月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

編集長の気ままにコラム(4)-ヨネヤマママコさんを偲ぶ会

2024-02-23 09:41:51 | 編集長の気ままにコラム

2月12日に、昨年9月20日にこの世を去ったヨネヤマママコさんの偲ぶ会が立川市のスタジオLaLaLaで開催されました。

会場は、ママコさんがお好きだった公園のスタジオ。立川駅から徒歩20分程度で、立川とは思えないほど自然が豊かで、自然の中に溶け込むようにスタジオはたたずんでいました。

 

偲ぶ会は、ママコさんの過去の数々の写真や衣装などが所狭しと飾られた小さなスペースに、関係者20数名が集まり、一般向けの展示のあと、夜に行われました。

最初に、当時、一番弟子だったあらい汎さんが挨拶し、ママコさんの略歴を紹介。加えて、海外から帰国したママコさんのスタジオに訪れて、無理矢理(?)に、あらいさんが弟子入りしたエピソードなどが披露されました。

ママコさんに30数年にもおよび付き添っていた明神位米太良さんは、ママコさんが天国に旅立つ前に残した言葉を紹介。これから、この世を旅立つことを確信していたママコさんの覚悟やお気持ちが静かに伝わってきました。そして、最後には、ママコさんと何度も音楽で共演したことがあるクラリネットの橋爪恵一さんの演奏に合わせて、参加者による即興ダンスが躍られました。

何人かの関係者の方とお話しましたが、とても2、3時間では語りつくせないようなさまざまな想いが溢れるようなひと時でした。

ママコさんは、晩年まで舞台に立ち続け、マイムリンクの舞台にも5回ほど喜んで出演していただき、多くのパントマイミストとの交流を心から楽しんでいたことが非常に印象に残っています。ママコさんが日本のパントマイムに残した数々のものは、多くの人々の心の中にしっかりと受け継がれていかれることでしょう。

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編集長の気ままにコラム(3)-あなたの知らないパントマイム養成所(上)

2024-01-25 19:20:35 | 編集長の気ままにコラム

1月という事で、新年の始まりに新しい事を始めたい方もいらっしゃると思います。
今回は、意外とあまり知られていないパントマイムの養成所・クラスについて、2回に分けて紹介したいと思います。

まずは、われらがマイムリンクの代表、細川紘未さんが代表を務めるTOKYOマイムカレッジです。

●TOKYOマイムカレッジ 主宰・細川紘未

◎クラス日時
・初級クラス 毎週水曜 14:00~15:45
・初中級クラス 毎週水曜  19:00~20:30
              毎週土曜 10:15~12:00
◎料金:入会金:22,000円 年会費5,500円(年度末、ご入金。入会年度不要)
◆研修クラス・月謝・料金 
・月2回X2ヶ月分:¥12,100(2ヶ月分づつ入金) 
・月4回:¥9,900
・月8回:¥15,400 
・月間パス:¥18,700(研修クラス&専門クラス、全て受講可) 
・1回受講・月4回、8回コースの方:¥2,420
・月2回コースの方:¥2,750 
・1回づつ受講の方:¥3,520    
◎会場:スタジオエヴァ(新大久保)
◎お問い合わせ:細川紘未ホームページ
◎細川紘未ホームページ:http://www.hosokawahiromi.net/
◎クラスの特長
社会人の方の参加者が多く、まったくパントマイムを知らない初心者の方も丁寧にご指導していただけます。年3回の舞台(ライブパーティ「ライパ」)に出演して、ご自身の作品発表も可能です。規定の回数をクリアすると「卒業公演」に挑むことができます。クラス以外にも、花見や花火、クリスマス会、合宿などさまざまなイベントもありますので、エンターテイメントもかなり充実しています♪(byささき)

続いて、日本で最も長い歴史を持つ日本マイム研究所の紹介です。

●日本マイム研究所 所長・佐々木博康
◎見学/無料
◎1回体験/2,000円
◎レッスン日
月・水・金 19:00~21:00
火・木 14:00~16:00
◎会場:東京都世田谷区
◎日本マイム研究所ホームページ:https://www.japan-mime-studio.com/
◎クラスの特長
日本で最も歴史のあるマイムの養成機関。そして、エティアンヌ・ドゥクルーに学んだ佐々木博康さんによる丁寧な指導を受けることができます。日本マイム研究所の出身者には、マイム界を代表する著名な方々がいらっしゃるようです。クラスでは、年複数回の発表の場があり、実践的な作品作りができます。(byささき)

そして、こちらも知らない人はいないであろう、人気パントマイミスト、山本光洋さんによるクラスの情報です。

●マイムクラス 主宰・山本光洋
◎レッスン日:毎週月曜18:45~21:00(月3回)
◎会場:都内
◎料金:2,000円/1回
*月謝なし
◎お問い合わせ:山本光洋ホームページ
◎山本光洋ホームページ:https://www.koyoworld.com/
◎クラスの特長
大道芸や舞台で大活躍の山本光洋さんが、実践的なパントマイムのテクニックを大道芸や舞台でどのように利用したら良いのか、作品作りも含めて、丁寧にご指導していただけます。パントマイム以外のジャンルで学んでいる方も、結構、クラスに通っております。年に何回か小作品の発表の場もあり、貴重なアドバイスを頂けます。(byささき)

それぞれのクラスによってメソッドが大きく異なりますので、ご自身のスタイルに合った養成所を見つけることが大事です。それでは、Let's try!

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編集長の気ままにコラム(2)

2022-07-24 16:42:15 | 編集長の気ままにコラム

今回は、もうすぐ夏休みということで、夏休みに是非読んでみたいパントマイム関係のおすすめの本をご紹介します。
パントマイム関係の本って、ご存知の方はご存知ですが、いやあ、本当に数少ないですね。普通の書店に行っても、まず本が置いていません。これだけパントマイムがテレビや新聞などで取り上げられていて、映画の題材になっているにも関わらず、その割には少ない気がします。これから、本が出てくると良いのですが、出版社の方、パントマイミストの方、是非是非、期待しております。

その中でも厳選して、今回は2冊の本をご紹介します。
まず、「マイムの言葉‐思考する身体」(エティエンヌ・ドゥクルー著、並木孝雄監修、小野暢子訳)。現代のパントマイムの祖として知られる、エティエンヌ・ドゥクルーの講演や雑誌記事、未発表のエッセイなどを集めて出版された本の翻訳です。ドゥクルーという方は、一言で説明すると、ジャン・ルイ・バローやマルセル・マルソーの師です。ドゥクルーによるパントマイム理論が内容の中心なのですが、とにかく文章が難解過ぎて、僕には完全には分かりません。なのですが、パントマイムとは演劇やダンスとどう違うの?という、その表現スタイルを考える上で非常に色々と興味深い話が書かれていると言えると思います。あと、世界のパントマイム史にご興味がある方(少数かもしれませんが)にとっては、この書籍の及川廣信先生による解説文はかなり参考になるのではないでしょうか。マイム論を考えるのがお好きな方、マイムの歴史にご興味のある方にとっておすすめの一冊です。

続いて「砂漠にコスモスは咲かない」(ヨネヤマママコ著)。こちらの本は、残念ながら絶版となっておりますが、一部の図書館に行けば読むことができます。わが国のパントマイム草創期を開拓したヨネヤマママコさんご本人による思い出とエッセイが掲載された1冊です。内容としては、ママコさんがアメリカにわたった時のエピソード(想像を絶するような貴重なお話が書いてあります)の数々、ご自身のパントマイムに対する想い、そして、ママコさんのパントマイム論も少し記載されております。まだ、パントマイムというジャンルが確立していない道を自ら1人で切り開いていくことの困難さと勝ち取っていくことの喜びが描かれていて、歴史的にも貴重な記録と言えると思います。

今回、2冊の本をご紹介しましたが、やはり、読みたいのは故・並木孝雄先生の文章を一冊にまとめた本です。細川紘未さんのホームページにいくつか並木先生ご自身の文章が掲載されておりますが、マイムとは何かを考える上で非常に示唆に富んでいる内容で、大変興味深い。どなたか書籍化される方がいないのでしょうかと言ってみたくなります。

というわけで誌面の関係で、2冊しか紹介できませんでしたが、パントマイムを舞台で観るだけでなく、文章で楽しむということも、パントマイムの魅力を知る上で大事なのではないでしょうか。

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マイムリンク活動15周年記念特別コラムby編集長(下)

2022-05-24 20:15:07 | 編集長の気ままにコラム

マイムリンク活動15周年を記念して特別コラムを2回にわたってお届けします。今回は、後編となります。

 この2つの奇跡の後、マイムリンクに転機が訪れます。
 2012年6月の「パントマイムウィーク6マイムマルシェ」の公演後に、MAKOTOシアターは閉館(2012年7月)となり、使えなくなりました。そして、この近辺からは、マイムリンクに興味を持ってくれていたアーティストの方々も何度か参加したことにより、出演者数も徐々に減っていったと思います。運営側としては、毎回の企画や出演者の声かけに悩みながらも、団体として活動を続けていく感じだったと覚えています。会場問題は、一度は西日暮里の戸野廣浩司記念劇場で2014年6月に「東京マイムフェス2014」を開催し、その後、2015年には、ついに、マイムリンク代表である細川が新大久保にスタジオエヴァを開設し解決することができました。

 そして、2017年には、マイムリンクは10周年を迎えて、記念公演を6月に開催しました(会場はスタジオエヴァと武蔵野芸能劇場)。特別プログラムには、ヨネヤマママコさん、佐々木博康さん(日本マイム研究所)、あらい汎さん(汎マイム工房)、清水きよしさん(清水きよしパントマイムワークス)、マイムリンクの細川紘未が出演し、パントマイムの歴史を牽引してきた巨匠による奇跡のような公演でした。巨匠といわれる方々の持つ熱量というか、空間を変える力を改めて感じた舞台でした。スタッフの立場としては、舞台そのものよりも、事前準備も含めて、とにかく大変だったという記憶が非常に残っています(笑)。

 10周年で一区切りかな、でもまだ終わりたくない、と個人的には思っていた中で、翌年、4つめの奇跡が起こりました。今度は、海外パフォーマーを集めたマイムフェスティバルです。どういう発想から生まれたかというと、マイムリンクにホームページを通して、海外のアーティストから出演の問い合わせがたまに来ていて、こちらとしては、渡航費がネックとなり、そうした海外出演者を積極的に受け入れることが難しく、お断りしていました。2018年に何のイベントをするかという話の中で、マイムリンクの長年にわたる積立金を使って、海外の出演者を呼んで国際フェスを開催できると良いよねという話が浮上。そこで、韓国やタイ、インドネシアのアーティストに対して、ツテを使って出演者の呼びかけをしました。イタリアのアーティストは、細川が前年に、タイの国際マイムフェスティバルに出演した時に知り合ったアーティストで、日本での公演を積極的に望んでいて、ご招待することになったかと覚えています。
 そんな形で2018年6月に「国際シアターパントマイムフェス2018」をスタジオエヴァにて開催。日本、インドネシア、韓国、タイ、イタリアの5カ国のパントマイミストが出演。小さな会場で国際色豊かなパントマイムが繰り広げられ、その時も準備がかなり大変だったのですが、非常にワクワクする公演でした。千秋楽の公演後の打ち上げは盛り上がって、次はどこの国でフェスをやろうという話も出ていたような記憶があります。

 このような4つの奇跡があった後、皆さまご存じのように2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で表現の世界も激変。2020年と2021年はオンライン配信も活用しながら、活動を続けることができました。そして、2022年。マイムリンクは活動15周年を無事に迎えました。多くの観客に支えられたおかげで、歩みを続けてこられたと改めて思います。これからも1人ひとりのアーティストのそれぞれの表現のすばらしさを伝えていきたいです。
 この文章をお読みのあなたも次の奇跡を目撃にエヴァに来ませんか?

佐々木麗明

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マイムリンク活動15周年記念特別コラムby編集長(上)

2022-04-24 19:19:35 | 編集長の気ままにコラム

マイムリンク活動15周年を記念して特別コラムを2回にわたってお届けします。今回は、前編です。

「マイムリンクに訪れた4つの奇跡」

 マイムリンク事務局の佐々木です。今年は、マイムリンクの記念すべき15周年ということで、15年の歩みを少し振り返ってみたいと思います。
 マイムリンクは、2007年に誕生しました。立ち上げたのは、現マイムリンク代表の細川紘未です。そもそもは、細川はTOKYOマイムカレッジ(以下、TMC)というパントマイムスクールを主催しており、その生徒のための試演会(発表会)が半年に1回程度ありました。当時、TMCのレッスンで利用していた高田馬場のスタジオがクローズしてしまったため、別会場を探し、そこで、5日間の使用で割引があるということで、2つの公演を組み合わせて開催しようということになった。
 そこで、外部のアーティストを呼んで別の公演とセットでやれば良いという発想で、「パントマイムウィーク IN 荻窪」(2007年2月28~3月4日)という公演を企画しました。その当時は、まだマイムリンクという名称は使っていません。
 外部からは、新空間主宰の山田とうしさんがご出演して、細川紘未と2人の公演(それぞれのソロ公演)、そして、TMC生徒の発表会という2つのプログラムでした。会場は、今はありませんが、荻窪のメガバックスシアターという小さな劇場でした。その時は、別に団体を作るとかは、まったく考えていなかったと思います。特段、新空間とTMCの間に何か交流があったわけでもなく、かなり偶然的な要素が強かったのではないでしょうか。TMCの呼びかけに快諾して出演頂いた、とうしさんには、今でもマイムリンクの色々な機会にご出演いただいています。

 そして、次が2007年10月に、パワーアップした形の公演をやることになりました。今度は「パントマイムウィークin荻窪Ⅱ」というタイトルです(主催はパントマイムウィーク実行委員会)。今度も企画のリーダーは、細川紘未です。
細川の師であった並木孝雄氏が所有スタジオ(気球座スタジオ)で、たくさんのパフォーマーを集めて「パントマイムギャラリー」というパントマイム連続公演をシリーズ化して開催しており、同様の公演を細川が企画したいという思いがあったとのこと。外部のアーティストを多く呼んでフェス的な公演にしようということになりました。その時、チカパンさんがかなり運営側の中心に入っていただいて、色々な方に出演の声をおかけいただいた記憶が残っています。
 出演者は、あがりえ弘虫さん、細川紘未さん、チカパンさん、しいなまんさん、ズッカーマン明子さん、毒マイムさん【邪道マイム(後藤敬一郎)・下道マイム(北大輔)】、間瀬貴典さん、林裕美さんという方々です(TMC生を除く)。その中で、特にあがりえさんは、その後のマイムリンクの公演で、中核に入って出演者としても、また運営面でも、両方で超人的な活躍をしていただきました。
 こうした外部アーティストとの出会いが、奇跡だったと思います。当時は、今ほどアーティスト同士の交流はなく、アーティストが協力しあって自主公演するというスタイルがとても独創的でした。その中で生まれる交流がとても楽しく、懐かしい思い出です。
 第2回の「パントマイムウィークin荻窪」の大成功によって、マイムリンクの形の原型が出来上がったと思います。その後、パントマイム公演とミニレクチャーを毎月開催する「さくっとパントマイム(さくパン)」が2008年から、高田馬場のBABACHOPシアターでスタート。実は「さくパン」と「パントマイムウィーク」は、当時は別のグループで活動していたのですが、2010年頃からマイムリンクととして一つの団体で活動を行うことになりました。

 活動の中で、問題となったのが会場問題。荻窪メガバックスシアターは、パントマイムの劇場としては少し小さく、設備もあまり整っているとは言えずという状況でした。そこで、スタッフの松田充博さんから、銀座のMAKOTOシアターをご紹介いただきました。これが2つめの奇跡です。本格的な劇場空間に拠点を移したことで、ステージ空間としても変わったと思います。MAKOTOで初のフェス開催となった2008年5月28日から6月16日に開催した「パントマイムウィーク3 銀座9Ave」には、オープニングも含めて10の公演に、若手から大ベテランまで27人のパフォーマーが出演。
 本当に今思うと夢のような舞台だったと思います。そのあたりから、僕はスタッフとして関わっていましたが、色々なアーティストさんとの交流が非常に楽しく、銀座(劇場は京橋近辺)に通う日々が忘れられません。
 2008~2009年は、マイムリンクの活動初期の開花期と言っても良いかもしれません。08年11月には、「第1回さくパンフェス」、09年3月には、松田充博演出・作の「スクラプ’s」、2009年6~7月に「パントマイムウィーク4 MIME MODE」、同年10月に「スクラプ’s 2.0」、同年11~12月に「さくパンフェス2009」を上演したほか、毎月のように「さくパン」を開催しました。やっぱり、MAKOTOシアターという自分の劇場のように自由に使える場所を得たことが大きかったのではないでしょうか。

(続く)

 ささきれいめい

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