風通庵-直言

ヨモヤマ話

中・露の接近--果たして--???

2014-05-21 11:14:29 | Weblog
 ロシアと中国が、シベリア産の天然ガスの輸出を契約。
 ウクライナ問題ではロシア、東シナ海、南シナ海の海洋進出で中国と、国際社会からの共通の非難や圧力からの急接近。そこで両国間の緊密な関係を誇示したい両国の思惑からか、シベリア産天然ガスを、2018年から30年間で、総額4,0000億ドルを契約、と。
 
 だが、この接近と契約、果たして----?
 
 安倍首相と親密の度合いを深めていたロシアのプーチン大統領、ほぼ決定的であった来日も、ロシア側のクリミア半島からウクライナ問題で、アメリカ側のロシア制裁に同調して、結局はウヤムヤか、無期延期か、中止か。今の状況、嘗ての米ソ二大東西対立の冷戦時代を彷彿とさせるが、それにしてもロシアのプーチン大統領に比べてアメリカのオバマ大統領の影は薄い。世界の警察の役目を辞退したせいか。
 こんな時、かねての中ロ関係の実体から、わが国の安倍首相が東京に、オバマ、プーチンの両氏を招いて両国和解の労をとる、そして中国を孤立させると言う、そんな筋書き----。いや、歴史にIFがあればの話だが、仮にも、IFがなくても、いまの中ロ関係の先行きは、目に見えている。
 
 どのように?

 中国もロシアも、国情からして、どちらの国も、相手国を自国の領域内に取り込むことしか考えない。それが一の理由。しかも、あれはいつであったか。戦前の「日ソ中立条約」の一方的な破棄に関連してか。「条約なんて破棄するためにある」と豪語していた。それはそうに違いない。約束さえなければ、その約束を破ることはないんだから。この点は「約束は守る」が、一種の道徳規範であるわが国とは大きく違う。だからこの考え方からすれば、天然ガスの輸出契約の期間が30年であっても、自国の都合でいつでも破棄する、当てにならない30年である事が容易にわかる。
 また一方の中国も、既に新聞(産経新聞、26,5,26、)で報じているが、中国の天然ガス輸入に対する国内の石油産業に対する影響で、石油産業の既得権を握る「石油閥」に隠然とした影響力を持つ江択民元国家主席が異例ともいえるプーチン大統領と会談している。これが第二の理由で、中国共産党内の権力争いに絡む習近平指導部に対する圧力で、中国国内でも一枚岩でない難しさがある。かねて習指導部は、石油閥のトップを汚職偽悪で取り調べ、江氏ともギクシャクする関係で、プーチン氏は有利な条件での交渉に、ここが狙い目である、と。
 
 複雑に入り混じったそれぞれの国の内部事情から、なにか一つの思惑が外れると、すべてが無に帰する。元の黙阿弥であることは明らかで、中国、ロシアの同床異夢がいつまで続くか。案ずるよりか、時が解決する。
 さー、安倍さん、IFですよ!