芝浦埠頭近くの倉庫街にあるビルの一室でソフトウェア開発部隊の立ち上げ式が始まっていた。室内はまるで木造アパートの一室のような身窄らしさだ。金をかけたくないの、それともこのような場所しか見つけることができなかったのかはわからないが、わたしはこのプロジェクトの結末を見てしまったような気分になり、かなり精神的に落ち込んでしまった。室内には五十名以上のプログラマーやSEたちが集まっていたが、その中には何人かの顔見知りもいたので、ほんの少しだけ気分が和らいだ。わたしの知っている女性SEが対客先交渉担当に任命されていることをプロジェクトマネージャの部長から雑談のおりに聞かされたが、彼女も以前に別の現場でいっしょに働いたことがあった。わたしはこの配置をそれほど意外とも思わなかった。おそらく彼女は自分の職務を完璧にこなすであろうと確信した。しかしそのときわたしは彼女がなんという名前だったか思い出せなかった。おそらくはU社の現場にいた女性SEに違いないのだが。
その日の天候は荒れ模様だった。吹く風は強くおまけに湿気を含んでいるし、空には厚く雲がかかっていたが、しかしそれは雨雲のように黒くはなく一部には晴れ間さえあり青空が見え隠れしていた。岸壁の公園にある三百メートルほどの灯台機能を備えた赤い鉄塔の先端は雲に隠れてしまってよく見えない。鉄塔の横にあるまるで軍艦のようなかたちをしたモニュメントのうえで数人の女性SEがお互いに小突きあいながら何かをしている。はじめはアンテナ調整をしているようにも見えたのだが、しばらく見ているうちに、といっても数秒だったが、彼女らが単純にふざけ合っていることがわかった。みなわたしの知り合いだった。
ふたたび部屋に戻ってきてみるとまた別の女性ESが声をかけてきた。風邪を引くといけないのでバスルームで湿った身体を洗う、と彼女にいうと彼女もバスルームに一緒に入ってきて下着姿でしかも下半身裸でわたしを洗い始めようとする。わたしに背を向けているので顔は見えなかったものの、しかし彼女が以前からいっしょに仕事をしたことが何度もある最も親しい人物であることだけは確かだった。
その日の天候は荒れ模様だった。吹く風は強くおまけに湿気を含んでいるし、空には厚く雲がかかっていたが、しかしそれは雨雲のように黒くはなく一部には晴れ間さえあり青空が見え隠れしていた。岸壁の公園にある三百メートルほどの灯台機能を備えた赤い鉄塔の先端は雲に隠れてしまってよく見えない。鉄塔の横にあるまるで軍艦のようなかたちをしたモニュメントのうえで数人の女性SEがお互いに小突きあいながら何かをしている。はじめはアンテナ調整をしているようにも見えたのだが、しばらく見ているうちに、といっても数秒だったが、彼女らが単純にふざけ合っていることがわかった。みなわたしの知り合いだった。
ふたたび部屋に戻ってきてみるとまた別の女性ESが声をかけてきた。風邪を引くといけないのでバスルームで湿った身体を洗う、と彼女にいうと彼女もバスルームに一緒に入ってきて下着姿でしかも下半身裸でわたしを洗い始めようとする。わたしに背を向けているので顔は見えなかったものの、しかし彼女が以前からいっしょに仕事をしたことが何度もある最も親しい人物であることだけは確かだった。