月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

『パントマイムの歴史を巡る旅』第7回(アジアマイムフェスティバル主催・小島屋万助さん(1))

2012-01-08 08:19:28 | スペシャルインタビュー
「アジアマイムフェスティバル」をご存知だろうか。「パントマイムウィーク」や「さくっとパントマイムフェスティバル」のようなパントマイムのフェスティバルが始まるずっと前、このフェスティバルは、1994年から6年間にわたって毎年夏に長野県と東京で繰り広げられ、国内のみならず、韓国、タイ、インドなどアジア地域のアーティストも幅広く加わり、まさに奇跡のような大イベントだったという。今回は、アジアマイムフェスを主催した小島屋万助氏に、当時の活動を中心に話を聞いた。
(※年月など事実関係は正確さを期するよう努めておりますが、かなりの年月が経過しているため、100%の正確性は保証できません。ご理解ください)

佐々木 初めにアジアマイムフェスを開催したきっかけは何でしょうか。
小島屋 まず、1992年頃に僕が韓国で公演を始めて、随分韓国で公演をやったんだ。元々は韓国演劇協会の招きで行ったので、演劇として捉えられていたんだけど、その公演が大変良かったんだ。そのうち向こうで呼んでくれた人が、これだけ呼んでやったのだから、日本でも韓国人を招待してイベントをやって欲しいとプレッシャーをかけられて、「うへぇ」と思ったんだけど。そこで、韓国にもパントマイミストがいるという情報を聞いて、僕も若かったので、じゃあ日本でもやってみようと思ったんだ。
佐々木 その当時、小島屋さんは、お幾つでしたか。
小島屋 38歳の頃じゃないかな。
佐々木 えーっ、38歳。イベントの企画をそれまでやった事があるわけでもないですよね。
小島屋 そうだけど、韓国公演で助成金をいただいたりしていたので、そういう仕組みを使えばできるんじゃないかなと甘く考えていたんだ。
佐々木 なるほど。

小島屋 でも、勿論お金がかかる事なのでどうやって助成金を獲得したら良いのかとか色々な人に相談した。そのうちに、これは大変だぞというふうになってきて、約束してしまったから、どんなに小規模でもやろうかなと。
佐々木 うん。
小島屋 何か団体を作って受皿にすればうまくやれるかなと甘く考えていたんだ。
佐々木 そうですか。
小島屋 そこで集まってくれた方々が偉かったんだな。
佐々木 どういう方が集まったのですか。
小島屋 94年から6年間協力してくれたのは、演出家の吉澤耕一さん。清水きよし先生、それに、東マ研(東京マイム研究所)の先輩の金井祐子さん。あと、僕の女房の羽鳥尚代、佐藤政和君、おおたゆみこさん。そして3年目から西真紀さんが加わって8人になりました。


佐々木 あとは…。
小島屋 最初の2年間は他にも実行委員が大勢いました。僕の舞台に付き合ってくれた音楽家の人とか、諸々たくさんいて。僕は元々演劇を10年やっていたから、演劇関係ですごく友達が多かったんだ。それで、「アジア・マイムクリエイション実行委員会」という団体を作って、とにかくやってしまおうということで、一回目は「日韓マイムフェスティバル」として、韓国マイム協議会会長のユー・ジンジュさんに会いに行って開催を決めたわけです。当時、韓国は、冬のソナタで有名な春川(チュンチョン)で毎年韓国マイムフェスティバルを開催していて、こちらもマイムフェスティバルにして、お互いに交流しようということだった。
佐々木 なるほど。
小島屋 でも、どう考えてもお金が莫大にかかるから、実績のない団体が助成を申請してもたぶん渡航費くらいにしかならない。それで、清水先生に相談したんだ。
佐々木 清水きよし先生ですね。
小島屋 僕は調子が良いから、清水先生の教室に2、3回習いに行って。
佐々木 2、3回!?
小島屋 清水先生に最初に韓国公演に誘って、次は日本でやるので手伝ってくださいと言って、清水先生も実行委員会にお入り頂いた。
佐々木 なるほど。
小島屋 清水先生と関わりがあった、長野県上田市の東南にある東部町(現:東御市)に、東部町を盛り上げようという若手が集まった未来塾というグループがあり、そこの方が町おこしの活動に熱心でした。町の文化遺産である、歌舞伎の舞台があるのに全然有効活用していないので、そこで公演をやろうということで盛り上がって、町の方でも多少助成ができるということになった。それが”渡りの船”で、で開催が決まったのだけど、やるにあたっては、想像以上にとてつもなく大変だったのが実感だな。

佐々木 公演は何日間くらいやりましたか。
小島屋 1週間程度の開催期間中、メインの歌舞伎舞台公演を2日、町の文化会館や公民館での公演を2日といった感じだった。この町には、東町と西宮という2つの歌舞伎舞台があって、毎年いろいろと趣向を変えて上演していたんだ。
佐々木 1年目はアーティストさんが何人くらい参加したんですか。
小島屋 1年目は一番人数が少なかったけれど、それでも合宿所に80人はいた。2年目からは、宿舎の収容限界の92~93名を越えていて、一番多い年で120名くらいいたかな。
佐々木 すごいですね。
小島屋 すごかった。そのうちマイミストや芸人は、40~50人いたんじゃないかな。勿論、スタッフだけで来ている人もいて。(がーまるちょばの)ケッチ君や吉見君は、1年目からスタッフだからね。
佐々木 海外の方は、何人くらい呼んだのですか。
小島屋 1年目はスタッフと出演者合わせて15人くらい来たかな。

佐々木 パントマイムの公演をどういう形式で上演したのですか。
小島屋 すごく分かりやすくいえば、メイン公演は君たちがやっているパントマイムウィークみたいな感じだな。週末のメイン公演に向けて、まず、月曜くらいから、芸人さんたちが3日ほどかけて小・中学校、高校や幼稚園、養護学校などを訪問して小さな公演をする。マイミストやクラウンなどの芸人さんたちがものすごくおおぜい参加してくれたからできたんだよ。地元の協力者が送迎してくれたこの訪問公演を僕らは「パントマイムの出前」って呼んでいた。
佐々木 なるほど。パントマイムの出前ですか。
小島屋 出前というか、まずは見てもらう。だから東部町内の小学校は、毎年回ったので、1年から6年まで毎年パントマイムを観てたということだね。

(つづく)
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アーティストリレー日記(12)JIDAIさん

2012-01-07 08:53:39 | アーティストリレー日記
今号では、パントマイムウィークの常連で、パントマイムの講師、舞台、大道芸などでご活躍されるJIDAIさんの日記をお届けします♪

新しい年がやってきました。
今年からは少し素直になれたらと思っているのですが、”なろう”ではなく”なれたら”と言っている時点で、「どうなんでしょ?」だとも思っており…

去年の11月から日曜午前の『代々木公園稽古会』を始めまして、と言いましても毎週ではなく、まだ2回だけなんですけど、1月には8日と22日を予定しており、何とか月に2回くらいのペースでやっていければと思っています。

ここでの稽古は、まだこれといったものにはなっていないのですけど、過去2回の目玉は「四つ足ダッシュ」でしょうか。
ブログでも取り上げましたけれど、低い目線で頭から突っ込んでいくというのは、思考が吹き飛び、本能が頭をもたげてきまして、なんだか愉快、愉快ですし、実は、四つ足から立ち上がっていく際の身体の使い方というのも、非常に大きな意味を持っているんですよね。

身体の使い方ということでは、去年からランニングセミナーを開催したり、ピアノをされる方の指導をさせていただいたりしています。
(ちなみに私、整体師であり、アメリカNSCA公認パーソナルトレーナーであったりもします。)

例えば、1月15日(日)14:30〜「ランニング・セミナー」
http://blogs.yahoo.co.jp/mime_jidai/45710912.html
私、マイムを本格的に始めましてからは、基本的に動けなくなるということを前提にしているものですから、無理な身体の使い方というのは、「とにかくしたくない!」ですし、クラス生にもさせたくはないと思っていまして、といって本来持っている機能は出来るだけ使いながら、人より凄いことができたら楽しいなと思っているんですよね。

ですから、いろいろ研究はしているんですけど、先日も古武術系のワークを受けまして、大きな手がかりを得ることができ、感謝、感謝。
そのあたりのことを、マイムをされる方にはもちろん、一般の方にもお伝えできればと思っているんです。


ところで、”マイム以外で最近はまっていること”というのもテーマの一つとのことなんですけど、これは「四つ足ダッシュ」というわけでもないので、難しいですね。。。

何かにはまる…マイムを生業とするようになってからは、思いつくものがないんですよね。。。

まぁ、だいたい元々ですね、趣味というものが無いんですよね。

う〜ん、、、はまってること、、、あぁ! ほんの少しですけど、剣道を月に2回くらい、まぁそれも防具をつけることなく、素振りと軽い打ち込み程度ですけれど、やっております。

おかげで、竹刀の振り方というのが私なりに分ってきまして、中学の部活動で剣道をやってはいたんですけど、当時の自分に今の自分がこのやり方を、足捌きなんかも合わせて教えてあげられれば、随分違ったろうなと思うんですよね。


さて、今年は5月のポーランドでの国際マイムワークショップの講師として、一昨年に引き続きご招待を受けまして、そのための準備(作品も)、勉強と、7月の『パントマイムウィーク』のための作品づくり、9月のクラス生の試演会でのアンサンブル作品づくりと、ゆるやかではありますけれど、マイムの素晴らしさを伝え、ひとりでも多くの方がマイムをされることに繋がればと思っております。

みなさん、どうぞお体に気を付け、自分の体を知る・楽しむを味わう1年にしてみて下さいね。


P.S. 身体についての話題が多いブログです。ご参考になれば。
http://blogs.yahoo.co.jp/mime_jidai/
JIDAI
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