元世翬の気学観測

運気の流れを気学で読み解く

「元世翬の気学観測」第九十話

2023年06月30日 | 気学よもやま話
〔7月の運気〕

7月は未月。未は物事の締めくくりを担い、同時に物事を解体し振出しに戻す働きがあります。これは未が世の中の浄化と刷新を図っていると考えるべきです。今年の7月は三碧木星が中宮に入り、六白金星が環境変化を司る艮宮に破の障害を伴い同会します。艮宮の六白金星破には人事の決裂、失墜、利権構造の転換などの意味があります。これと同時に五黄土星は六白すなわち政府や資本家による所業の矛盾と財の中身を暴き出す働きにあります。六白金星は柔軟性を欠く気質のため、物事に対し鋭角的な身の処し方をします。これは六白の欠点と捉えることもできますが、物事の矛盾にきっぱりとけじめをつける気質と捉えることもできるのです。人事において不本意な展開があっても、それは行き詰まりを打開するための流れと捉えるべきでしょう。
 その六白金星に強い縁のある一白水星は天道という活性化エネルギーを伴い、震宮という運気のスタート地点に入ります。水は不足する人の元へ平等に流れていくことを本望とし、一方的に偏ることを戒めます。一白水星の持つ人的交流が新たな局面を生み出し、難渋する課題を現場レベルで解決していきます。震宮の一白水星には能力開花の意味があります。今年の前半から後半への移行に際し、隠れた能力の開花、隠れた計画の開示が世の中を刷新していくことになります。


〔六白金星という気質を理解することの意義〕

六白金星に破が生じると六白を意味することに欠けが生じます。六白金星が意味するものは主人、権威、資本、国益、公共の福祉です。大きな資産が失われる一番の理由は、六白金星が持つ気質の不理解からもたらされると考えます。お金という気はその額が大きくなればなるほど自分のものではなく公の気質を持つようになります。このため使う目的を誤ると六白の気の反動をもたらし、資産や国益を失うという出来事に繋がっていくのです。
 六白金星は公益の気であり、自分以外の誰かのために使う気です。多くの人はこの気質を知りません。なぜ自分が稼いだお金なのに不本意な形で失われていくのか。六白は公益の気ですから我欲や損得勘定のために使われることに合わないのです。それ故我欲のために巨額の資金を手にすると、直接的あるいは間接的にこの資金を放出せざるを得ないような出来事に遭遇するのです。
 また六白金星には権威の意味があり、その公の尊い権威を蔑ろにすると六白の気が穢され、同じように六白特有の反動エネルギーが生じます。その一つに疫病の蔓延があります。六白金星は衛生環境の整った状態を表すため、権威あるものを汚すと衛生環境が悪化し、人体においては免疫力の低下が起きます。これが疫病の蔓延に繋がるのです。気の世界はそれぞれの九星や十二支が持つエネルギーの特性に応じて特有の現象を起こし、法則から外れる流れをその都度矯正していきます。これをもって人心の乱れに警鐘を鳴らし、我々が気の法則に準じて生きるよう諭してくるのです。


〔七赤金星と六白金星の気質の違い〕
     
六白の象意はお金ではなく資本です。六白金星という気は施す一方の気です。ですから自分のために六白の気を使うと須らく損失という形で結果が返ってくるのです。お金は額が大きくなればなるほど個人の気から離れ、自分以外の誰かのため公のため使う気質へと移行していきます。
 六白金星が自己を意味する坎宮に入ると暗剣殺という障害を伴います。これは公を意味する六白の気と私を意味する坎宮の気が相剋を起こすからです。これが公私混同となり、公のお金と私のお金の区別を明確にしない人はここで財を剝がされます。これはお金のことのみならず、公の立場としての自分とプライベートの立場としての自分との区別も問われます。例えば社内での上司と部下の関係や取引における社の立場と私的な立場を混同することも六白の気の障害として掲げられます。
 いつも自分の手元にあり自分の欲しいものに使えるお金は七赤金星の気からやってきます。七赤金星には衣食住の充足という意味があり、これが個人の使えるお金です。また七赤には食べ物の施し、励ましの言葉の意味があります。このことは個人が持つことのできる本当の豊かさは決して物質的なものだけではなく、豊かさは形に現れるものだけではないことを教えます。人から何気なく投げかけられた言葉が励みとなり、この励みがエネルギーとなって物質的豊かさへ変化していくのです。七赤の気から発する励ましの言葉がモノやお金に変化し、その蓄積が最終的に六白金星という人のために動く大きなお金、資本へと変わっていくのです。


〔傘地蔵が教えること〕

傘地蔵の話は本当の七赤の豊かさが何かを教えてくれます。おじいさんは雪の中で寒そうにしているお地蔵さんに持っていた傘を着せて差し上げます。この行為に対しおばあさんは良いことをしなさったと褒め称えます。その夜お地蔵さんはおじいさんの家に恩返しの品を届けにやってきます。この話は七赤の本質をよく表しています。七赤とは自分が持てるもので相手をもてなすこと。手持ちの物がなければ言葉で相手を励まし喜ばすことです。これが七赤の本質であり七赤天道の行いです。七赤の心遣いはいつでも誰にでもできることなのです。七赤の気が溜まると同じ金性の六白に移行していきます。これが純白の富となるのです。六白金星の富とはこうした七赤金星の無償の恵みと心遣いが底にあります。ですから私欲から発するものは真正の六白とはなり得ず、いずれその中身を明かされ損失となって剥がされていくのです。





                                     (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十九話

2023年05月31日 | 気学よもやま話
〔6月の運気〕
6月の月盤には年盤と同じ四緑木星が中央に入ります。従って四緑木星のエネルギーが強化され、国民が情報に左右されやすい月になります。さらに坎宮に同会する九紫火星には破という障害をもたらすエネルギーが入り、表には出ませんが政治において道義に悖る意思決定がなされる懸念があります。九紫は官僚を意味し国家の規律を表すため、政府の決定事項に関して国民の厳しいチェックが必要になります。一方五黄土星は年月ともに天道によってエネルギーが活性化し、国家、政府、企業ともに難問に直面する中、新たな方向へ鍵を切ったものはまたとないチャンスを得て道を切り開きます。五黄土星の働きは先延ばししてきた問題を浮上させ決着させること。未成就のエネルギーを形にすることです。今までと同じ情報源で世の中の動きを把握し現状維持を貫こうとする国家、政府、企業は、今月から来月にかけて大きな岐路に立たされます。


〔2023年の運気の特徴を知る〕
今年の暦の年盤の中央には四緑木星が入っています。四緑木星は情報、交易など遠方に拡散していく動きが特徴となります。メディア、グローバル企業もその一つです。今年は既存メディアとグローバル企業の問題点が浮上し、破綻すべきものが破綻し、浮上すべきものが浮上するという動きが出てきます。これが2023年の天の運です。
 一方今年は卯歳で東の気が強くなり、その反作用によって西の酉に歳破という障害をもたらす気が入っています。今年は東西のエネルギーバランスが崩れているため、長期に及ぶ東西との新規取引は難航し目的の成就は見込めません。また北西には五黄土星(五黄殺)が入り、反対の東南には三碧木星(暗剣殺)が入っています。従って北西東南に向けての新規取引も想像以上に難航します。これが地の運です。
 但し今年の五黄土星及び三碧木星はそれぞれ天道という活性化をもたらすエネルギーが入っているため、逆凶の中に大きなチャンスがあるということも言えます。これが人の運です。こうした暦の読み取りにより、組織のトップは災いを事前に察知し、混乱を切り抜ける道筋を掴んでおく必要があります。


〔暦は運気のガイド書〕
このように暦を見ると良縁に恵まれる方位、障害のある方位など、様々な情報を読み取ることが出来ます。暦は地球の運行表であり、最も精密で実用的な運気のガイド書です。我々は何か目的をもってどこかに行く時、 初めて足を踏み入れる土地であれば必ず事前にそこはどういうところか、何に気を付けなければならないか下調べします。けれども運気に関して確認する人は非常に少ないのが現状です。これは自分の人生全般の方向性において、地図も確認せず、交通手段も確認せず、見知らぬところへ向かっているようなものです。運気を観るということは道に迷わない、本来の道筋を見失わないという意味があります。暦は自分の現状と今後の道筋を大まかに確認することができるため、暦とともに歩むと人生に安定感が増してきます。


〔暦に従うとは謙虚になること〕
暦に従うということは宇宙に対して謙虚になるということです。自分の運気は自分でコントロールするものですが、その自分の運気は天地人の相互的な関係において成り立つものです。自分だけの力で進んでいるようで、天と地の法則に準じて動き、人の縁に助けられながら歩んでいるのです。
 天は謙虚な人に力を貸し鬼神は傲慢な人を損ねると易経に書いています。よき経営者とは天地人に対して謙虚な人です。「天」は時の運。運気の流れを見て事のタイミングを図ること。「地」は空間の法則。地球が持つエネルギーの特性を知ること。即ち方位の吉凶を知ることです。「人」は縁と心がけです。
 謙虚とは天の時を知り、地の法則を知り、人の話に真摯に耳を傾け、分からないこと、知らないことにきちんと向き合うことです。昔の人はよく暦を活用して日常生活を営んでいました。暦を活用するとは天地人に対して謙虚になることを意味するのです。


〔人が運気の流れを変える〕
私が会社に勤めていた時の経験で、この人を採用してから人の入れ替わりが少なくなったという記憶があります。それまでは人の入れ替わりが激しく、店の運営がいつまでたっても落ち着かないということがありました。もちろん一定の期間を経ると開店した店は落ち着くものですが、それでもある人の採用によって入れ替わりがほぼ止まり安定軌道に入ったということがあります。
 野球で言えば、ある選手が1軍の試合に出るようになってから俄然チームの勢いが出てきたということがあります。それ故その選手を控えに回した途端、なぜか同じレベルの選手を揃えているのに大量失点を期してしまうという試合を見ることがあります。この因果に気付く人はすぐに気付くことでしょう。一方気付かない人は人に指摘されてもその言説を信じないかもしれません。なぜなら経験からくる知識と固定観念が邪魔をするからです。勘の鋭い人はある選手の運気がそのチームの流れを変え、チーム全体の運気を上昇させているということに気付くのです。


〔相性は運気を変える〕
人の持つ気はチームの雰囲気をがらりと変えることがあります。気学的な理由はいくつかありますが、その中の一つに相性の効果があります。例えば十二支でいえば三合という最も相性の良い組み合わせがあります。三合は十二支の波長が最も強く連結する組み合わせです。例えば寅と午と戌を持つ選手が揃うと、何かに挑戦する時、その意欲にふさわしいポジションが与えられ、結果を得て地位を築きます。この組み合わせは四パターンあり、上記の他に申子辰、巳酉丑、亥卯未があります。この三合の十二支を持つ人がチームの中にいると強力な結束力が生まれ、三つの十二支の特徴を引き出しながら確実に成果を生み出すのです。
 一方互いのエネルギーを削いでしまう十二支の組み合わせもあります。従ってある人が加わるとがらりとチームの雰囲気がよくなり、またある人が加わるとチームの勢いがなくなってしまうということがでてくるのです。こうした流れは相性の効果によって生まれています。このような人の運気の浮き沈みは十二支だけでなく九星の組み合わせでも生まれます。同じチームの中でもこの人の十二支が入るとチームの流れが良くなる。またこの人の九星が入るとチームの勢いが増すという九星があるのです。


〔運気の推移を知るリーダーとは〕
こうした人の持つ運気を知らずとも組織は動いていきます。但し運気の推移を知っているリーダーと知らないリーダーとの違いは長期的には明らかな差が出ます。“この選手を使うと今年はなぜかチームの勢いが出てくるぞ”と気付けばよいのです。この気付きを無視し、データで型にはめた采配をしたり、あるいはこうあるべきという強い思いが柔軟性を欠いたりすると、折角の運気の流れを逃してしまうことになるのです。以下の言葉は三国志の諸葛亮孔明が“草船借箭の計”(相手の陣から船に向かって放つ矢10万本を奪い獲った話)で魯粛に講じた言葉です。

「将たる身で、天文に通じず、地の利を識らず、奇門を知らず、陰陽を暁らず、陣の構えを見抜けず、兵の備えに明るくなければ凡才です。」

ここでいう「天文」は時の運気を知ること、すなわち暦を読み取ること。「奇門」は方位の吉凶を知ること。「陰陽」とは運気の浮き沈み、その機微を知ることです。将たる身でリーダーたるもの、運気の流れを敏感に捉えることが出来なければ勝てる戦にも勝てないということです。





                                      (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十八話

2023年04月30日 | 気学よもやま話
〔5月の運気〕
4月の六白金星中宮月から5月の五黄土星中宮月へと変わります。4月17日から始まる土用は立春から立夏へと陽気の流れを繋ぎます。季節は2023年の序盤から中盤へと差し掛かり、卯歳と四緑木星中宮年の特徴が顕著に表れてきます。今年の4月から5月への以降には特徴的な動きがあり、気の流れが逆転するため、世の中で様々な逆転現象が現れてくることが予測されます。

五黄土星は体制を覆す力を持ち、今年中宮する四緑木星の特徴を活発化させます。四緑木星は風の象意であり、五黄の破壊力が加わると暴風になります。また四緑木星は情報を意味することから、良くも悪くも世の中の人が情報にかき乱されるようになります。また5月は六白金星が定位置に戻り、責任を問われる立場に戻ります。そこに破という障害をもたらす気が付くことで、国家、政府、組織、大企業、大資本家はその職責を問われるようになります。肩書の力を振りかざす六白は配下からの猛烈な反発を招き、謙遜の六白は今ある日常生活から思いがけない幸運を得ます。

五黄土星の働きは浄化です。世の中の矛盾を洗い出し、終わるべきことを終わらせ、浮上すべきものを浮上させることです。混乱はその過程で起きることであり、その混乱の大きさはどれだけ世の中の矛盾が大きかったかを物語るのです。

                    *

〔野球チームは組織か家族か〕
野球チームを組織論で語る野球経験者の方は多く見受けられます。球団は組織運営されており、実質的に組織以外の何物でもありません。確かに球団は組織で運営されていますが、球団とチームは違います。これを気学で捉えると、球団は巽宮(そんきゅう)乾宮(けんきゅう)に属するものです。主従関係をともなう有限の契約関係です。一方チームは家族を意味する坤宮(こんきゅう)艮宮(ごんきゅう)に属します。特に九星では1.4.7(一白・四緑・七赤)が得意とするチームワークの宮に属します。この宮は家族を意味する宮でもあります。 

この巽宮乾宮という軸と坤宮艮宮という軸は波動の関係から見ると、丁度斜めから直角に交差する関係になります。この軸の交差は相互関係であると同時に対立関係をも意味します。組織は契約関係に基づく有限関係であり、家族は血筋で繋がる縁の切れない関係です。例えば組織は利害で動きます。一方家族は利害で動きません。これは気の法則です。従って家族にお金などの利害を絡めるとそのもめ事は終生引きずることになります。

この法則を野球チームに置き換えると、強いチームとは球団の組織力に支えられ、現場では家族のようにまとまっているチームと捉えることができます。気学の見地から捉えると、強いチームは組織力と家族力双方のバランスがとれているチームであることが分かるのです。


〔組織は家族の力で支えられている〕
巽宮と乾宮の繋がりは巽宮を従者とし、乾宮を主人、管理者、経営者側とします。この二つの繋がりは契約関係であるだけに、契約以外の事柄に対応しないことが前提になっています。組織は与えられた仕事をこなすことを最低限の義務としますが、与えられた仕事だけを行っている人は少ないのが現実です。時間外、あるいはサービス残業なしで組織の抱える仕事が完全に収まるケースはむしろ少ないのではないでしょうか。

こうした組織の仕事を上手く回していくには、利害で動かない坤宮艮宮の家族力がどうしても必要です。ある人が残した仕事、不得手な仕事は、家族としての仲間がこれをフォローし、補っているのです。組織を上手く運営するためには、その裏側に利害で動かない家族の気が必要であり、これがなければ組織は成り立たないのです。


〔時代の変化に強いのは家族〕
組織と家族の違いが明確に現れるもう一つのポイントは、情報共有の仕方です。組織は上下関係があり利害で動く集まりです。とかく上司は部下に報告連絡相談を求めてきます。それは情報共有が組織運営の上で根幹になるからです。それは逆から見ると組織では情報共有が上手く行われないからこそ報告連絡相談を義務として求めてくるのです。組織の上下関係と利害関係は情報共有を妨げます。上位と部下は契約によって作られた関係であり、コミュニケーションは思い通りにいかないというのが実情です。
 
一方、家族やチームとして動く仲間は、どんな小さな出来事でも伝えあいます。家族という関係は自分が見聞きしたことや経験したことを本能的に共有できる関係です。組織は報告義務があると判断した情報のみ共有しますが、家族はつまらないことでもあらゆる情報を共有できるという強みがあるのです。そういう意味でも少人数で動くチームは、組織ではなく家族としての繋がりをより強く意識すべきです。時代の急速な変化に柔軟に対応できるのは組織ではなく家族である、というのが気学から見た結論です。

                   *

〔背番号が持つエネルギー〕
野球を見ていて気学の観点から気になることがあります。それは“形は運気を作る”ということです。その形を作る重要な役目を果たすものが背番号です。野球の背番号はそのポジションで凡そ決まっているようですが、なぜか永久欠番でもないのに吉数番号が使わないままになっていることに気づかされます。
 
例えば10番台の数字では11、13、15、16、17、18が吉数であり、これらの番号は運勢学的にも重要な意味を持っています。もちろん背番号の決定には球団の意向もあることでしょうが、これらの吉数が欠けてしまうと、このチームにはエースが欠けていると外形的な表明をすることになります。こうした欠番はエネルギー的には大きな減損に繋がっていると言えます。

やはりこの投手はエースであると位置づけするためには、エース番号をきちんと与えることが肝要です。形は基盤を作り、ファンの方々にもその意味を知らせ、何よりも本人にその意味を意識づけさせることができます。気は心であり、気は形に現れます。これは逆も真であり、形は気(エネルギー)を作るのです。プロの世界であるからこそ、本来あるべき形、理想の形を整えておかなければなりません。その意味でも背番号の持つ重要性をもう一度捉えなおす必要があるでしょう。番号はエネルギーであり、その番号が持つエネルギーと運気が選手の背中を後押ししているのです。

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〔仕組まれないものが実力を発揮する時代へ〕
今までは上に行く仕組みに乗ったものが上に上がっていく時代でした。一方才能と実力があっても上に上がる仕組みに乗らない人は上に上がらない時代でした。この流れは今逆転しつつあります。2020年以降この流れは加速し、仕組まれないものが実力を発揮する時代に移行したと日々実感しています。仕組まれたものとは利害に絡むもの、組織を作り利益を追い求めることを主眼とするもの、一部の権力者が求める方向性です。これを私は俗世の六白と捉えています。六白は自己の利益を放棄し公益に与する気質です。この理に違うものはすべて俗世の六白になります。今この俗世の六白が日増しに衰退しています。


〔エンターテイメント分野の構造変化〕
例えばエンターテイメントの分野では最も早い段階からこの流れに移行しています。組織に属さない個々人がSNSを利用してその人なりのパフォーマンスを繰り広げています。それは玉石混交であるものの、そこから切磋琢磨された秀逸な作品がいくつも輝き始めています。これはそれを発揮する人とそのパフォーマンスを見たいと思う人との釣り合いが取れる時代になった証です。一方で今まで作為によってつくられたエンターテイメントの世界はその中身の空虚さを如実に表すようになり、居場所をなくし身を引く人もあれば、静かに新たな居場所へ移行する人もいます。

本当の価値を生み出すのはいつの時代でも個人です。組織は仕組まれたものを創り出すのであって、個々人の琴線に触れるものを作るのに適しません。今、本当に心を動かされるものを多くの人が求めています。それに応えることのできる人は名前を知られていないその人です。私が本当に求めていたものはこれだと思えるものは、その人しか作れないのです。その才能を発揮する場が整いつつあり、その才能を伝達する環境もSNS上で整いつつあります。仕組まれたものは急速に居場所を失いつつあります。


〔本当の影響力は個人が持っている〕
気学的な見地から捉えると、仕組まれたものは光を構成する斜めの軸に現れ、あたかもこれが主軸であるかのように振る舞います。ところが光の本当の軸は縦軸と横軸との交わりから生まれます。縦軸は個人の理想と思い。横軸は不特定多数の人が求める期待と喜びの空間です。エネルギーは個人の思いと不特定多数の人の思いが自由に交わらなければ生まれません。二つの思いが縦と横から交わるとき、最も影響力のあるパフォーマンスが繰り広げられるのです。私たちが今まで見てきたものは仕組まれた斜めの軸から生まれたものでした。そして今ようやく軸の傾きがまっすぐに戻り、個々人に戻ってきています。今後は自分自身という主軸が世の中を創り出していく時代に変わっていきます。





                                 (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十七話

2023年03月31日 | 気学よもやま話
〔4月は国民一人一人が展望を示す時〕
4月の月盤には六白金星が中宮に同会し、辰の気が旺盛となることから戌の気に破という障害が伴います。4月の一番大きな特徴は七赤金星に暗剣殺と破が重なり、七赤の運気が大きく揺さぶられることです。七赤金星の負の現象は総じてお金の不正と損失に繋がり、その根底には社会規範ひいては道義を疎かにすることによる問題があります。すなわち七赤金星の問題は総じて道義や規範を意味する九紫火星の気を蔑ろにすることから始まります。七赤が経営、管理、守りを意味する乾宮(けんきゅう)に同会すると、必ず経営者や責任者としての資質が問われます。具体的には政治家においては倫理が問われ、企業家においては資金管理、財務状況が問われます。さらに組織の上に立つ人は従業員に対するハラスメント、スキャンダルにも注意する必要があります。
 一方国民を意味する二黒土星は天道を伴い運気が活性化します。二黒土星は利害に関与しない気質であり、本質は質素で地に足の着いた生き方を継続します。目先の利益を追いかけ権勢をふるい奢り高ぶるものはここで捕まり、地に足を付け、質朴を貫く人はここで長期展望を開きます。六白金星の運気は既に何度か述べていますが、今年から俗世の六白と光の六白に分岐していきます。世界で起きている金融不安はその一端です。俗世の六白の洗い出しは既に我々の目の前で始まっています。

〔2020年に起きたことの気学的な意味〕
時代が大きく変化したと私が感じたのは2020年のパンデミックの時です。この年は離宮という物事の価値観やテーマが掲げられる宮に二黒土星という九星が入り、そこに破という障害が付いていました。この意味は我々の価値観が崩壊するということ、今までの価値観が根底から覆されるような出来事が起きるということです。二黒土星は物事が中断し、ゼロベースに戻す働きがあります。破はそれが障害の形で訪れることを表します。パンデミックが世の中に示したことは個々人の受け止め方によって異なるでしょう。答えは一つではなく、個々人がそれぞれに解釈することが大切です。
 実はそのことを暦は教えているのです。2020年の価値観崩壊とは今まで我々が求めていた”絶対的な答え”がなくなることでもあったのです。どこかの学者、どこかの権威ある機関、どこかの有名人、どこかの報道。そういうものに判断を任せて信じて疑わなかった我々の思考にストップがかけられ、今後はあなたたち自身が答えを出し、自分の進む道を決めてくださいと言われた瞬間が2020年だったのです。

〔方位磁針なしに人生を歩むということ〕
全ての人が自分の運気を知っているわけではありません。ほとんどの人は自分の運気を知ることなく日常を営み、成功と失敗を繰り返しながら経験を積み、この経験をもとに進む方向を選んでいます。ほとんどの人は自分の命運の流れや運気を知らずとも、難なく進んでいるように見受けられます。但し個々人に起きていることは外からは決して見えません。もっと言うと自分でさえ自分に起きていることの意味を分からずに過ごしている場合もあります。命運の流れを知らず、また日々の運気を知らず生きていくということは、例えば漁師が天候を知らず船出し、船長が方位磁石を持たず航海し、登山家が山の天候を知らずに山に登るようなものです。 
 暦は地球の運行表であり、その運行スケジュールを示しています。どの分野においてもプロは自分の仕事のレベルを盤石にするためにあらゆる準備を怠りません。天気を見て日々の仕事を組み立てるならば、暦を見て一生の運行スケジュールを確認するということも、その道のプロとして欠かせざる準備事項の一つとなるはずです。
 先に示したように2020年の価値観崩壊に伴い、我々は既に今まで盤石だと思っていた社会基盤、社会規範が崩れ、数百年、数千年という長い間使い続けてきた方位磁針を失っています。そのことに気付いている人は既に新たな方位磁針を求め、今までとは異なる価値観を心に思い描き、模索しながらも歩み始めています。気学で言えば長年かけて作り上げた社会規範が反映する本命の人生が大きく揺らぎ、本当にやりたいことが現れるオリジナルの月命人生を改めて中心に据え、本命環境を根底から見直していくという動きが既に始まっているのです。

〔七赤金星が時代を牽引する〕
気の世界は始まりがすべてを決めます。始まりの形にその目的と方向性が現れるのです。2020年は衣食住という生活基盤を意味する七赤金星が中宮入りし、翌年には国家、政府、金融を意味する六白金星が中宮入りし、その翌年には破壊と創生をもたらす五黄土星が中宮入りしました。この流れが一つの答えです。2022年から七赤金星は6年間安定軌道に乗り、各部門に七赤の気を浸透させていきます。このことは七赤金星という気が今後の時代を牽引する原動力となることを示しています。
 七赤という気の本質は個々人の自由にあり、喜びから生まれてくるものを共有する場を作ります。七赤は個々人の生きがいと密接に結びつき、価値観を共有する人を集め、生きがいを富へと変換する働きがあります。2022年からの七赤は働くことの価値観を変容させます。天道の七赤は生活のために働く意識を生きがいのために働く意識へと転換させます。

〔七赤がもたらす社会の変革〕
七赤金星は緩やかな精神性を持ちます。喜び、楽しみ、癒し、励ましの気です。七赤の気が今まで欠けていたわけではありません。ただ七赤金星の本質が発揮されにくい世の中になっていたと言えるでしょう。巽宮の時代は主従関係を築き、国家、政府、資本家、大会社など、権力を握る者が国民を動かし誘導する時代です。離宮の時代は個人が主役です。そして個々人が七赤の喜びと生きがいを目的とした仕事をするようになるのです。そして七赤は不特定多数の人が繋がり、価値観を共有するもの通しが集まる気です。そのサークル、その集い、その繋がりの中で共存を図ります。
 この流れが定着してくると、お金を払えば何でもできるという仕組みが崩れ、その地域に住まなければそのサービスは得られない、そのサークルに入らなければそのサービスは得られないという世の中へと転換していきます。そのサービスはその国あるいはサークル内でしか得られないため、独り占め、買い占め、強奪という行為が意味をなさなくなり、いずれその行為自体もなくなっていくと私は見ています。





                               (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十六話

2023年02月28日 | 気学よもやま話
〔分岐する六白金星〕
2023年は二黒土星の力が増し、六白金星がこれに向き合って陰に陽に揺さぶられます。二黒土星を国民、民衆と捉えると、六白は政府、国、資本家、大企業です。今年の二黒土星は圧倒的な勢いと力を得ており、六白は国民一人一人が様々な場面で要求することをのまざるを得なくなります。今年の六白金星は兌宮(だきゅう)という施し、譲歩の宮に入っており、このことがこうした流れを生み出しているのです。一方六白の定位である乾宮(けんきゅう)には五黄土星というエネルギーが入っているため、拠点を陰に陽に揺さぶられます。但し今年の五黄土星には天道という能力活性化をもたらすエネルギーが入っているため、国・政府・企業のみならず、個々人にとっても今までにない大きなチャンスを得る可能性を秘めています。

六白は総じて貨幣、資本金、投資、予算、造幣を表します。従って今年の六白の不安定化は金融全体を不安定化させ、国家・大企業を大きく揺さぶります。六白は与えても尽きない光のエネルギーを体現しており、本来はこうした局面に揺さぶられる気質ではありません。ではなぜ六白が世事の浮き沈みに揺さぶられてしまうのでしょうか。六白金星には二つの姿があります。与えても尽きない光の六白と、実益に関わる俗世の六白です。光の六白は平等性、公益をもたらす気を体現し、俗世からかけ離れた位置にあります。六白は大きな資金を意味しますが、光の六白は権力とは結びつかない資金になります。一方俗世の六白は収益を追い求め、増減を繰り返し、最終的に必ず権力に結び付きます。今年から分岐点に立つ六白とは、光の六白と俗世の六白との分離です。

俗世の六白は2023年より衰退し、2024年に方向転換を迫られ、2025年に明確な選別を受けます。この中で2025年に光の六白、権力と結びつかない六白が規範を作り、世界の立て直しに向かいます。一方俗世の六白はそれでも目先の利益を追い求め、2026年に深い穴に陥り破綻を余儀なくされます。俗世の六白とは気学で言う六白暗剣殺、六白破です。儲けのための儲けを志向するものすべてです。光の六白とは六白金星天道です。戻ってきた利益を民に還元し、平等性を構築するのが六白金星天道、光の六白です。六白の分岐は今年の5月から始まります。そして11月より光の六白が現れ、翌年1月の中宮同会に向けてその力を加速させます。公私混同の六白、権力と結びついた六白、我が身に縁のない資金を手にする六白は既に崩落の流れに入っています。


〔四緑木星中宮の意味〕
2023年は四緑木星が暦の真ん中(中宮)に入っています。四緑木星は易の巽という八卦からもたらされたもので、巽は風を意味します。地面に足がついていない、浮遊する状態のものです。従って、空に浮かぶものは総じて巽、四緑を意味し、居場所が定まらず、いつも宙を彷徨うものが巽、四緑木星の気質となります。巽は選に通じ、選ぶという気も四緑の働きです。

九星が中宮に入る時は、その九星の利点と弱点が出てきます。但し現実的には欠点が旺盛に出てきて、利点が隠される傾向があります。四緑は前年の五黄土星が起こした混乱を整理整頓する役目を果たします。その過程において最も重要なことは情報です。物事が上手くまとまるには大多数の人が真実を知らなければ成り立ちません。ところがほとんどの場合、真実は表に出てきません。易は裏を見よと教えてくれます。その心は裏にこそ真実があるということです。従って表に出てくる情報だけを目にしている人は流れる情報をそのまま受け取り、日常生活のすべての選択にその上辺の情報が反映されます。一方、真実の情報を手にしている人は、誤った情報によって誤った方向に導かれる人を見ながら、例え自分が孤立しようとも自分の選択する道を歩んでいきます。これが2020年以来顕著になってきている二極化の現状です。

今年四緑木星が中宮に入るにあたり、表の情報のみを鵜吞みにして生活を作り上げてきた人は、既にチェーンの外れた自転車に乗って進んでいることに気付き始めます。今まではしばらく追い風が背中を押して、少し下り坂を進んでいたため、自転車は前に進んでいましたが、2020年を境に平たんに戻り、2022年には下り坂と上り坂が逆転し、既に減速に転じています。真実の情報を手にしている人はここから平坦な道を追い風で進んでいきますが、表の情報のみを信じて生きてきた人は、チェーンの外れた自転車で上り坂を向かい風で進んでいくことになります。

何かおかしいと気付いた人はチェーンが外れていることに気付き、自転車を降りて修理しようとします。それは人生で初めての気付きになるかもしれません。学校に入って以来、私たちはすべて教えられてきた価値観と基準をもとに生きてきています。自転車を降りるということは、信じてきた価値観と規範から降りることを意味します。そこで大切なことは修理後、どの道を進むかです。それでも表の情報のみを信じて向かい風で坂道を登っていくか。方向転換し、真実を目にし、何十年かけて築き上げてきた知識あるいは経験をゼロから作り直す勇気を持てるかです。

2020年は巽宮の価値観と離宮の価値観との境界にありました。他の誰かが決めた価値観に従い、どこかに従属しあるいは権力や権威に何の疑いもなく従う巽宮時代は最終局面に至り、既に離宮時代の扉の前に至っています。離宮はすべての人が自立し、自分で情報を選択し、自分で何が正しく何が誤っているか判断し、自分で何が価値あるかを決めていかなければならないのです。離宮時代への転換は意識の転換によって起こり、形の変化としてほとんど現れません。易の言葉に「利渉大川」(大川を渉るによろし)という文言があります。大きな変化期に際し、戸惑いと困難はあってもこの大川を渡るがよいという辞です。今はまさに巽宮から離宮という大川を渡る時に至っています。


〔偏りも能力の一つ〕
注意欠乏、あるいは多動性という症状を病状と捉えている人が多いように思います。ほとんどの場合これを医学的視点から捉え、病状として見ているようです。この症状は気学的に見ると、三碧木星あるいは九紫火星という気の過不足状態と見なします。この症状は気学的には小学校から中学入学くらいまでの間に特定の命運に起き得るものです。当然この症状は命運の組み合わせ(本命月命日命の組み合わせ)によって個人差が生じます。

三碧は衝動的な気質で、考える前に動く特徴が旺盛に出ます。また九紫は物事の秩序、順番、優先順位を決める気ですから、これが不安定化すると、優先順位がきちんと決められなくなり、また一つのことに集中できないという症状が出てきます。但しこうした気の偏りは暦とともにある一定の期間を過ぎると自然に消失していく流れにあります。三碧は瞬間的に反応する気であり、瞬発力です。また三碧は短時間のモティベーションで多くの収穫を得ようとする気です。従って同じことを続けることがありません。次から次へ獲物を追いかけるように気が散っていきます。これを落ち着きがない、一つの事をやり遂げられないという欠点として周囲は見るようになります。けれども三碧の張りつめた状態は病状ではなく、運気の一つの特徴的な現れとして見る必要があります。この張りとは十二支の力が旺盛になることによって出てきます。そしてこの状態は暦の流れに従って、きちんとした期間が定められており、その期間が終わるとまた自然の平均的な状態に戻っていきます。


〔気の世界に欠点という気はない〕
気の世界に欠点という気はありません。すべてその気が過剰になることに意味があります。そのアクセントによって人の性格や気性は形成され、得意なもの不得意なものを形成していきます。あるいは失敗と成功を通して、どこまでが成功でどこからが失敗かを学んでいきます。三碧の気は未知のものに向かっていく勇気でもあります。すべてはそのアクセントをどのように使うかにかかっています。他人よりこの力が劣っているという見方は、そのほとんどの場合、特定の気のアクセントを使いきれていない事を意味します。つまり三碧の過剰を活かしきれないことによる周囲からのマイナス評価となっています。

三碧は試行錯誤することが前提の気です。初めてのことを試してみて、それがだめであったら次のものへ移るというスタイルです。次から次へものを試して自分に合ったものを探すための気です。すべての気は過剰状態になると九星の欠点が出てきます。過剰とはアクセントが強すぎる状態です。この過剰な力を抑えることはできません。力はすべてこれを活かすという方向でしか用いることは出来ません。この手法が気学の基本的な考え方にあります。

三碧の気は短時間で一つのことに集中し、一つのことをやり遂げる力にもなります。肝心なことはその対象を見つけるかどうかです。それが見つかるまで試行錯誤は続きます。落ち着きがない、物事に集中できないのは、やりがいのあることが見つからないからです。その人が本当に興味を持っていることが見つからない、与えられていない、その能力を活かしきれていないからです。その対象が見つかるとそのアクセントはそこに集中する能力として活かされるようになります。

気の世界はすべてバランスで成り立っています。その人が過剰に持つエネルギーは必ずそのエネルギーを不足する人とバランスを取っています。そのコントラストによって互いの動きを調整しています。気の世界は意味のないことをしません。また意味のない気質もありません。すべての状態に意味があります。その意味とは一つの役割として見ることができます。その気性をもって他の人に気付かせる役目を持つ事もあります。そのコントラストをもって、成功と失敗の境界を確認させる意味もあります。

欠点はある一つの気が強すぎるか弱すぎる時に人の目に違和感をもって映る現象です。ところが気学における過剰と不足は物事の見切りをつけるために必要不可欠なアクセントとなります。気の世界においては過不足はあっても欠点という気はありません。すべてはその力をどのように使うかで評価が変わってきます。




                               (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十五話

2023年01月31日 | 気学よもやま話
〔9年に一回の特別な土用〕
 土用とは立春、立夏、立秋、立冬に先立つ18日6時間(前後)の期間です。この期間に陰エネルギーと陽エネルギーの転換が行われます。土用の期間は土を動かしたり、移転、建築、造作などを控えたほうが良いと言われます。それはこうした所業が陰陽のスムーズな移行を妨げると考えるからです。その中でも立春前の土用は特に重要な働きを持っています。今年の節分に向けた土用は五黄土星から四緑木星へと繋ぐ土用です。この時九紫火星が1月に中宮し、浄化をもたらす二黒土星が天道を伴い西の兌宮(だきゅう)に入ります。九紫火星は不正を糺すのみならず、恐れや不安を消し去り、迷いごとを決着させる働きがあり、二黒土星は人が抱き得るすべてのマイナス意識をきれいに浄化する働きがあります。従って今年の節分前の土用は浄化のための特別な力を持っていることが分かるのです。
 土用とは地球の気の転換であり、地球自身が脱皮する事でもあります。地球が次の成長段階へ進むことを意味します。我々生命体は地球から生まれた生命体でもあります。地球の脱皮に合わせて、我々も次の地球のステップアップへともに移行していきます。浄化とは古い自分、役に立たなくなった古い考え方、自分を卑下する見方、何かに対するトラウマ、苦手意識。そういうマイナスの気をここで捨て去るということです。2月3日の節分を境に2022年から2023年へ気の流れが切り替わります。そして五黄土星がもたらした混乱を四緑木星が一年をかけて徐々に整えていきます。鬼は外福は内。マイナスの邪気は外へ追い出し、陽の元気を内に取り戻すのです。

〔2月の運気〕
2月は八白土星が中宮に入ります。八白は変化、改革をもたらす気です。この八白に啓示を与える気が三碧木星です。折しも三碧木星は昨年から運気を上昇させており、2月という年の出発点に天道という強いエネルギーを伴い、改革の合図を出します。今月の三碧木星がもたらすエネルギーは相当に強く、負のエネルギーを解消する勢いがあります。2月に現れてくるスローガンは今年の世界の動きを実質的に決めます。2月の五黄がもたらす問題は長年溜まった膿のようなものであり、白黒つけがたい問題、常識では考えられない問題を含みます。寅月の気は困難を恐れず異地へ乗り出していくという気です。2月は方向転換をもたらす八白の気が旺盛となり、寅の気が今までの生活に見切りをつけ、新天地へ乗り出していく勇気を我々に与えています。

〔今世界で起きていること〕
 2023年の特徴に公共料金の高騰により倹約を迫られると記述しました。この傾向は海外においては既に進行しており、特に欧州においては低所得者層のみならず中間層にとっても深刻な域に達しています。その原因は政治的要因が大きいと考えられますが、実際はもっとマクロ的な視点で捉えなければ本当の理由を理解することは出来ないと考えています。
 マクロ的視点とは宇宙規模的な視点であり、その逆であるミクロ的視点も同様に必要になってきます。そのマクロとミクロ的視点をもって今後の時代の趨勢を見ていく必要があります。その双方兼ねた視点を持つ学問が運勢学なのです。その一つである気学は世界で毎年毎月起きる出来事の意味を体系的に理解することができます。
 公共料金の値上げ、物価高による生活難はマクロ的視点で見ると、世界の趨勢の変化に伴うものであり、その変化によって既存の社会システムが役に立たなくなったことを表しています。この現象をもとの状態に戻して欲しいという視点、値上げしている組織に問題があるという視点、これを放置している国に問題があるという視点は確かに的を射ているのですが、時代の大きな変化が起きている時は、既存のシステムのままに進んでいても根本的な解決に至ることは出来ません。
 今起きていることは既存の価値観、社会システムでは今後の世界の変化に対応できないということなのです。社会システムとは生産方法、通商環境、経済、通貨、法律体系、教育内容、アカデミズムその他様々な体系全般が時代の変化に合わなくなってきているために起きている弊害です。
 従って小手先で現状を回復しようとしても以前の状態に復元することは出来ません。ではどうすればよいのでしょうか。まずマクロ的視点で何が起きているのかを掴むことです。世界が大きく動いている。ではどのように動いているのか。このことを既存の情報元からではなく、今までとは違ったルートから自分で情報を掴む必要があります。

〔七赤天道時代と離宮時代がもたらすもの〕
 SNSがこれほど発達した時代において、現在ほど不確かな情報に多くの人が流されている時代はないでしょう。私たちは意識して自分から探さない限り、現地の一次情報に接することはありません。それを得るには一次情報を入手している人に直接アクセスしなければなりません。情報という分野一つをとっても、既に数年前、あるいは数十年前とは全く異なる環境に我々は置かれていることを知っておく必要があります。
 2023年の傾向、また今後世界が進む方向性を私は以前から気学的な視点を交えて記述してきました。その一つが七赤金星時代の到来です。また巽宮から離宮時代への転換というテーマです。今起きていることは暦のスケジュールに従って必然的に起きていることです。七赤金星の時代とは個々人がそれぞれ生甲斐になることを仕事にすることで生活を成り立たせていく時代です。七赤天道という気は、生活のために働く自分ではなく、生甲斐のために働く自分へシフトさせます。七赤は人を励まし、喜ばし、癒す気です。 
 七赤の気はサービス業のみならず一次産業にも当然含んでいます。今後はこれら七赤の持つ要素が仕事の根底になければ新時代を築き上げていくことができなくなります。また七赤は徹底して手続きや作業の簡略化をもたらします。つまり生活の利便性を追求する七赤の気が社会に浸透すると、必ず自動化が進みます。今まで手続きを“行って”“書いて”“払って”という手順で進めていたことが、すべて自動化され、手間いらずの状態へ移行していきます。七赤は余計な手間を徹底して省いていきます。これに伴い既存の法律体系は社会の進化にともない根本的な再構築を迫られます。
 離宮以前の巽宮時代とは組織に従属することで生活の安定を得る時代でした。この関係によって成り立つ時代は組織に対して徹底した従属を求められます。その従属と拘束の代償として生活の安定を得るというシステムです。これが離宮の時代へ移行すると、従属から脱却し、個々人が自立することにより社会を形成していく時代となります。離宮の時代は決められた権威者や学識者による言説が絶対的基準とはなりません。従って主従関係や組織の権力構造が今までのような形で通用しなくなります。自分がこれを真と認めれば、それが真の知識となります。その説が正しいということを自分自身が確認し確信に至るようになるのです。これが離宮の時代です。
 離宮時代は自分が物事の価値を決め、あるいは創り出していく時代です。これは個々人が“”私という看板を掲げ、自分で肩書を作り、自分で職業を作る時代です。この流れが次第に主導権を握り、個々人でできないことを組織、企業、政府、国家が補完するという時代へ切り替わっていきます。
 七赤天道時代は価値観を共有し、気心の知れたもの通しが集まり、その中で必要なものを交換する時代です。その中で人々の意識は日増しに地元、ローカルへと視点が移っていきます。なぜなら七赤という気は我が家に回帰する気だからです。今後は市町村のように地域単位で経済活動を完結するように動いていくことでしょう。教育環境も地元単位で作り上げていくことになります。また地域主導型のポイント発行は地域経済と行政機構を一体化させ、日常生活の包括的な機能を担うようになるものと私は見ています。





                                    (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十四話

2022年12月31日 | 気学よもやま話
〔1月の運気〕
 2022年は二黒土星が2月に中宮に入り、再び11月に中宮に入るという巡り合わせの年でした。つまり2022年は総括すると二黒土星が流れと方向性を決めた年でもあったのです。二黒土星とは国民を表す九星です。その二黒土星に最も相性の良い九星が九紫火星です。
 九紫火星は11月に天道を伴い東に入り、12月も引き続き天道を伴い東南に入り、1月には暦の中央に回座します。この流れは国民を意味する二黒土星を九紫火星が天道を得てサポートすることを意味します。天道を伴う九紫が東に入ることの意味は世直しです。九紫の気は不正はびこる世の中を一新するために、11月はまず個々人の規範を問い、12月は組織、政府、国家、権力者すべての規範を問い、1月にその結果を世間に発表する段階に至ります。暦の中央に入るということは、過去を清算することを意味します。従って注いだことで未成就のことが有れば、必ずここで成就の形を現わし、規範から外れたことがあれば、ここで必ず裁かれます。
 1月の暦を見ると、二黒土星が11月から世直しに取り組んだ九紫に拍手喝さいを送る姿を見ることができます。ここに国民のひと時の安堵が伺えます。一方その安堵の国民に大きな負担を強いる気の障害も現れます。1月は政府、国、大企業で今までのやり方が限界に達し、権益を放棄すると同時に幹部の交代・解任が起きます。これが間接的に国民の負担として現れてきます。


〔地球という母体〕
 暦は年・月・日における地球の波動状況を表します。我々は母親から生まれてきますが、同時に地球という母胎から生まれた生命体でもあります。暦は地球の波動状態を表すものですから、生まれ出た瞬間の地球の波動状態で我々生命体の命運すなわち波動形は決まります。それが本命、月命、日命と呼ばれる命運です。生まれた時に定まる命運はそれ以降その人が生きていくうえでの船体となります。
 例えば2023年の卯年に生まれた四緑木星の人は、卯という十二支の波動と四緑木星という九星の波動を持ち、その特徴を備えた船となり、大海を進んでいきます。我々が生まれ持つ命運は地球という母体の生き写しでもあるのです。従っていかなる時も母体である地球から離れた存在とはなりません。常に地球が持つ波動に影響を受けながら、大海を進むことになります。
 地球は太陽の周りを公転しながら1年12か月の運気を作ります。その循環の中で、自らが持つ命運がその公転の位置関係により、相生相剋、特有の波動障害を経ながら回っていきます。地球という天体は我々と同じ生命体です。木火土金水という五つの気の循環を完全な形で備えた類まれな惑星でもあるのです。
 我々は生涯地球の運気に従って歩んでいきます。そして忘れてはならないことは、我々が生きていくうえで必要とするものはすべてその地球という母体の中に存在し、養い育てられているということです。我々は片時も地球の恩恵から切り離されることはないのです。


〔相剋の吉〕
 方位鑑定をする際に私が一番優先することは次の二つです。一つは方位と移動目的を一致させること。もう一つは運気の変化と移動のタイミングを合わせることです。この二つの視点をクリアするには、その人の生き方が自分の進むべきレールにきちんと収まり、暦に従って動いていることが条件となります。この二つの条件が整えば、その人の進む方向には自然と最上の吉方位が現れてきます。最上の吉方位とは天道が入る方位です。そして目的に合致した方位となり、目的に合致した九星が入ることになるのです。
 よく吉方位の条件として相生を前提とする見方があります。相生とはエネルギーのベクトルが同じであることを意味します。従って相生の九星を使うと、我々は諸事追い風で進んでいけるようになります。これに対し相剋はベクトルが逆転し、向かい風の進行となります。方位は確かに相生の関係がエネルギー的には有利です。向かい風で進んでいくよりも、追い風で進んでいった方がよいと誰しも思うことでしょう。ところが気の世界は相剋の気を取り入れることで、むしろ運気を盤石にしていく道を教えてくれます。これを”相剋の吉”と言います。
 相剋の吉はこのように考えるとよいでしょう。例えばアスリートが体に負荷のかかるトレーニングを行う時は、相剋のエネルギーを使います。また食べ物に関しても栄養価の高い物は相生のみならず相剋のものを適度に取り入れる必要があります。つまり我々は相生の気のみでは体力気力を維持できないのです。時に敢えて相剋の気を使い、不足するものを補い、弱点を克服していく必要があるのです。相剋の本当の役目とは、相生では作り上げられない強靭な体力気力を作り上げることです。建造物はこの法則を使い、相剋の組み合わせを駆使して堅固な建物を作っています。従って若く体力気力に溢れる若者は、出来るだけ相剋の九星と縁を結び、自分の能力を包括的に高めておくという考え方があるのです。
 但し相剋にも使い方があります。相剋の吉は個々人によってそのタイミングと九星の選び方が変わります。天道の入る九星はその九星の最も優れた気質を旺盛に持ちます。従ってその人の命運が能力活性化のために最も必要とする九星とタイミングよく縁を結ぶことが大切なのです。この良縁がその人のその後の人生に大きな力を発揮することになるのです。
 気の世界は「同気相求」の世界です。例えば九紫火星の天道と縁を結んだ人は、必ず天道の九紫火星に値する人に出会い、天道の九紫火星が意味する出来事に遭遇します。その人の命運にはどの九星と良縁を結ぶかが基本的なスタイルとして描かれています。その九星は相生も相剋もあります。従ってその人なりの相剋の吉を取り入れていく必要があるのです。
 気学は本命、月命に書き込まれた先天的気質を読み取り、その人が最も得意とすること、その人の才能が活かされる場所、その人の才能を引き出す人、またその才能を引き出す人がどういうところにいるのか。これらのことを暦から読み取り、その人が向かうべき方向を明確に示すことができるのです。




                                      (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十三話

2022年11月30日 | 気学よもやま話
〔12月から1月に向けての運気〕
翌年の運気は前年の11月から既に現れてきます。11月に起きたことが3か月後の年始まりである2月以降の運気に影響してきます。11月には二黒土星が暦の真ん中に入り、九紫火星の導きを得て、世の中の不正を糺す大きな流れが出てきました。この流れが12月以降拡大していき、2023年以降の世界を変えていきます。2023年以降の世界の動きを変える原動力は我々国民です。
 12月の運気の特徴は二黒土星が乾宮(けんきゅう)という主の位置に入り、この意向に従う巽宮(そんきゅう)に九紫火星が入ることです。ここに二黒土星と九紫火星の主従関係が生じ、国民を意味する二黒のために、世直しを意味する九紫火星の気が仕え、働くようになるのです。九紫火星は天道を伴い、既に11月から世直しに積極的に取り掛かっています。この勢いは12月にそのまま引き継がれ、来年1月に一応の決着を付けます。特に12月は九紫火星の気が組織へと移り、国民の意思を代弁する形で、不正を糺す手続きに入っていきます。そして1月に九紫火星が暦の真ん中に入り、3か月間の取り組みの成果を表します。九紫火星と二黒土星はゴールデンコンビであり、このコンビネーションが得られると、国民の意思は政治にきちんと反映されるようになります。この流れが11月から明確に現れ、12月に行政上の手続きに入り、1月の結論に達するのです。次年度以降の最も大きな流れは国民によってもたらされます。国民を意味する二黒土星は今年とは打って変わって、来年からいよいよ行動に出ます。この国民の動きは既に11月から始まっています。

〔破の経験を活かす〕
破とは暦の年盤月盤日盤に出てくる障害をもたらす気のことです。その年、その月、その日の十二支の対冲(反対側)にある十二支に付きます。日破はその日の障害であり、月破はその月の障害であり、年はその年の障害と見なします。従ってそれぞれ影響する期間が違ってきます。また期間のみならず、その人の生活や人生に対する影響の大きさもそれぞれ異なります。日破はその日または数日程度の障害、月破はその月内に収まるもの、または2,3か月内に収まるもの、最大でも半年以内の影響に収まる障害です。歳破は1年に留まらず、場合によっては数年から数十年、タイミングによっては一生に関わる障害も出てきます。この違いをよく弁えておくことが運気を強くするポイントになります。つまり破の出来事をいつも自分の記憶にとどめ、これを次の経験に活かすのです。その日に起きた失敗から学び得たことを日々の生活に活かし、その月に特徴的に現れた失敗を心構えとして活かし、その年に特徴的に現れた失敗を物質的な備えに置き換え、今後の人生の教訓として自分のみならず他の人のために活かすのです。破はできれば遭わずに済ませたいものですが、破の段階を経た失敗がなければ、より大きな失敗を防ぐことは出来ず、また今後の方向転換にも活かせません。日々の失敗から得た教訓は何にも代え難い智慧になります。

〔七赤金星天道時代に不可欠の気〕
九紫火星は規範の気であり、ここから社会の秩序と人間関係の正しい間合いを作ります。九紫火星という存在は部屋の明かりと同じです。すべてのものが揃っていても、その部屋の明かりがついていなければ何も揃っていないのと同じです。これと同じで人と人の間に九紫の気が欠けると、他のすべてが整っていてもすべてを台無しにしてしまいます。九紫の気は決して過剰に求めるものではありませんが、これを軽んじると九紫の特徴に従って、打ち切り、断絶が生じます。他は全部問題ないのだが、唯一九紫が不足している。これだけで評価の対象から外れてしまうのです。
 七赤天道の時代は七赤金星の程良さを生活の隅々まで浸透させていきます。七赤は九紫の堅苦しさを緩め、和やかでフレンドリーな気を作ります。ところが七赤は九紫の支え無くしては天道の力を発揮することができません。九紫という気は後天図という気の配置図の南天に位置します。この後天図の頂上に君臨する意味は大変大きいのです。この頂上には規範、基準、評価があります。人と人の間の正しい間合いは時代がいくら変遷しても変わることはありません。七赤は堅苦しさを緩め、九紫は緩みからくる失敗やトラブルを防ぎます。二つの気のバランスは人間関係の組み立ての上で最も重要な組み合わせであり、九紫が求める規範は七赤天道時代を軌道に乗せるための欠かせざるエネルギーとなります。




                                     (浅沼気学岡山鑑定所)

「元世翬の気学観測」第八十二話

2022年10月31日 | 気学よもやま話
(8月から11月の気の流れ)
気の世界は3のリズムで動いており、一年の始まりである2月の節分に先立つ事3か月前の11月から次年度の運気が徐々に入ってきます。今年の11月は二黒土星が月盤の中宮に入り、年盤の五黄土星と同会を果たし、同じ土の気がエネルギーを倍加させ、土の破壊と浄化エネルギーが一段と活性化します。二黒土星は腐敗したものを解体分解し、元の綺麗な姿に戻します。この流れに至り、世界の何が解体し何が浄化するのか、私たちは自分の身に置き換えてみなければなりません。

今年の8月は五黄土星が月盤の中宮に入り、年盤の五黄土星と月盤の五黄土星が同会するという一つのクライマックスがありました。五黄土星は未成就のエネルギーを成就または破綻させるエネルギーです。注いだエネルギーは必ず一定の時間を経過して形になります。五黄の気は両極端に動く特徴があり、良くも悪くも世の中を揺るがします。

8月より始まった一つの動きは革命とともに起きる腐敗の浄化です。五黄は今まで隠されてきたことを表に出し、世の中の実態を周知させます。この動きが8月から始まり、国民の行く末が五黄の動きに託されています。11月は翌年に起きることの象徴となる出来事が起き始めます。従って2023年は二黒土星すなわち国民に主導権が移り、権力者ではなく国民が世界の方向性を決めるという流れが出てきます。

(東の九紫火星に注目する)
8月から厳しい運気を続けてきた二黒土星はようやく決意表明とともに存在感を表します。折しも11月はエネルギー活性化をもたらす天道を伴い九紫火星が東の震宮に入ります。この東の九紫火星天道は3年に一度回ってきますが、世の中に対する非常に大きな影響力を発揮します。九紫は規範を司り、東の震宮は行動の始まりを意味する宮です。東の九紫は世直し、救済、情報開示をもたらします。この九紫と二黒が11月からぴったりと歩調を合わせ、世直しに乗り出します。

ここで明らかになることは“浄化すべきものは何だったのか”と言うことです。それは個々人によってその中身は異なることでしょう。それはすべての人が自分なりに気付き、11月を機に成し遂げることです。自分にとって澱んだもの、古くなり汚れて役に立たなくなったものが何だったのか。これに気付き、これを捨てる時です。これは“もの”ではなく自分が持つ“気”です。ここで浄化を成し遂げた人は、東の九紫天道に導かれ、長く続いた束縛、偏った考え、思い込みから解放され、新たな自分を発見することになります。

                        ♦

(“すべき”と“ねばならない”の根源)
これをすべき。こうあるべき。こうしなければならない。この“すべき”と“ねばならない”の根源を気学でたどってみると、概ね気の偏りから生じていることが分かります。気の偏りとは必要以上に強く反応するところ、そしてその強く反応することによる反作用です。総じて何かに対する強い反応は、何かに対する思い込みやこだわりから現れます。

“すべき”と“ねばならない”という気はエネルギー的には過剰と不足からもたらされており、不安定軌道をたどります。この過剰と不足は必ず一定期間内に調整されます。この調整の過程において起きることが、トラブル、事故、病気などの災いです。本当に自分がやりたいことをやっている時は、“すべき”も“ねばならない”も現れません。この二つの不安定エネルギーは通常、外部からもたらされているように見受けられますが、実は自分が持つ気からもたらされます。

その人が持つ本命、月命の動きを暦に照らし合わせて見ればこのことが如実に分かります。“すべき”も“ねばならない”も外からはやってきていません。自分自身がそう思うことにより、そのような状況がやってきます。人はやりたいことが明確になると、条件は整わずともその準備をひとりでに始めます。この時の自分の状態は、“すべき”でも“ねばならない”でもないのです。

物事の成果は始まりの気によって決まります。気の世界は喜びまたは共感をもって始まることを後押しします。“すべき”または“ねばならない”で始まることはモティベーションとともにしばらくは続きますが、本当の自分の気持ちに素直になると、人はすぐに偽りの自分に気付きます。偽りの自分は自分の軸で決めていません。本来の自分ではないものに一時的に身を寄せているだけです。

気学では何かを決める時は本命または月命が必ず入る特定の位置(宮)があります。偽らざる自分はその宮に入ることにより本来の自分に戻り、均整の取れた決断をすることができます。その本来の自分に戻る時、協力体制を築き、我々を手助けする気があります。それが喜びの気である七赤金星と共感の気である一白水星です。

(願いの成就になぜ喜びと共感が必要なのか)
エネルギーが成就する時には一白水星と七赤金星の気が必須の役割を果たします。この時の一白は共感、七赤は喜びです。私はことあるごとに物事を始める時はこの二つの気を持つようにお話しします。

この二つの気が裏で成し遂げていることはタイミングの形成です。エネルギーはタイミングが合う時に発生します。タイミングが合わないものはエネルギー発生の条件を満たさず、いずれ中断、中止、決裂します。人はこのタイミングを非常に軽視する傾向があります。タイミングとはそれを始める時と場所が正しいこと。さらにはそれにかかわる人や物などの連携が整うことです。これらの要素が上手く揃う時をタイミングが合う時とするのです。

いくら思いが強く、膨大なエネルギーを注いでも、タイミングが合わなければ注いだエネルギーは成就しません。タイミング形成に大切なものは、関与する人々との合意形成、周囲が求めていることを感じとること。すなわち共感です。この共感を整えるのが一白と七赤の気です。このことは一白と七赤の気を我々一人一人が常によい状態に保つことの重要性を説いています。気の世界は同じ気を持つもの同士が繋がる世界です。物事が上手くいくタイミングとは自分自身が一白の共感と七赤の喜びを持っている時です。人は自分のやりたいこと(喜び)、興味を持っていること(共感)に意を注ぐとき、自然に物事を始めるタイミングが整い、そのエネルギーは成就の過程を進みます。




                                       (浅沼気学岡山鑑定所)


「元世翬の気学観測」第八十一話

2022年09月30日 | 気学よもやま話
(裏にこそ本当の姿が現れる)
 8月から続いている大転換の流れは11月まで続きます。大転換と言っても世間を見て何が変革しているのか分からないという人もいることでしょう。但し、大転換は見えない所で既に起きており、11月の決着に向けて着々と進んでいます。欧州に目をやるとエネルギー危機がいよいよぎりぎりのところまで差し迫っています。冬期のエネルギー確保にはエネルギー政策の大転換がどうしても必要です。今まで通り目先の利益に捉われ同じスタイルを貫くのか、あるいは国の政策をそのまま信じて沈みかけた船にそのまま留まるのか。
 以前、国民が8月から立ち上がると申し上げましたが、この状況は各国で何らかの政治的事情や自然災害の影響で既に形に現れています。大転換はどの国でも起きています。但し、その情報を自分から掴まなければ何も起きていないと勘違いしてしまいます。これが二極化の実態です。2020年の価値観の崩壊以後、自分がすべての軸にならなければ何も見えてこないという世界に私たちは生きています。易は裏を見よと教えます。表の姿は作られたもの、見させられているものです。裏にこそ本当の姿が現れるのです。

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(二極化の流れの中で起きていること)
 法、制度、しきたりは気学では本命環境に属します。本命環境は形に現れる世界であり、一度形に現れると容易に変更できないという特徴があります。法、制度、しきたりが一度作られると容易に改正できないのは、気学から捉えると本命環境の特徴を持つからです。それはしばしば動きづらさとなり、我々の行動に制限を設けます。
 規則とは秩序を維持するために作られるものであり、本来そこに従属する人を制約するためのものではありません。規範、規則は九紫火星の気に属しますが、九紫の最終目的は束縛からの解放です。二極化以降特に顕著になってきている傾向として、九紫の本質に反する法律、条令の制定及び法改正があります。この法律、改正にはどういう大義があり、誰を解放しているのか。気学では九紫に関する事を見る時、必ずこの視点をもって鑑定します。
 “どこかおかしい”と思うことが、日増しにおかしいこととして表に取り上げられなくなってきています。これも二極化の流れの中で起きていることです。一方は明らかにそのおかしさに気付いていても、もう一方はこれをいつもの出来事としてそのまま受け止めています。2020年に起きた価値観の崩壊から二極化は確実に進んでおり、二つの列車は互いに繋がりを持たない別世界の路線へ出発したかのようにも見えます。

(分離の本当の意味)
 分離を九星に置き換えると九紫火星の働きとなります。九紫は合わないものを切り離し適切な距離に収めます。九紫火星は八卦の離の気質から現れたもので、離は離れる意味と離(つ)く意味があります。つまり本来の九紫火星の働きは合うもの同士を付かせるために合わないもの同士を切り離していると言えます。
 二極化によって現れる人々の分離も同じように見ることができるでしょう。合うもの同士を結びつかせ、本来結びつくべきもの同士を結び付かせるために、合わないものから切り離していると。気の世界は調和と永続のために陰陽五行という法則を作っています。調和と永続とはすべてが適切な場に配置され、それぞれの特性を発揮することにあります。分離のための分離は調和に反する動きです。従って二極化という分離はいずれ陰陽五行の循環の中で消滅し、調和のための統合へ切り替わっていきます。

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(七赤時代が分離した世界を統合へ導く)
 七赤時代が到来したと以前から私は申し上げています。七赤時代とは七赤天道のエネルギーが世の中へ浸透していく時代のことです。七赤天道とは七赤本来のよき特質が発揮される状態である。それはすべての人がそれぞれに持つ喜び、楽しみであり、生活全般における真の利便性、心地よさの実現です。気の世界は循環を通して進化します。七赤はこの進化を変容の形で成し遂げます。七赤は九紫の規範を生活レベルの利便性に変容し、誰にでも使え、面倒な手間をことごとく廃した形に作り替えます。
 七赤天道時代の流れは、すべての人が難なく溶け込めるものによって進化と変容を促し、喜びと楽しみをモティベーションとして生きていく方向性を定着させます。今後数年間で七赤天道の気は生活の様々な局面に浸透し、人々の意識に浸透していくことになります。その時、私たちはすべてのことに対し、こう問いかけてみる必要があります。

これは我々の生活を本当に便利にしたか。
これは我々の生活を本当に楽にしたか。
これは我々に喜びと楽しみを与えたか。

 誰かが決めたこと。組織が決めたこと。政府そして国が決めたこと。これらすべてのことに対して、このことを問いかけてみてください。そして七赤に関する事だけは建前が通用しないと知っておくことです。暦を見ると、今後数年間で七赤の良き気質を持たないものは気の世界の本流から外れていくように見えます。世界の二極化は我々の生き方を分離させようとしますが、七赤の気は我々を喜びと楽しみの元へ合流、統合させようとします。喜びと楽しみに欠ける世界は今後我々の意識から徐々に外れていき、数年後には土から抜かれた草のように萎えた姿で枯れていくと私は観ています。





                                   (浅沼気学岡山鑑定所)



浅沼元琉の気学観測

FM"RadioMOMO"の『浅沼元琉の気学観測』コーナーでお話ししたことをまとめました。