先週末はF1ロシアGPでした。
2014年から開催されているこのサーキットでは過去全てメルセデスが優勝していて、今回もメルセデス絶対優位と言われていました。
レッドブルのフェルスタッペンはパワーユニット交換をして年間規定数を超えた交換になるためグリッド降格ペナルティを受けます。
前戦イタリアGPでのハミルトンとの接触による3グリッド降格ペナルティがあり、どうせ降格になるならここで新パワーユニットを投入して、メルセデスが強いサーキットだし勝利を捨てて少しでもポイントを稼げれば良しとしようということでしょう。
フェルスタッペンは決勝が最後尾スタートになることが決まっていたため予選は走りませんでした。
土曜日は雨が降っていてフリー走行3回目は中止、予選は雨は上がったものの路面がウェットな状態だったため、スピンしたりクラッシュに巻き込まれたりしてマシンを壊すリスクを避けたわけです。
予選では各車インターミディエイトタイヤ(浅溝タイヤ)で走っていましたが徐々に路面が乾き始め、ウィリアムズのラッセルがソフトタイヤを履くギャンブルに出ました。
マクラーレンのノリス、フェラーリのサインツも続き、ソフトタイヤでタイムを更新しますが、履き替えるのが遅れたメルセデス勢はタイヤを温める時間が足りずタイムが出せませんでした。
結果、ポールポジションは自身初となるノリス、2番手はサインツ、3番手はラッセルといつもと違う顔ぶれとなりました。
予選7番手だったメルセデスのボッタスは決勝前にパワーユニットを交換してグリッド降格ペナルティとなります。
前戦のイタリアGPで交換したばかりなのに。
これはボッタスを後方のフェルスタッペンの前の位置に置いて抑え込もうというメルセデスの戦略でしょう。
今はとにかくフェルスタッペンとハミルトンのドライバーズチャンピオン争いが大事ですから。
決勝では最後尾スタートのフェルスタッペンが次々と他車を追い抜き、ボッタスの後ろまで来ました。
さぁここが最初の難関、と思ったらあっさりオーバーテイク。
ボッタスは何もできませんでした。
メルセデスの作戦失敗です。
前方では序盤にサインツがトップに立ちますが、ノリスが抜き返します。
フェルスタッペンはプッシュを続けたためタイヤの消耗が早く7位あたりで停滞していました。
こうなったらなんとかノリスにがんばって優勝してもらいたいです。
イタリアGPでは2位に入っていますから今回こそ優勝できそうですよ。
ところが46周目に雨が降り始めました。
これがドラマを生みます。
最初はポツポツ程度の軽い雨だったのですが、インターミディエイトタイヤに替えるマシンとそのままスリックタイヤ(ドライタイヤ)でステイアウトするマシンと分かれました。
トップのノリスと2番手のハミルトンはピットインすればタイムをロスするため2人ともステイアウトを希望しますが、49周目にフェルスタッペンがインターに履き替えたのを見て、50周目でハミルトンはピットインを決意。
ノリスはステイアウトのままです。
フェルスタッペンはピットインのタイミングが絶妙で3位に浮上。
雨はひどくなりスリックタイヤのノリスはタイヤが滑ってコースアウトしてしまい、その隙にハミルトンに抜かされてしまいました。
ノリスはもはやマシンをコントロールすることができず52周目にピットインしますが、7位まで落ちてしまいました。
1位はハミルトン。
2位はフェルスタッペン。
3位はサインツ。
ノリスは残り3周までトップを走り優勝も見えていたのに悔しい悔しい7位でした。
まさかあそこで雨が降るとは。
初優勝がかかっていてどうしてもトップを譲りたくなかったノリスと、2位でもフェルスタッペンの前でフィニッシュすればいい(実際は本人はもちろん優勝を狙っていてそんなこと思っていなかったと思いますが)ハミルトンと、気持ちに差があったかもしれないですね。
ノリスはまだ若いので今回のことはきっといい経験となるでしょう。
フェルスタッペンは最後尾スタートからの2位は出来すぎと言ってもいい結果です。
ポイントロスを最小限にして新しいパワーユニットを手に入れたことになります。
ハミルトンが優勝したことでドライバーズランキングは逆転されてしまいましたが当然想定内。
本来もっと広がると思っていたポイント差はわずか2ポイント差です。
フェルスタッペンの結果が良かったこともありますが、それにしてもおもしろいレースでした。
雨は何かが起こりますね。
やっているチームやドライバーはたまったもんじゃないと思いますが、見ている側としてはこんなに楽しいレースはなかなかないですよ。