月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

アーティストリレー日記(6)みぎわさん

2011-07-11 00:41:58 | アーティストリレー日記
今号では、毎月のさくパンに活発に出演し、皆さんお馴染みのマイム界の歌姫、みぎわさんの日記をお届けします(ああ、ビールが飲みたくなりました)

【みぎわの酩酊日記】

6月8日(水)
上野公園でアコーディオンの弾き語り大道芸。
なんと、手品師の伊藤夢葉さんが歩いてくる。
「10年ぶりに呑みましょうよぅ!」
そして数時間後のつぶやき…

_Migiwa_
やんとさんとちゅうさんときょうもとさんがはしゃいでいますよ~




馬鹿景気なあの頃、
毎晩のように、
寄りあっては呑んでいたっけ。
ビンボーは今も昔も変わらないけど。


6月19日(日)
上野不忍池の下町風俗資料館前にて大道芸。
終了後、ふらっと池のほとりの屋台に立ち寄る。

コップ酒、二杯目も終わる頃、ご新規さま着席。
紳士は沖縄へ帰る飛行機まで時間をつぶすという。
自称イタリア系の琉球系。
酔ったわたしは「マルチェロ・マストロヤンニ」
と褒めそやす。
調子にのってアコーディオン、
酔っぱらって全然弾けねぇ。
「お姉さんにもう一杯」と、
マルチェロにおごられて、さらに隣のテーブルの若いカップルとも盛り上がり、
結局酩酊の体で帰宅。
まあ、あれだ。
男前だったから…


6月21日(火)
二回目になる池袋P's Barでのワンマン・ライブ。
常連様20名弱の生暖かいご声援の中、
二ヶ月分の成果を披露。
ある意味、針のむしろ的な。
生声が心地よく響く。
刹那の陶酔。
こういう瞬間を逃さぬよう、
積み重ねること、だいじ、だいじ。
終演後に生ビールと赤ワインを2杯頂く。
vol.3は8月30日(火)20:00~と決まる。


6月23日(木)
「さくフェス2011」のお手伝いでMAKOTOシアター銀座へ。
飲み会にて、焼酎お湯割りをしたたかに。
いい気持ちの東海道線。
気がついたら戸塚駅。
上りの最終は終わっていたので、
横浜まで歩く。
…のは無理だった。
高速タクシー。
人間失格。


6月29日(水)
西麻布a-lifeにて、HIBI☆Chazz-Kプレゼンツ
「ヘブンズ・セレナーデvol.6」に出演。
サックス4本+ドラムスに取り囲まれて、叫ぶ。
強烈な快感。
リーダー、ひびさんが真剣に共演者と向き合われるので、
過去二回を反省して、しらふでのぞむ。
彼らに見合う本物のアーティストになりたい。
ならねば、なるなら、なれよ…

終演までおあずけだったビール。




この後、帰宅途中の電車の中で、ちゅうサンからメール。
「古川朔さんが6月3日に亡くなっていたのを知っていますか?」

さくちゃんがしんじゃった。

毎夜の酒盛り
汗だくの海パン姿
セクシーなマイム
無口な本音

馬鹿景気なあの頃、
わたしはひとりぼっちで、
力も居場所も無くて、
お酒を理由にまとわりついていた
古川さんには、本当に、
お世話になった。

直接一度も言わなかった「ありがとう」を、
どこかで言わねば。


7月4日(月)
昨日は先輩たちがお線香あげに行った。
わたしは仕事で行かれなかったので、
一人で古川さんのお好きだった清志郎を聴きながら、
ノンアルコール・ビールをやっている。

清志郎、過激…
湿っぽくなるどころか、
バッテリーはビンビンだぜ

わたしも呑みだすとコントロール効かないから
一人、部屋飲みはしない。

古川さん、お互いさあ、
呑みたいものを呑みたいだけ呑んでもいい、
健全なココロと肝臓で産まれてきたら、
ぜひまた一緒に呑みましょうよぅ。
どうもありがとうございました!
(今更うるせえ とか言ってそう…)

みぎわ
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『パントマイムの歴史を巡る旅』第4回(TOKYOマイムシティ代表・細川紘未さん④)

2011-07-11 00:21:49 | スペシャルインタビュー
佐々木 ところで、並木先生は、ソロ公演を頻繁にやっていたのですか。
細川 そんなに頻繁にやってなかったですね。でも、『花』、『蝶』、『煙草』いう短編は、私が東マ研に入る前に、演劇の学校公演でなさっていたということでした。演劇作品の前に、20分くらい先生のマイムを上演していたそうです。そこで短編を持って全国を回って年間200ステージくらいなさってたということを聞いたことがあります。パントマイム作品を観ている中学生の生徒さん達が最初はざわついているのに、段々と静まり作品に集中していくのが分かるとおっしゃってました。数多く舞台を踏むことで、作品が鍛えあげられたとも。

佐々木 先ほどの話では、並木先生は小学校などの学校公演を重視していたそうですが、『動物の謝肉祭』の他には、どんな作品をやっていたのですか。
細川 まだ他にもたくさんの作品があります。代表作としては、『ふしぎふしぎ』という作品があり、学校公演でやっていました。これは私がパントマイムをやり始めてから2、3年してから作ったと思います。
佐々木 『ふしぎふしぎ』は、先日のさくパンフェスでも上演して、子供たちに大変人気でしたね。1枚の新聞紙が魔法のように変化していくというシンプルな構成だけどパントマイムの魅力がいっぱい詰まっていて、僕も大好きな作品です。これは、並木先生が全部お作りになったのですか。
細川 この作品は、まず、並木先生の案でこんな感じというのがあって、みんなで考えながら作っていったと思います。一枚の新聞紙で、カメとかクジラとかをこんな感じにすると作れるんじゃないかなというのを元にして、大きな新聞紙で作りました。

佐々木 小さなサイズのモデルがあったのですね。
細川 そうなんです。昨年、『ふしぎふしぎ』をプチバルーンが復活させる際にも1枚の新聞でシミュレーションのお稽古をしたあと、大きな新聞を扱うという練習をしました。並木先生は「新聞」という存在を、世界や社会の象徴として捉えていて、3人で新聞を扱う『ふしぎふしぎ』の他にも、男子4人で演じる「創世記」や男女2人の作品もありました。どちらもとっても良い作品なので、復活に向けてがんばらねばと思っているところです。

佐々木 そうした並木先生のパントマイム理論について考えてみたいですが、並木先生は73年に渡仏して、マクシミリアン・ドクルー氏に師事されていますね。ドクルーさんって、どんな方ですか。
細川 マクシミリアンさんは、エティアンヌ・ドクルーさんの息子さんです。エティアンヌさんは、マイムの本『マイムの言葉』を書いた方で、お弟子さんには、パントマイムの神様といわれるマルセル・マルソーさんや『天井桟敷の人々』のジャン・ルイ・バローさんがいらっしゃいます。当時は、エティアンヌさんではなく、マクシミリアンさんが教えていたとのことでした。

佐々木 なるほど。では、並木先生の作品の中でドクルーの理論は、どれくらい影響しているのでしょうか。
細川 分解運動とか、フォルムとしての押す運動、ロープの動きなどの動き、テクニックの部分ではドクルーさんの流れだと思いますが、並木先生の作品についてはそんなに影響していなくて、並木先生の独自の表現だと思います。並木先生は、早稲田の演劇科のご出身で、演劇が好きだったから、芝居からパントマイムの表現に入っています。マイミストには、身体の動きやパントマイムのテクニックの面白さに魅かれてパントマイム表現を始める方と、演劇的な表現からパントマイムという表現に目覚める方と2種類の方がいらっしゃいます。分かりますか。
佐々木 ええ。でも、並木先生の作品は、パンフレットのコメントを拝見しますと、演劇的なストーリーよりも、動きそのものの抒情感を重視するというお考えですね。
細川 はい、文章を読むとそんな印象を受けますが、演劇的な作品作りをなさってると私は思います。セリフ的というわけではないですが、演劇的だと思います。試演会(東マ研の発表会)での作品作りや演技指導でも、「テクニック」よりも「想い」を大切にしてました。
佐々木 なるほど。

細川 並木先生の理論で一番重要だった事は、何だと思いますか?佐々木君!どこが伝わっているかが問題ですね。
佐々木 ハハハハハ…。やはり、「主役は無対象」ですね!
細川 そこですよ。そこが大きな違いですよ。「主役は無対象」!パントマイムをなさる他のアーティストの方の作品では、「主役が自分」と感じる事もありますが、並木先生はそうじゃないんです。そこが一番重要だったところです。見えてくる「空間が主役」、という事です。

佐々木 大変重要ですけど、難しいですよね。
細川 難しいけど、それが見えてこないと成り立ちません。パントマイムは、空間が観ているお客様に伝わって、感じられて、初めて成立するものです。舞台の上で演じている人間だけしか見えなくて、周りの空間が全く見えてこないとしたら、想像力も拡がらないし、感情移入もできなくなり、まったく作品を楽しめませんよ。「空間が主役」で、舞台上にたった一人しかいない「演者が脇役」、という捉え方です。
佐々木 そこは大きな違いですね。
細川 そうなんです!その表現だったからこそ、前もお話ししたけど、『ラプソディ』観た時にすごくびっくりして感動して、それで、私はパントマイムに取り組むようになったんです。

(つづく)

※脚注:佐々木は細川さん主催のTOKYOマイムカレッジの生徒です。
※参考:「主役は無対象」に関する並木氏の言葉
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