気学よもやま話
〔気学における12月と1月の意味〕
 一年の計は元旦にありと言いますが、気学的には一年の計は二つあります。一つは12月。もう一つは1月です。12月は個々人の価値観の転換がテーマとなります。世の中が変わるためにはまず個々人の考え方の転換が必要です。それが12月の意味です。ここで問われることは何を捨てるかです。それは物質的なものではなく、自分が持っている固定観念や思い込みや偏った考えです。これを切り捨てさせるために、気の世界は12月に子という十二支の気を旺盛にします。これにより価値観や行動の規範を意味する離宮(りきゅう)という場所に破という障害を設けます。破は気学では障害をもたらすマイナスの気と考えますが、その裏ではこの破によって何かを半ば強引に切り替えさせる意図があります。つまり12月は自分自身が持っている硬直化した考えや生き方を改める機会になるのです。
 そのポイントは本当の自分から出ていない価値観を捨てることです。そのために澱んだ気を浄化させる土の気を離宮に置いているのです。そして1月は12月の内面的転換に対し、外形的形式的な転換をテーマにします。具体的には世代交代、引継ぎです。このタイミングに気の世界は白黒明確に態度を決める気を置き、曖昧な態度を取らせないように気の配置を固めます。そして交代すべき人を交代させ、退くべき人を退かせ、止めるべきことを止めさせます。そして万人に選択の自由を与え、世の中に新しい気を吹き込み、人々が自由に活動できるよう、旧体制を入れ替えていきます。

〔自分の考え方を再確認する〕
 今年の12月は価値観を意味する離宮(りきゅう)に二黒土星が入り、旧来の価値観の崩壊が個々人の内面で生じます。今年の12月は実に2020年のパンデミックの年と同じ気の形が巡っています。これは2020年に私たち各自が感じ取った価値観の転換を再確認する意味があります。2020年の価値観の転換は生活環境の転換を余儀なくされ、私たちの生き方のパターンが崩れていきました。それは仕事の勤務スタイル、通勤、勤務時間などに直接反映しました。また何かを決めるうえで完全に信頼できる情報源を失い、各自がそれぞれ判断しなければこれ以上進めないという状況に追い込まれました。
 今年の12月は私たちが慣れ親しんできた考え方、判断基準を捨てなければ前に進めなくなりますよという、再確認、念押しになります。私たちは日頃物事を決める時、“これこれだからこうする”と何らかの判断基準を設けて決めます。その“これこれだから”の判断基準が、あなた自身の価値観ですかと問われます。本当の自分自身の内から出てくる価値観であるかどうかが問われます。何かを捨てるとは、何かが終わるということでもあります。気学的に捉えると、12月と1月は自分の生き方の確認場所でもあり、自分の生き方を明確にするという意味もあると思います。

                       *

〔地球の成長に伴う時代の転換〕
 地球が生命体であることをより強く意識しなければならない時代になりました。地球は決して無機質な土や岩石の塊でもなく、ものを言わない物体でもなく、性格をもたないものでもないのです。我々地球に住む生命体はすべて地球を母体として生まれてきたものであり、特に人間は本命・月命・日命という波動を持ち、地球の波動、息遣いをそのまま写し取った生命体になっています。つまり地球は紛れもなく我々と同じ生命体であり母でもあるのです。
 地球が生命体であれば、地球も人と同じように成長します。地球と人は常に双方の運気を共有して活動しています。従って人の運気は地球の運気に影響を及ぼし、地球の運気は人の運気に影響を及ぼします。暦が示していることは地球の運気であり、地球の運気は即ち人の運気となります。だからこそ人の運気は暦によって読み取ることができるのです。
 地球の運気は主に三つの時間枠によって構成されます。それが年月日です。この年月日が運気の型を作ります。年の運気は本命となり、月の運気は月命となり、日の運気は日命となるのです。これらの運気の型は地球の運行とともにそれぞれの人の特徴を現わし、地球の運気にきちんと乗っていくための通行証のような働きを担います。
 三つの運気の型の中で本命は物質的世界の次元を担い、月命は精神的世界の次元を担い、日命は感覚的世界の次元を担います。この三つの運気にはそれぞれ異なる価値観が生まれてきます。本命世界はお金を含めた物質の蓄積が豊かさとなり、月命世界は生きがいに基づいた精神的充足感が豊かさとなり、日命は本能と直感が自分に合うと認めるものに安心を感じます。
 三つの命運はそれぞれの仕事観を築き、その中で月命が三つの価値観を束ねます。月命は三つの命運の軸となり、この軸がしっかり回転することによって本命・月命・日命のバランスが生まれます。                 


〔本命世界から月命世界への価値観の転換〕
 時代は本命的価値観の時代から月命的価値観の時代へ移っています。けれども二つの世界はバランスによって成り立つのであり、一方の命運が一方の命運より優位に立ち一方を犠牲にすることにはなりません。二つの命運は常に互いの役目を担い、互いに協調しながら人生を築き上げていきます。
 地球は地上の生命体と同じく、成長に伴い波動を変えつつあります。命運の軸が本命主導から月命主導に切り替わることで、我々の仕事の進め方も根本的に切り替わります。今までの仕事は必ず本命環境が整えた物質的環境の上で成り立ち、制度、規則、法律、しきたりという基盤の中で月命の求めることが納まるように動いてきました。これが月命環境の仕事観へ軸が切り替わると、物質世界に関わらない仕事がより多くなり、物質的価値を求めない人がより多くなっていきます。
 月命環境を軸とする世界では、その人の本当にやりたいこと、その人が本当に得意としていること、その人しか持っていない才能を発揮していくことが仕事の基本スタイルになります。つまり機械化しシステム化できることはすべてそこで完結させ、創造的な部分を人が仕事として行うようになるのです。これはすべての分野で起き得ます。今まで安泰と思われていた職業や肩書がシステム化によって省かれていきます。これによって失業という形はむしろなくなり、すべての人が固有の能力を発揮する機会が無限に生まれてきます。繰り返しになりますが、それを可能にするのは本命から月命の価値観に軸を移行した人です。その移行は我々一人一人の価値転換によってなされるものです。
 今までは物質的価値の現われた報酬をお金や物、権利で受け取っていましたが、その報酬がすべて形に見えないものに移行したらどうなるでしょうか。以前私たちは給与というものを現金で受け取り、それをもってものに変え、サービスを受け取っていました。それが給与の支給から買い物まで、すべてデータのやり取りに変わり、報酬そのものが目に見えない形で完結するようになっています。この傾向が益々進化すると、給与支給というシステム自体が不必要になり、すべての人がどのようにサービスや労力を交換していくかというテーマだけが残ります。そこでは限りなく物質の形を取らない形でサービスのやり取りが行われていくことになります。我々が物質の形で報酬を受け取らなくなると、最終的には形に見えないもので報酬を受け取っていくシステムに変わります。資本は紙幣でもなく、不動産でもなく、その人が持つ考え、感性、能力、可能性に置き換わっていくことになるのです。





                                (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第九十四話

2023年10月31日 | 気学よもやま話
〔11月の運気〕
 暦が示す所は宇宙のリズムであり、地球における気象の変化パターンを現わします。気の世界は3のリズムで動いていき、四つのグループに分かれて季節を作ります。一年の始まりは2月から始まり5月、8月、11月と3のリズムで展開していきます。この2,5,8、11月に暦の中宮に入る九星はすべて土星になります。すなわち二黒土星、五黄土星、八白土星です。11月は八白土星が中宮に入り、翌年の運気を呼び込みます。翌年に起きることは11月から徐々に現れてきます。
 八白土星は変化、転換、交代の働きを現わし、行き詰まった部分を入れ替えることによって新陳代謝を促します。八白土星は特に六白金星と相性が良く、二つの九星がタッグを組むと変革をもたらす八白の方向性が六白の公共性と財力に結び付き、大きなプロジェクトがスムーズに動いていきます。
 11月は六白金星に天道が現れ、今年不調であった六白金星が翌年1月に向かって運気を上昇させます。六白は来年において環境変化の位置に入るため、実質的にはこの11月からその流れに乗っていきます。六白金星は今年から運気の大きな変動に入ります。世界は今後六白金星の運気変動に翻弄され、あるいは救われていきます。六白金星は公共なるもののすべてを現わします。国家、国富、財産、通貨、金融、エネルギーも六白金星の運気の中に入ります。この六白金星の天道は今混乱に陥っている世界に秩序化をもたらし、破壊されたインフラと生活空間を立て直していくうえで救世主のような役目を果たします。
 一方11月は組織、上下関係、利害関係を意味する気が不安定化し、事情に精通した配下と幹部との対立が起きます。上位は力づくで推し進めようとし、配下はいかなる処置も覚悟のうえで異議を唱えます。国家レベルにおいては一度合意した約束や締結した条約が破棄される可能性があります。いずれの立場にあっても、一時の感情に左右されるのではなく、良識を持った判断、礼節を弁えた言動が問われます。


〔気学は統合の学問〕
 気学は科学の視点に立ちながら、地球の運気を読み、世の中の流れを読み、人それぞれの運気を読み、これからどの方向へ進むことがその人本来の道であるかを教えてくれます。気学はミクロとマクロの視点を同時に持ちながら、地球と人の運気を計ります。気学は目に見える原因を踏まえた上で、目に見えない原因に焦点を移していきます。原因とは目に見えないところにある根幹の気です。すべての原因はその人が発している意識=気に原因があると考えます。
 学問の目的は真理探究ですが、それは最終的には必ず誰かの救済に向かい、何かの救済に繋がるものです。それは直接的でなくともよいのです。ただ最終的にそれを探究することが誰かを助けることに繋がることが統合の働きとなります。統合の学問は目の前の事象に焦点を当てながらも、それが全体的にどういう意味があるかを常に問うています。そして表の理由を探究するだけでなくその裏の理由にむしろ光を当てます。裏とは心の動きであり、情感であり、視覚に現れず、数字やデータに表れないものです。
 気学は宇宙の法則に基づいてあらゆる出来事や現象をテーマにすることができます。気学はばらばらになってしまった学問を一つに束ね、それぞれの成果をつなげ、その意味と価値を後天図というエネルギー展開図によって総括します。
 後天図における八つの宮は対立と相補性によってバランスを保ち、バランスを保てないものはエネルギーの成就を見ることなく何れ破綻することを示しています。後天図から派生した年盤月盤を気学では方位学の基盤として用いています。それは後天図の見方の一つの局面にすぎません。後天図とは宇宙の成り立ち、地球の成り立ち、運気の成り立ち、世の中の現象すべての成り立ちを表します。それ故、気学はこの年盤月盤から気象のみならず、世の中全般の動きや人の運気を読み取ることができるのです。気学の強みは科学と人事の融合です。これが統合の学問であり、気学は今後、自然科学、社会科学、人文科学など様々な学問の統合をもたらす重要な役目を担うことになるでしょう。
 

〔本命環境と月命環境のバランス〕
 気学では本命と月命が運気を図る主要な柱となります。本命と月命は波動の違いで分かれています。本命とはその年の十干十二支および九星、月命はその月の十干十二支および九星です。本命は低い波動域に属するため、主に物質環境を現わす運気として動きます。物質環境とは形になったもの、結果が形に現れているものという意味です。それは建物のような物体だけではなく、しきたり、慣習、法律、規範も本命環境に属します。物質は一度形に現れると簡単には変化しません。そして低い波動の世界は変化スピードが遅いことから、運気の変化も遅くなります。つまり本命の環境は形に現れる環境である分、一度体制が決まると容易には変更できないという特徴が現れます。この経緯から本命のもたらす運気は数十年から一生涯に影響することが多くなるのです。
 一方月命は変化が月単位で変わりますから年単位で変わる本命よりも変化スピードが速くなります。月命の波動は高い波動域に入るため、物質化しない環境が主体となります。いわゆる精神の動きは月命の運気に入ります。物質化しない領域の運気ということは、物質環境に拘束されないと言い換えることができます。つまりその人が基本的に自分で決められる運気は月命に強く現れます。
 時代の変化は波動の低い世界から波動の高い世界への変化となります。その動きは歴史が証明しているところです。世の中の変化スピードがだんだん速くなってきているのは、地球の波動が高くなってきている現れでもあります。通信スピードの速度が4Gから5Gとなり、さらに6Gへと移行しつつあるのも、地球における波動環境の変化の現われと見てよいでしょう。これを気学で説明すると、本命を主導にして動いていく物質的価値観の時代から、月命を主導にして動いていく精神的価値観の時代への移行と捉えることができます。
 本命的価値観の仕事は“生活のため”の仕事の傾向が現れ、給与を稼ぎ、蓄財し、将来の生活の保障を得ることが目的になります。ここには義務感、拘束感が強く現れます。一方月命の仕事観はまず何よりも“自分の生きがいのため”に仕事をします。生きがいとは自分が一番やりたいこと、自分が一番得意なことをすることです。それは自分の最も優れた能力を開花させることであり、それは必ず自分のみならず周囲の人を助け、精神性を豊かにしていくことに繋がります。月命は物質環境に価値観を置きませんから、具体的な生活の保障は得にくい所があります。場合によってそれは非現実的であり、そうあったらいいなという願望に留まることもあるかもしれません。
 けれども時代は確実に変化しています。既に繰り返し述べてきている通り、2020年の価値観の崩壊から、私たちは今までと同じ価値観に留まることが難しくなってきています。ここを分岐点として時代の方向性は明らかに物質的価値観から精神的価値観に主導権が移行し、それが仕事のスタイルあるいは生き方に現れてきています。
 
                      *

 気学はその人の物質的環境のみならず、その人の精神的環境もしっかり見ます。本命と月命の関係性はその人の運気の最も大きな方向性を知る指針となります。つまり物質的価値観を現わす本命と精神的価値観を現わす月命とのバランスがどのような状態にあるかが大切なのです。気の世界はバランスがすべてです。例え世の中の価値観が物質的価値を重視する世の中であっても、精神的価値をなおざりにすることは出来ません。逆に世の中が物質的価値観から精神的価値観に移行しても、物質環境の恩恵を捨てることはできません。
 生きがいを表にして仕事をしていくという月命の時代は、今後益々重要性を帯びていきます。その裏でその生きがいをバックアップしてくれるのが物質環境を示す本命です。本命環境は拘束が強く、変化も遅く、月命の変化スピードになかなか追いつかない所があります。その一方で本命環境は我々を一時の利害や個人の都合でよき伝統を簡単に捨ててしまうことを防ぎ、良き伝統をきちんと形に残し、後世に伝えていくという役目を果たしています。本命は地に足を付けた歩みです。月命は本命のバックアップなしには歩みを進めることは出来ません。
 本命と月命は人生の前半と後半においても自然にバランスが取れるように動いていきます。また普段の生活の中でも本命の自分と月命の自分は自然にバランスが取れるように動いていきます。本命と月命は宇宙の法則に従っていずれにも傾き過ぎず、時宜に応じて入れ替わりながらバランスを取っているのです。これまでもそしてこれからも、本命と月命の相補関係は変わりません。その中で私たちは今後より強く月命がもたらす価値観に導かれながら人生を歩んでいくようになります。世界はそのように形勢が変わり、そのために必要な生活環境が本命スピードではなく月命スピードで整っていくことになります。
 月命には生きがいが強く現れます。また月命は形に現れない波動であるため、外からその人の生き方をコントロールしその人を拘束することは出来ません。従って今まで”すべき””しなければならない”そして”せざるを得ない”で決めていた本命主導の人生の方向性が変わり、その人独自の願い・望み・楽しみを作り上げていく月命人生が主導権を握っていきます。そして月命環境に主導権が渡るということは、国、企業、組織が我々の人生の方向性を左右し誘導しコントロールするのではなく、我々一人一人が自ら、ゼロから、自分の人生の方向性を決め、価値観を作り上げ、肩書を作っていく、そういう時代へ切り替わることを意味します。


                                    (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第九十三話

2023年09月30日 | 気学よもやま話
〔10月の運気〕
10月は九紫火星が中宮にあり、十二支の戌の気が旺盛となります。これに伴い戌の対冲である辰に破という障害が伴います。辰の破は八白土星に同会することから、八白土星の弱点および欠点も同時に出てきます。戌は組織を守る意欲が強く、過剰になると組織を守るためには意にそぐわない人を排除することもいといません。八白土星には度々方向性が変わる気質があることから、人事において上位の指示に従わない人は強制的な交代、罷免があり得ます。これに対し上位に不満を持つ側も反旗を翻し、ことによってはボイコット、ストライキという形に打って出ることもあります。この傾向は組織における上下関係のみならず、取引業者のやりとりにも現れる可能性があります。
 一方離宮という物事の価値を定めるところには四緑木星が同会します。但し離宮の四緑木星には暗剣殺という不安定化したエネルギーが伴い四緑木星の欠点を引き出します。その一方で天道という能力活性化のエネルギーを伴うことから、四緑木星の欠点を補いながら四緑木星の良き面も発揮されるようになります。四緑木星は情報を広める働きがあります。このことから世の中の規範や価値観を揺るがす情報が現れてくると予測されます。その情報の顕現は一件マイナスの出来事のように思えますが、隠れていた事実が明らかになることにより、世の中の方向性が正しい方向へ修正されるきっかけにもなります。
 九紫火星は学問、学会、官庁、司法の九星でもあり、真理を探究する役目を担うことから物事を曖昧に終わらせません。10月は今年一年のいわば集大成のような情報の顕現とその裁きが見られるかもしれません。

〔危うき立場に立たされる学問〕
2020年の価値観転換を機に世の中の方向性が様々な形で変わってきています。その中に学問に対する見方、取り組む姿勢も変化を余儀なくされてきています。学問の世界は2020年以降今までとは異なる意味で社会との関り方を見直す必要に迫られているように思います。
 その分野のことだけを知っていても世の中全体の動き、特に政治経済の実態をきちんと把握していないと自分の学問が危うい方向へ誘導されてしまいかねない時代に入っています。
 世の中の真実は表に現れることはなく、常にその裏に隠されます。 “裏を見よ”というのが易の世界観です。これは世の中全般に当てはまることと言えます。これからは世の中全般の真実をきちんと把握していないと、自らが持つ知識見識が一瞬にして崩壊することもあり得ます。いくら専門分野で名を上げ実績を上げていても、その人が世の中の真実を知らなければ、その学問的成果を誤った方向に導かれ、学問そのものの存在意義を地に落としてしまう恐れがあるからです。
 またその知識や技術が最高度に達していても、根本が誤ったところから始まっていれば、地位も名誉も実績も真実の顕現により一瞬にして無に帰してしまいます。既にその光景は学問のみならず様々な分野で現れ始めています。権威ある組織やその道の専門家と言われる人は表では地天泰の安定を得ているようでも、その裏では天地否の否塞に立たされているというのが易の見方であります。

〔二極化した世界と二つの真実〕
表の世界の価値観だけで乗り切っていた時代と表の価値観が崩壊した後の時代では動き方が変わります。SNSが普及した現在において、表の情報と裏の情報との区別をつけることは非常に難しいと言えます。けれども真実は裏にあるというスタンスをきちんと貫いていれば、真実は決して手の届かない所に閉じ込められたままではなく、その人の知見の中にきちんと入ってくるものだと思います。
 既存のメディアが“これが現場の実情です”と言えば、その裏でSNSから“私が見た現場はこうです”と即座に反応されます。価値観の二極化を招いた2020年以降、私たちは二つの現実を歩いているようにも思えます。今まで通りの価値観で成り立つ世界。そして新たな価値観を共有する人同士で成り立つ世界。双方ともにこれが真実と言えば、真実はまさに二つの平行世界に分離して存在しているかのようです。

〔気学が捉える真実〕
気学が捉える真実は離宮(りきゅう)および震宮(しんきゅう)の連携で成り立つものです。離宮の情報はその情報を流す人が他の誰のものでもなく自分の見識と価値観で伝えているものです。その発信側の価値観と受信側の価値観との一致が真実を伝えるための条件になります。離宮はエネルギーの中心軸を司り、一切の偏りがありません。離宮の立場はいかなる時も正しい間合を作り、作為や利害をはねのけます。気学的に捉える真理真実とは、一切の偏りがなくあらゆる角度から照らし出されている状態と言えます。また震宮の情報はバイアスのかかっていないそのままの情報です。その情報はメディアが伝えるものではなく、特定のジャーナリストが伝えるものでもなく、現場に居合わせる不特定多数の人の直接的体験によってもたらされます。
 こうして離宮と震宮によって照らし出された真実は表の真実となり、離宮の対極に位置する坎宮(かんきゅう)からの視点によって表と裏のバランスが取れ、真相が明らかになります。坎宮とは心の動き、情感、動機、意図、隠された計画です。離宮は光の下に誰の目から見ても確認できる状況を作りますが、坎宮は心の動きですから本人が明かさない限りその真相は隠れたままです。その真相も気の世界の計らいでいつかは表に出てくることになります。これを気学では顕現というのです。

〔“誰”が重要になる時代〕
これからの時代は誰からその情報を得たか、誰から聞いたか、誰から教わったかという“人”が極めて重要になります。これはその人の人となりをよく知っているということがポイントになります。この関係性においてはじめて重要な情報、知識、智慧、技術がもたらされるものと考えます。
 またこれからの時代はその道の専門家であっても世の中の真実をよく知っていなければその道を極め、他の人に伝授することは極めて難しくなると思います。例え形式的内容を伝えることは出来ても本質を伝えることは出来なくなるでしょう。なぜなら物事の本質はどの分野においても真実の情報に通じているからです。その道の本質に通じようと思えば、世の中の真実を見極める力が同時に必要になってきます。
 今までも現在も学問や習い事の窓口はたくさんあり、それぞれの人の趣向に合わせた窓口を選ぶことができます。但し入りやすいという形は気学では上辺という意味があることから、その道を究める道筋には繋がっていないというのが現状でしょう。やはりその道の神髄に近づいていくためには、相手を図るのではなく、自らが自分の価値観を持ち見識を高めていく必要があります。
 気の世界は“同声相応じ同気相求む”の世界です。その二人の価値観と方向性が一致することによってはじめて同気は通じ合い、よき縁は巡ってきます。その縁はそれぞれの人が持つ優れた才能を真に発揮しようとした時、暦のタイミングに合わせその人の元に自然にやってきます。

〔組織に合う九星と合わない九星がある〕
気学が捉える組織は巽宮(そんきゅう)と乾宮(けんきゅう)に属します。この関係は主従関係で成り立ち、契約と条件が生じます。従ってこの関係は有限であり当初の条件が合わなくなると双方の合意は破綻します。この二つの宮に入る九星には相性があり、組織の気に合う九星と合わない九星があります。
 例えば一白水星、四緑木星、七赤金星は典型的な家族運営型あるいは組織順応型であり、家族的連携やチームプレイで動くことが非常に得意です。一方個人で独立して生きていく運気を持ち合わせている上記以外の九星は、生まれつき組織に適応するために必要とされるエネルギーが比較的不足しています。従って組織が苦手な九星を命運に持つ方は、若い時組織に入って働くと総じて上下関係や仲間との連携に苦労し、中途でリタイアする人も出てきます。
 これは忍耐力が不足していると見られがちですが、実際はその方の適性に合っておらず、組織への順応力ではなく独立のための能力にエネルギーが通っているために起きていることと気学的には解釈できます。但し気学においては人生の前半つまり36歳までは誰しも社会環境への適応が課題として掲げられています。ここでは組織に従属することによって自分の得手不得手を知り、個人ではできない様々な経験を積むことができます。この体験は後に独立する人にとっても必ず活かされる場面が出てきます。ですからたとえ組織への適性がなくとも、一定期間組織に従属する意義はあるのです。そうして36歳を超えると、本当の自分の生き方に目覚め、独立運気を持っている人はタイミングを図って個人事業を立ち上げるという流れに入っていくのです。




                                     (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第九十二話

2023年08月31日 | 気学よもやま話
〔9月の動向〕

9月は一白水星が中宮に入り、卯すなわち東に破という障害が付きます。従って東西のやり取りは波長が合わず、交渉事はなかなか思うように成立しません。但し以前から組織的に緻密に準備を進めてきたことは通りやすく、唐突かつ強引に進めることは合意に至らないと判断します。9月から10月にかけての暦の特徴に八白土星に破が連続して伴い、その八白土星が11月に中宮に入ります。この意味は2か月に及ぶ八白土星の課題や役割に一応の終止符が打たれるということです。11月は来年に向けての運気徐々に始まる月です。つまり9月から11月にかけて起きる巷や組織内の方向修正は来年に向けての運気の切り替えのためであり、世の中全体の方向性の誤りを短期間で修正するためのものでもあるのです。9月は物事の整理を司る四緑木星が天道を伴い、方針転換・継承・仲介を意味する宮に入ります。世間の目先の動きに翻弄される国家は右往左往して出口を見つけられず、したたかに準備を進めてきた国は四緑木星の力に後押しされ、連盟を拡大し結束力を強めて10月の調印へと進むものと考えられます。


〔今後の六白金星〕

今年は六白金星が不安定運気の中に入り、厳しい立場に立たされています。六白は国家、政府、資本家、大企業を意味する九星ですが、実際世の中で起きていることをよく見渡すと確かにそのような現状を見ることができます。国家、企業、資本家は一歩譲らざるを得ない状況が出てきています。一方六白金星を本命または月命に持つ方も同じように厳しい立場に立たされています。
 六白金星が今どういう立場に立たされているかについて、私はよく俗世の六白と真正の六白という表現で説明します。この俗世の六白には二つの意味があります。一つは今までの社会の価値観を順守し我が組織の利害を守ろうとしてきた六白。もう一つは公共のために用いられないお金の動きや私欲のために貯め込んだ財産の六白があります。俗世とは本来の六白の生き方から外れた世の中の動きすべてを含みます。例えば税金が公共のため国民のために正当な形で使われていないことも俗世の六白の誤った姿です。
 今までの社会の価値観がこれからの時代に通用しなくなる時、すべての人は方向転換を迫られます。同様に六白を意味する国家、企業、資本家も時代の変化に即して方向転換を迫られます。ところが六白はしばしば旧来の形に留まろうと変化を拒みます。六白は現状維持を貫こうとする堅い気質があり、時代の変化に対応するスピードは最も遅いと言えるのです。
 その方向転換はもう間近に迫っています。今年の秋以降から六白は一時的に運気を上げ、来年の運気の分岐点に突き進んでいきます。来年の六白は方向転換を意味する艮宮に入ります。この流れに上手く乗っていけるか、それとも半ば足履みし旧来の時代感覚に留まってしまうのか。六白すなわち国家、政府、資本家はまさに今年の秋から来年に向けて大きな岐路に立たされます。

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真正の六白は儲けのために動きません。得た利益はそれを提供した人々へすべて還元します。そして大きな資金は公共のために動かします。だからこそ六白には国家の役目が与えられるのです。そして資本家や企業も六白の責任者として、自分のためではなく一部の利益享受者のためでもなく、従業員や消費者や地元の住民そして国民のために働くようになるのです。そうでない六白はすべて俗世の要素を含むことになります。
 その俗世の六白が今年から自らの考え方を変えざるを得ない状況になっているのです。今年は変性の年として考え方や内部の様相が変わり、次年度は外形が変わる年として進路方向も変わり、その翌年は名目が変わる年として俗世の六白と真正の六白との交替が起こり、就くべき人が就くべき地位に選ばれ、持つべき人が持つべき肩書を得るようになります。
 今までの私たちは世の中の動きは一部の有力者が決め、それに絶対多数の国民が従うものと思い込んでいたところがあります。その流れは既に2020年に終わっており、これ以降は我々個々人が世の中の進む方向を決め、それぞれの価値観を作り上げ、政策を決められる時代に変わっています。何に価値があるのか。それは自分しか決めることができず、自分しか分からないのです。マスコミもSNSの情報の中にも自分の価値観は存在しません。それは自分の中にしか存在しません。

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これからは自分の価値観がないと右往左往する世の中になります。これからは自分の軸がきちんと定まっていないと世の中の出来事の意味が分からなくなります。日々起きる出来事の解説を聞いても、それが自分にとってどういう意味があるのか分からなくなるのです。解説を聞くことは情報として参考にはなります。但し個々人の指針にはならないのです。外からもたらされる価値はもはや自分の価値にはならないからです。だからこそ2020年以降、我々は自分自身を見つめなおす時間を与えられ、自分自身の生き方を問い直し、世界と自分の関係を見つめなおし、自分軸をしっかりと持つことの意味を問い直していたのです。
 2022年から七赤時代に入っています。七赤は喜び、励まし、癒しを意味し、庶民レベルの利便性を徹底して追求します。そして七赤は形式に囚われ役に立たなくなったものを溶解し変性させます。昨年から始まった七赤時代の6年間、七赤本来の力が世の中に浸透し始め、この流れの中で六白金星も岐路に立たされています。そしてこの六白の岐路は二黒土星と表裏一体で動いていきます。二黒とは国民です。つまり国民の意思が反映しない六白の政策はもはや成り立たたないということです。二黒土星は折しも2025年に中宮に入り、いよいよ国民が主体となって世の中の方向性を決める時がきます。その年真正の六白はスローガンを掲げて姿を現わし、あるべき国の姿、あるべき政府の形を表明し、新たなる公共政策を打ち出すことになります。




                                   (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第九十一話

2023年07月31日 | 気学よもやま話
今年の五黄土星の役割

天道はその九星の本源的な気質を高めるエネルギーです。このエネルギーを伴うと能力が活性化し、才能が開花するものと考えます。今年の五黄土星は乾宮という位置に天道を伴い入っています。この意味は乾宮を意味するものに大きな推進力が与えられるということです。乾宮には主人、資本家、経営者、組織の幹部、また国家、政府という意味があります。また国家や政府が責任をもって運営するものはすべて乾宮の意味を帯びてきます。例えば金融、通貨、税制、福祉、エネルギー政策もすべて乾宮の役目に入ります。五黄土星はどの宮に入ってもその力の調整が必要となり、方向性を誤るとすべてにおいて混乱を招きます。乾宮における五黄土星は国家、政府、企業としてどのような改革を行うのか。その大義が何よりも問われます。
 五黄土星はゼロから始まるエネルギー体であるため、前例のないもの、常識を超えたものになります。その中身はプラスマイナス双方の傾向が出ます。今年注目すべきことは企業においては今まで前例のないプロジェクトが始まり、また政府、国家においては前例のない改革が行われるということです。その動きは既に始まっています。但しこの大義と中身を誤ると国家・政府は暴走し世界は無秩序化してしまいます。乾宮の大義を貫くものは五黄と天道の力を得て成就の道を進み、乾宮の大義を見失ったものは国家と企業を混乱させ、破綻の道へと進んでいきます。
 この五黄土星の動きに準じて三碧木星も走り始めています。今年の三碧木星の役割は五黄土星が打ち立てるプロジェクトを推進する役割です。その内容が独創的であればあるほど、三碧木星の気質が活かされます。常識を超えたことの推進力は三碧の周囲の目もくれず走りぬく勢いが必要だからです。この三碧木星を正しい方向へ導く指南役となるのが一白水星です。その三碧木星が7月に中宮に入り、天道を伴った一白水星の導きを得て突き進んでいます。そして8月は天道を伴った七赤金星が坎宮という全体の動きを統括する位置に入り、縦横無尽な発想と知恵を発揮します。七赤金星の提示するアイディアにより、世界はいよいよ大きな変化の流れに乗っていきます。 


〔8月の傾向〕

8月は今年の後半が始まる月です。8月は二黒土星が中宮に入り、五黄土星が方向転換の艮宮に破という障害を持って入ります。五黄土星と破の重なりは凶作用がひときわ強く出るため、8月の方向転換は混乱とともに変化を余儀なくされるものと考えられます。二黒土星は浄化、初期化の働きがあります。この流れは世の中の矛盾点や汚点を浄化する一つの関門になります。
 この流れの中で七赤金星は天道を伴い周囲を統括する位置に入ります。七赤金星は難所を実に上手くすり抜けていく気質です。家族の結束力と組織のチームワークが乱れる中、個人の意思はしっかりとした柱を立てており、混乱に流されないよう機転を利かした対応で乗り切っていきます。機転を利かした七赤の見事な采配に乗るか、五黄の矛盾と混乱の中で不本意な転換を迫られるか。8月はいずれの立場に立っても世の中の大きな変化に乗っていかざるを得ない状況になります。


〔天道に乗る〕

天道は暦においてその九星のエネルギーを活性化させ、能力を引き出す特別なエネルギーです。このエネルギーは暦によって現れる場所が決まっています。我々が生まれ持つ本命と月命にも天道のエネルギーを身に着けています。従って人それぞれ天道を伴う九星が出生とともに決まり、その能力を活性化させる年月が決まるのです。
 その人しか持っていない特別優れた能力は天道に現れます。天道はその人が生まれながらに既に持っている能力を開花させます。また新たなことを始める時の天道は自分のみならず周囲の援助を得られやすい環境を整え、その経過と終着点を整えます。天道を得るということは成就の道を行き、天の時を得ることを意味するのです。
 天道はその人の能力を活かす道です。天はすべての人の能力が本来あるべきように発揮されることを望んでいます。だからこそ天道を得た道は進みやすいように環境が整えられているのです。天は我々が障害のある道を進むことを本来望んでいません。障害のある方向とは我々のエネルギーが偏った状態にあるときに現れます。それは導きではなく、我々自身が拘りによって選んでいる道です。
 暦は天道のある方向を示し、そのエネルギーを得られるタイミングを示しています。天は我々にこの道に従って進めと常に教えてくれています。道のりが厳しく成果が得られない方へ進むのか。それとも能力を開花させ周囲の援助が得られる成就の道を進んでいくのか。それはその人の選択にかかっています。その選択の中で、暦は常に光のある方向がどこかを示し、我々が生まれながらに持つ能力を開花させる道を明確に示し続けているのです。


〔企業は家族に支えられている〕

企業は家族に支えられています。このことは気学できちんとその関係性を捉えることができます。企業を九星に置き換えると六白金星の役割となります。六白は乾宮(けんきゅう)という位置を定位とし、それに向き合うのが巽宮(そんきゅう)であり四緑木星です。乾宮を雇用側とすると巽宮は従業員になります。ところが立ち位置は従業員側である巽宮の方が上であり、乾宮は下から支える側に立っています。その理由は従業員が本当の主役だからです。雇用を決める企業は本来下支えの立場であることが気の世界の実情です。
 この企業を裏側で支えているのが従業員とその家族です。乾宮と巽宮にクロスする艮宮(ごんきゅう)と坤宮(こんきゅう)は家族とその家族的結束力を意味します。企業はどんな規模のものでもこの関係性で成り立っています。従って六白側の経家者は従業員を本来家族と見なさなければなりません。この関係性はかつての日本、昭和時代の日本的雇用形態で出来上がっていたものです。こういうスタイルは日本固有のものと世界で考えられていましたが、気学から捉えるとこれが本来の姿と言えるのです。
 艮宮と坤宮の強みは血の繋がりです。家族は血の繋がりがあり、損得で動かないことが最大の強みなのです。親は子供が一人前に育つまで扶養し、子供が大人になってからもそのために使った生活費の返済を求めません。当たり前のことですが、これが艮宮と坤宮の家族としての強みなのです。このことを企業に置き換えると、企業は家族の損得勘定抜きの奉仕と結束力で成り立っているのです。こうした家族の支えがなければすべての企業は成り立ちません。このことを認識すべき立場が経営者なのです
 六白金星の本源は儲けを考えないことです。六白は与える一方の気質です。本来の六白は企業活動として得た利益をすべて元の所へ還元します。従って六白が私欲に傾くと、その私欲で得た資金は暦の定められたタイミングで剥奪を余儀なくされます。それは間接的な形として現れるため、経営者はなぜ利益が失われていくのか分かりません。それは本来の六白から逸脱しているからなのです。本来の六白の姿勢を貫く経営者にトータルの意味での損失はありません。なぜなら六白とは与えても尽きない気質を持ち、それに信頼する人々が六白にお金を使い、六白にお金を安心して預けるからです。
 企業の経営者は従業員を家族と見なすことではじめて本来の主従関係を結ぶことができます。例え一時業績が悪化しても従業員の家族的結束力があれば景気の波をなんとか切り抜けていけます。それが坤艮(こんごん)の力です。坤と艮は利害にも損得にも反応しません。こうした家族の支えがあるからこそ企業も国家も成り立つのです。このことを心に刻んでいる人が本当の六白気質を持つ人であり、本来の経営者です。





                                      (浅沼気学岡山鑑定所)

浅沼元琉の気学観測

FM"RadioMOMO"の『浅沼元琉の気学観測』コーナーでお話ししたことをまとめました。