「先輩、彼と別れたんですか？」
「別れた…って💦そんなに別れさせたいの？」
「そんな意味じゃないですよ～💦この間も、先輩の彼を合コンで見かけたらしいですよ。」
「誰の情報？」
「同期のコの情報です。」
「誰かと間違えたんじゃない？」
「…そうなのかな…。そのコ、先輩の彼氏に興味があった時もあったコだから、間違えないと思うんだけど…。」
「とにかく、別れてないから、心配しないで！」
「すみません💦」
もう、周囲の情報に混乱させられるのはやめよう。勇一を信じよう。
「ここのところ、忙しいのは、仕事が順調で、このまま上手くいけば、出世…っていうか、いいポジションに就けるかも知れないんだ。」
「そうなの？」
忙しいのは、本当だったんだ…。
「いいポジションに就ければ、給料がグンと上がるんだ。」
「すごいね。」
「だけど、いつまでも今の仕事を続けて行きたいワケじゃなくて、将来の夢っていうか…、お店を持ちたいんだよ。」
「お店？」
「飲食店なんだけどね。だから、頑張って仕事しなくちゃ。」
「それじゃ、頑張らないとね。」
「将来は、一緒にお店が出来たらいいなぁ…」
…え？それって、プロポーズ？
「今のところ、なんとかまぁまぁの貯金が出来ているから、このまま頑張るよ。」
「う、うん。頑張って！」
突然のプロポーズらしき言葉…。
あらためて確認は出来なかったが、うれしい。
久しぶりのデート。
賑やかな場所よりは、静かな場所でゆっくり過ごすのが好き…。
そんな笑子の好みを知って、静かなお店で、自然食の優しい食事。
前々から見たかった映画も観た。
勇一とは趣味が合うのか、彼が笑子に合わせてくれているのか、とても穏やかに過ごせる。
本当なら、放置されたことを少し嫌味を言おうと思っていたし、状況次第では、合コンの件も追及したかった。
だけど、きっと、合コンは友だちに数合わせで付き合わされたんだろう…。
…そう思うことにした。
莉沙の件もさることながら、笑子にとっての目の前の問題は、勇一のこと。
付き合ってはいるものの、忙しいという理由で、放置。
LINEさえも2週間くらい放置される。
そしてさらに、合コンに行っているとか。。。
…もう、いいや！
と、投げ出したいところだが、なかなか決断できない。
やっぱりまだ、好きなんだと思う。
「いつも、忙しくてごめんね。週末会える？」
そんな中、久しぶりにLINEが来た。
『忙しくても、合コンに行く時間はあるんだね…』
…と、返信したくなる…。
「会えるよ。」
やっぱり、まだ様子を見よう。
「噂…って言うことは、浜田くんと、営業の山田さん以外にも、被害者？…は、いるの？」
「はい。山田さんが言ってたことですけど、莉沙は、昔から次々と付き合う相手を乗り換えて、そのたびお金を借りまくっているらしい…って、噂を聞いたらしいんです。しかも、大金ではないので、貸してしまって、そのまま別れる…とか。あ、でも、中には大金を踏み倒された人もいたそうですよ。」
「…まさか…。」
「神田先輩、やり手で、会社も上手くいってるみたいだから、それで莉沙は彼を狙ったのかも…。神田先輩にも、この話した方がいいですかね？」
「…そうね…。だけど、神田くんは、彼女を相手にしてなかったけど…」
「そうなんですか…。」
「浜田くんも、それを知って、彼女から離れるようにしたの？」
「まぁ、そうなんです。だけど、もうすでに50万貸してるし、自分にはそれ以上貸せるお金無いの知ってるから、これ以上の被害は無いだろう…と、思ってました。」
「…そうなの…」
「すでに50万貸してるのに、自分だけは違う…って思いたいんですよね。男って、バカですね。」
莉沙の思いがけない裏の顔を見せつけられて、驚いた。