月刊パントマイムファン編集部電子支局

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アーティストリレー日記(81)サンキュー手塚さん

2017-10-15 10:10:27 | アーティストリレー日記
今月は、大道芸を中心に活躍する人気パントマイミスト、サンキュー手塚さんの日記をお届けします♪2回目のリレー日記ご登場です。

『大道芸とパントマイムと私』

こんにちは、サンキュー手塚と申します。さくっとパントマイム等、パントマイムリンクの皆さんには大変お世話になっております。今回もこの寄稿のお話をいただき、まだ自分をパントマイムの世界の一員として認識してくださっている皆さんに感激恐縮しております(笑)

そうです、僕は元々パントマイムのパフォーマーだったのです。それを強引に道でやろうとしたことから徐々に音が増え、小道具が増え、セリフが増え…気がつけば何のジャンル?一応コメディ?あ、ちょっとパントマイム入ってるか…そんなスタイルになってしまいました。

パントマイムと大道芸は同類と思っている方が多いと思います。確かに銅像になって道に立っているいわゆるスタチュウパフォーマンスはパントマイムの部類かもしれません。しかし、体の動きと表情だけでお話を展開していく僕の思っているパントマイムは、大道芸になんて不向きなんだろう、とやればやるほど痛感させられました。

大道芸を始めた当初、“壁”とか“ロボット”とか“カバンの固定”とかいわゆるザッツ・パントマイムの記号的な動きでパフォーマンスをしているうちは感じなかったのですが、ストーリーを演じようとするとパントマイムは路上でまったくの無力でした。

ものを使わず無対象だから相当集中してないとキツイよね、とそれももちろんです。ただそれ以上にもっと根本的な問題があるような気がしています。
“うっそうと茂った草木をかき分けジャングルの中を進む”なんてことを演じてみても、背後のコンクリートジャングルを何気なく歩いている人に視線を持っていかれてしまう事がよくあります。そんな事にちょくちょく遭遇して導いた持論、“道では本物が強い”逆を返せば“作り物は弱い”です。

どんなに凝った説明を演じたとしても、小道具一発に負けてしまいます。役作りも同じで、あんまり入りすぎると妙に浮いてしまうのがストリート。演じている本人の地が出ている方が見ている方は“安心”なのかもしれません。劇場とは全く逆の感覚です。

ならばマイムは必要なのか?となりますが、僕には必要です。ものになったり空間をワープする小道具の一つとしてマイムは格好の手段だと思います。時にはロボット、時には空を飛ぶ、という架空のストーリーを重厚にするためのSFX効果的な役割としてのマイム。これが長年、路上でマイムと向き合ってきてたどり着いたパントマイムとの付き合い方です。

奇想天外なオリジナルストーリー、見てもらいたいのは話の内容です。その状況を作るのが音楽や小道具やセリフ、そして説得力を持たせるのが端々に散りばめたマイムの技術…。こんなスタンスで今後も道の上、マイムと向き合っていきたいと思っています。マイム力には自信がないので皆さんの洗練されたマイムを勉強しにまた劇場に伺います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

サンキュー手塚
コメント
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