今まで北海道産ガロアムシはエゾガロアムシGalloisiana yezoensisの1種の記載で本州産ガロアムシと同様Galloisiana属に属していましたが、形態の比較と遺伝子解析の結果から本州産各種とは異なる(遺伝的に離れている)ことが判明し新たに独立した新属を設立させることになりました。
形態の違いは、
・北海道産は前脚跗節にある褥盤が本州産と比較して小さい
・北海道産には下唇後基節の後部に1対の剛毛がある
などがあります。
また北海道産は遺伝的に「石狩山地」「夕張山地」「日高山脈」「天塩山地・北見山地」の4つのグループに分かれ、形態も異なる特徴があることから夕張山地産をオナガエゾガロアムシ、日高山脈産をオオエゾガロアムシとして新種記載しています。
石狩山地産は学名は変更になりますがエゾガロアムシとし、天塩山地産および北見山地産はサンプルに乏しく明確な区別ができないことから未記載種扱いになってます。
形態特徴として、
・オナガエゾガロアムシの雌は他の産地よりも産卵管が長い傾向にある
・オオエゾガロアムシは他産地より大型で、触覚の第2節と第3節の比が他産地と異なる
・エゾガロアムシは小型
・産地ごとに交尾器が異なる
などがあります。
遺伝的には新種3種とも近く分岐年代は他の種と比べて浅い。
これで国内のガロアムシ目昆虫は2属8種となります。
自分は共著者として、北海道産ガロアムシ各産地の基礎情報とサンプル採集を担当しました。
※まだ組版されたPDFを確認できていないため、厳密には新属と新種の学名は言えません。
解禁され次第、Twitterで報告し詳細はHPの方で報告する予定です。
北海道の各山地は完全な隔離状態ではなく、一部繋がっているため移行帯の存在があるかもしれないし、同産地で混生または棲み分けしている可能性もあります。
これについては今後の課題とします。
ガロアムシは研究がほとんど進んでいない種なので、この発表を機に日本産ガロアムシ研究が進み、続々と新種記載されればと思います。