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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

赤いフルーツのミルフィーユ バルサミコ酢風味

2007年03月25日 | デザート

本日は、人気のデザートの一皿をご紹介します。

赤いフルーツのミルフィーユ バルサミコ酢風味です。

春のこの時期には、苺やフランボワーズ(木苺)等の赤いフルーツを使ったミルフィーユがグリンツィングの定番になっています。

今回は少しアレンジして、バルサミコ酢のソースを合わせてみました。

イタリア料理で苺とバルサミコ酢を合わせる食べ方があるので、そこから発想しています。

バルサミコ酢のインパクトのある酸味と香りが、苺ととても相性が良く、甘いミルフィーユにアクセントが付いて美味しいです。

お菓子屋さんでもミルフィーユを買って食べる事が出来ますが、レストランのミルフィーユはお客様の注文が入ってから作りますので、よりサクサクのパイと滑らかなクリーム、フレッシュなフルーツの組み合わせを味わっていただけると思います。

何と言っても、出来立ての瞬間が一番美味しいデザートです。

肝心の折り込みパイは、香ばしさが大切ですのでしっかりと中まで火を通しますが、ほとんど潰さずに焼くために通常のミルフィーユの物よりも軽く仕上がります。

挟んでいるクリームも、カスタードクリームとホイップクリームを合わせてより軽くしています。

ミルフィーユはお菓子屋さんでもレストランでも一般的で、よく見かけますし食べる事も出来ますので、お客様に美味しさの違いが分かりやすいと思います。

ですので、より一つ一つのパーツの完成度と、美味しい組み合わせのバランスに気を付けています。

ミルフィーユは子供から大人まで、女性だけでなく男性にも、沢山の方が大好きなデザートです。

もちろん自分も大好きです。

難しいことは考えずに、ただ素直に美味しいと喜んでもらえる事が出来れば・・・

料理人にとってそれがすべての様な気がします。


チョコレートのフィアンティーヌ 木苺のシャーベット添え

2007年02月26日 | デザート

本日は、デザートの一皿をご紹介します。

チョコレートのフィアンティーヌ 木苺のシャーベット添えです。

シンプルな盛り付けが多いグリンツィングですが、もうすぐ春と言う事で少し華やかな盛り付けにしてみました。

カリカリに焼いたチョコレートのフィアンティーヌ(薄く焼いた生地)に、フランス ヴァローナ社のチョコレートを使ったチョコレートムースを挟んでいます。

フィアンティーヌのアクセントとしてカカオを乗せて焼くことで、香ばしさとほろ苦さをプラスしています。

甘く濃厚なチョコレートムースと一緒に食べると、ちょうど良く飽きずに食べていただけると思います。

付け合わせには甘酸っぱい木苺のシャーベットと、イチゴ、木苺、赤スグリ、ブルーベリーを添えています。

チョコレートと赤いフルーツの組み合わせは、個人的に好きで良く使います。

チョコレートの甘味と苦味に赤いフルーツの酸味が調和して、上品で大人らしい味わいになります。

盛り付けもチョコレートソースを使い、モダンな雰囲気を意識してみました。

料理に必要な条件として、味が美味しい事が一番大切だと思っています。

衛生的で安全な食材を使うなど、大切な事は他にも沢山有りますが、その一つとして見た目の華やかさや綺麗さなども、とても重要な事だと思います。

特にレストランで提供するフランス料理は、ただ空腹を満たす物では無いだけにその意味合いも大きいはずです。

きっとお客様も舌の上で味わうだけでなく、その香りや目で見える色や形を通して美味しさを感じておられると思います。

前菜やメインデッシュでは、その素材感を感じてもらうためにシンプルな盛り付けになることは必然的ですが、デザートではまた違った喜びを表現できればと意識しています。

少し大げさかもしれませんが、何かの事情で食べる事が出来ない人にも喜んでいただきたいのです。

人間みんなが元気なわけではなく、色々な病気や障害を持たれている人も沢山おられます。

そのために好きな物も食べる事が出来なかったり、制限されたりする場合もあると思います。

その様な方にも、目で味わっていただきたいのです。

もし味わいだけの料理でしたら、どの様に感じればよいのでしょうか?

完全には無理かもしれませんが、人間に与えられる幸せは平等であって欲しいのです。

 

 


季節のフルーツのタルト

2007年02月18日 | デザート

本日は、お客様の誕生日用に特別に作りました一皿をご紹介します。

季節のフルーツのタルトです。

レストランのグリンツィングで、この様に大きいタルトやケーキを作る仕事は少ないのですが、「お持ち帰りの出来るバースディケーキをお願いします。」とのお客様の要望で、今回はご用意する事になりました。

いつもは、その場で食べていただく皿盛りのデザートばかり作っていますので、今回はとても新鮮な気持ちで楽しんで作る事が出来ました。

お持ち帰りが出来るケーキやタルトは、レストランのデザートとは違いお菓子屋さんの分野ですので、レストランで働く自分にはあまり高度な技術が必要な物は作れませんが、シンプルで美味しく、少しでも作りたてに近い物が出来ればと、この沢山のフルーツを乗せたタルトにしました。

下の生地にはサクサクの折り込みパイを使い、そこに香りが良く味も濃厚なアーモンドクリームを入れて香ばしく焼き上げます。

その上にバニラとグランマルニエ酒(オレンジのお酒)の香りを付けたカスタードクリームを絞ってから、色鮮やかな季節のフルーツを乗せていきます。

今回は、オレンジにグレープフルーツ、キウイ、イチゴ、フランボワーズ、ブルーベリー、グロゼイユを使いました。

何と言っても、このフルーツを盛り付ける作業が一番楽しい所です。

バランスに気を付けながら色々なフルーツを一つ一つ組み合わせていくと、自分が果物の沢山実った森の中や、お花畑にいる様な気さえしてきます。

仕上げに、アプリコットのジャムを艶出しに軽く塗ってから、ミントを飾ると完成です。

お菓子屋さんの作る特別なタルトではありませんが、今の自分に出来る自分らしいタルトになったと思います。

頼まれたお客様にも、とても喜んでいただけました。

出来ないことを考えるのでは無く、今の自分に出来ることを一生懸命に頑張る事が大切だと思いますし、きっとお客様にもその気持ちは伝わると信じています。

 

 

 

 


焼きたて林檎のタルト ヘーゼルナッツ風味

2007年01月31日 | デザート

本日は、寒い日にピッタリの熱々のデザートをご紹介します。

焼きたて林檎のタルト ヘーゼルナッツ風味です。

お客様の注文をいただいてからオーブンで焼き上げていますので15分程待っていただきますが、焼きたての香ばしいサクサクのパイとフレッシュで酸味の効いた林檎の美味しさは、それだけの価値があると思います。

以前にも林檎のタルトとしてタルトタタンをご紹介しましたが、今回のタルトもまた違った林檎の魅力を教えてくれます。

じっくりと時間をかけて煮込みカラメルの味が馴染んだタルトタタンに比べて、薄切りにした生の林檎を高温のオーブンで短時間に焼き上げた味わいは、より素直に林檎の味わいを楽しめる気がします。

前もって焼いた物でなく、1人前ずつその場で作る贅沢さも、このデザートの魅力の一つです。

今までは林檎のタルトに、定番のバニラ風味のアイスクリームを合わせる事が多かったのですが、少し変わった所でヘーゼルナッツのアイスクリームを添えてみました。

林檎とナッツの組み合わせは、とても相性が良くて気に入っています。

そして、ヘーゼルナッツと合うチョコレートのソースをかける事で、更にバランスの良い一皿になりました。

このタルト自体はとてもシンプルな物ですが、だからこそ素材その物の良さを感じていただけると思います。

限られた条件の中で何が出来るのかを、いつもこのキッチンで考えています。

無い物を挙げればきりがありませんし、ホテルや高級レストランと同じ様には出来ません。

しかし、グリンツィングらしくお客様に喜んでいただける方法が、きっとあると思います。

この林檎のタルトもその一つです。

客席でお客様が、美味しそうに熱々のタルトに溶けかかったアイスクリームをのせて食べている姿を見ていると、少しですが勇気がわいてきます。

 

 


林檎のタルト タタン仕立て

2007年01月11日 | デザート

本日は、旬のフルーツを使ったデザートの一皿をご紹介します。

林檎のタルト タタン仕立てです。

グリンツィングでは、この時期の定番のデザートになっています。

林檎を使ったお菓子として有名なタタン姉妹のタルトを、レストランのデザートにアレンジしてみました。

本来は沢山の林檎をカラメルをしいた型に詰め込み、バターやグラニュー糖と共にオーブンで火を通してから、パイ生地を被せて焼き上げます。

グリンツィングではより作りたての美味しさを味わっていただく為に、カラメルで煮た林檎を一人前ずつ型に詰め直して、別に焼いたパイ生地と合わせた後に、カソナードと言う砂糖を振りガスバーナーで焼いて仕上げています。

ほの温かいので、林檎の香りをとても自然に感じていただけると思います。

サックリと焼けたパイに、カラメルの味の染み込んだ香ばしい林檎、そしてその素朴な食感は、とても懐かしい気持ちにさせてくれます。

今回はよりタルトを引き立てる為に、塩入りキャラメルのアイスクリームを添えています。

デザートに塩を使うのも珍しいのですが、その塩分がアイスクリームの甘さをより際立たせてくれます。

この一皿のイメージは、フランス ブルターニュ地方からきています。

特産物の林檎やバター、生クリームなどの乳製品、そして名物の塩入りキャラメルを一皿に盛り込んでみました。

フランス修行時代に、ブルターニュ地方でも短期間でしたが生活することが出来ました。

季節も冬の時期でしたのでなおさらですが、とても静かで寂しかった思い出があります。

しかしそこで出会った人達からは、人間としての強さを学びました。

決して恵まれた土地ではありませんが、懸命に生きるその姿は、都会にはない豊かさがあると思います。