月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

『パントマイムの歴史を巡る旅』第3回(TOKYOマイムシティ代表・細川紘未さん③)

2011-06-04 02:19:14 | スペシャルインタビュー
佐々木 その当時はパントマイムのアンサンブル公演が結構あったのですか。
細川 ほとんどなかったです。汎マイム工房さんや他のところでも、少し上演なさっていたと思いますが、本当に数は少なかったです。それでも、東マ研には入所金や月謝を払って、週3~4回のクラスに生徒さんが通っていたわけです。それがどういう事かというと、当時の方が沈黙の表現に対して馴染みがあったということだと思います。
佐々木 なるほど。
細川 今の人の方が沈黙に耐えられない人種になってきてると思うんです。今は、全部情報が与えられないと話に付いていけない感じがします。テレビではテロップが
入って全部解説してしまうような。当時は、ヨネヤマママコさんも良く知られていたし、マルセル・マルソーさんも頻繁に来ていた頃ですから、今よりは、まだマイムの表現に馴染みがあったんだと思います。チャップリンさんの映画も良く知られてましたし。言葉の無い表現をじーっと黙って観て、あれこれ自分で考えて自分なりの答えを見つけることのできる人が多かったのだと思います。

佐々木 並木先生の代表作となりますと、やはり、ボクサーの日常と戦いを描いた『ラプソディ』でしょうか。
細川 代表作は他にも沢山ありましたが、『ラプソディ』は、月1で開催していた(アトリエ)ライブで上演するなどして、上演の機会が多かったです。その当時は中野坂上に稽古場がありましたが、シスターが入った当初は稽古場が新中野にありました。
佐々木 新中野から中野坂上に移ったのですね。
細川 そうです。新中野の前は、新宿二丁目にあったらしいです。

佐々木 細川さんが一番好きな並木先生の作品は何でしょうか。
細川 一番好きと云われると悩みますね。並木先生の小作品、『花』『蝶』『煙草』もとっても好きですし、『ラプソディ』も大好きです。あとは、『ロングディスタンス』も大好きですね!
佐々木 ああ『ロングディスタンス』ですね!これは、二人で演じる作品ですよね。当時は、並木先生と誰が共演していたのですか。
細川 私が観た時は、服部宣子さんと共演されてました。
佐々木 この作品は、二人の人間模様を描いた作品ですか。
細川 そうですね。大道芸人のお二人が芸をするけど、お金が無くて、食べるものがない。ちょっと凹むんだけど、パントマイムが二人を癒してくれてまた希望を持って進んでいくというものです。45分1本ものの作品なんです。
佐々木 45分とは長編ですね!
細川 そうなんです。
佐々木 そんなにダイナミックなストーリーがあるわけでもないですよね。
細川 ないですね。でも見終わった時に心がほっこり温まる、本当に良い作品なんです。
佐々木 それはぜひ観てみたいですね。

細川 実は、並木先生がお亡くなりになってから、一度、本多愛也さんと私で再演したことがあるんですよ。
佐々木 ええー。
細川 これも素晴らしかったのです!自分で云いますが(笑)
佐々木 もう再演はやらないのですか。
細川 またやれるといいねって言いながら、年月が経ちました。でもこの作品は、また絶対に再演しないといけないと強く思ってます。

(つづく)
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アーティストリレー日記(5)あがりえ弘虫さん

2011-06-04 02:07:12 | アーティストリレー日記
今号では、「さくパンフェス」Cプロにユニット「座・愚痢むZOO」(あがりえ弘虫・島留美・一糸堂)でご出演する、ベテランアーティスト、あがりえ弘虫さんの日記をお届けします♪
本番に向けて稽古を重ねる「座・愚痢むZOO」の様子が伝わってきますね。


五月晴れの日曜
Cプロ座・愚痢むZOOのあがりえです。
まあなんでしょうね、美しい初夏ですね、窓外の景色に見とれ阿呆のように空を仰ぎ、いかんいかんこんな事ではと深呼吸すると初夏の薫風、これは稽古場にこもって、「うんうん」うなったり、考えをまとめることなど到底不可能なわけですなあ。

ところが我々4人組は、はかどっとりますよ。
今回の演目は「おおかみと七匹のこやぎ」
コンセプトは、演劇部の発表会。最初高校の部活な感じがこのところ女子短大保育科な感も垣間見えますなあ。部費ゼロの演劇部なのでいろんな物は使い回し、足りない物はゴミ箱から徴収。

まとまらない部員を引っぱって一人で何人もの役をこなさなければならない部長。
演技を甚だしく勘違いしている新国劇狂いの部員。宝塚にあこがれる会計。
なんにも考えない口から出任せな書記。

このような有様で作品が作られているところです。
このところ部員の暴走ぶりが素晴らしい境地に入りつつあり、笑いの絶えない演劇部であります。
さて誰が誰なのかは、ご覧になってのお楽しみ。

演劇部的困窮的人形劇的マイム的親子対象的娯楽作品「おおかみと七匹のこやぎ」上演間近ですよお、お楽しみに。

あがりえ弘虫
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