元世翬の気学観測

運気の流れを気学で読み解く

ゲーテの色彩論

2015年12月15日 | FM”レディオモモ”での放送
拙著「人生を左右する陰陽の法則」(あたま出版)の中でゲーテの色彩論が引用されています。

色彩論は一般的にニュートンが示した光のスペクトル理論から導き出されたものが通用されています。ニュートンの冷徹なまでの科学的な光の分析に対し、ゲーテはこれを真っ向から批判しました。ゲーテはニュートンのように色というものの実体を機械的で無機質な現象として見なかったのです。
ゲーテはこう言います。

「目というのは光の恩恵により、その存在自体が浮かび上がる」

色という現象は、光が生み出す外の現象ではなく、私たちの内なる目に応じて生じてくるものだと言います。ゲーテは色という現象の本当の姿を見抜いていたのです。

例えば植物の葉はなぜ緑色に見えるのでしょうか。

緑色に見える葉は、実は葉が光のスペクトルの赤色を吸収して、その逆の色(補色)である緑を反射しているから緑に見えるのです。葉は赤色の波動を内部に取り込んでいるのです。これは植物の葉の現象のみならず、私たち人の意識にも応用できます。補色という現象は、陰陽の逆転現象です。内と外の逆転です。

私たちはつらい時、なるべく人前では笑顔を見せようとすることがあります。これも陰陽の逆転現象です。また心が歓喜する時、逆にいつもの冷静さを保とうとすることがあります。これも陰陽の逆転現象です。低気圧のときは、人の体は副交感神経に傾き、血圧を下げて鎮静化しますが、一方で消化器官は活発に働き始めます。高気圧のときは、人の体は交感神経に傾き、血圧が上がって活発に動き始めますが、消化器官は逆に鎮静化します。

何かが亢進すると、一方で必ず抑制する動きが出ます。その力は10対10の力で均衡します。

これが陰陽の仕組みです。そして肝心なことは陽の側、すなわち私たちの目に見えている側の現象は、裏の陰の側から出てきているということです。本質は陰の見えない側に在り、原因は陰の側で作られます。病気も乃ち、表の体に現れる反応や障害ではなく、裏の心から生じる原因を見なければなりません。「病は気から」とは、心の持ち方、動き方にこそ原因があるということです。

見えている側に原因を求めている限りいつまでたっても、問題に対処できません。本質が見えないから、解決もしません。

気の世界は陰陽の逆転によって、私たちに何を気付かせようとしているのでしょうか。なぜ気はわざわざ陰陽を逆転させて、私たちの目を錯覚させているのでしょうか。

気の働きは一切無駄な事をしません。
陰と陽のバランスが全てです。

コントロールする側は常に隠れて見えない陰にあります。

気は実のところ私たちを安心させようとしているのかもしれません。原因が常に表に現れ、隠れる所がなくなれば、私たちの心は立ち所にバランスを崩してしまいます。

見えない側に本質は隠れ、見えない側にこそ安定の鍵があるのです。

拙著「人生を左右する陰陽の法則」(あたま出版)では、陰陽の究極の目的が何かを究明しています。

浅沼元琉の気学観測

FM"RadioMOMO"の『浅沼元琉の気学観測』コーナーでお話ししたことをまとめました。