シュークルート ガルニ

本日は、賄い料理の一皿をご紹介します。

シュークルート ガルニです。

シュークルート ガルニとは、フランス アルザス地方の名物料理で、塩漬けして発酵させたキャベツを、豚肉とその加工品と共に蒸し煮にした、伝統的な郷土料理です。

フランス修行中にも何回か食べましたが、柔らかく煮込まれた豚肉と酸味の効いたキャベツの美味しさに、いつも感激していました。

パリや他の地方でも食べる事が出来ましたが、本場アルザスで食べたシュークルートは、ボリュームも味も一味違い、とても感動した記憶があります。

今回はそんな記憶を思い出したくて、賄い料理として作りました。

作り方は、最初に玉葱を鴨の脂でよく炒め、そこにシュークルート(キャベツ)を合わせます。

前日に塩漬けした骨付きの豚スネ肉とベーコンを加えて、白ワイン(アルザスの物)とブイヨンを注ぎます。

そして、ネズの実、クローブ、ブーケガルニを入れてから、蓋をして豚肉が柔らかくなるまで弱火のオーブンで煮込みます。

ジャガ芋は別の鍋で茹でてから、ソーセージは食べる数分前に鍋に加えて温めたら完成です。

液体で煮込むというよりは、キャベツで包み込んで加熱する様なイメージです。

食卓で鍋の蓋を開けた時の美味しそうな湯気が、とても幸せな気持ちにさせてくれます。

素朴な郷土料理ですのでソースはありませんが、その代わりにマスタードをたっぷりとつけて食べると、気取りの無い美味しさに感動します。

今回は、アルザスのリースリング(白ワイン)と合わせて食べる事が出来ましたので、同じ地方の料理とワインの相性の良さを十分に堪能できました。

今回の様に、グリンツィングでは賄いでフランス料理を作る事が多いのですが、その度に熱田オーナーは、「勉強の為に」と言われてその料理に合うワインを選んで飲ませてくれます。

グリンツィングで働かせていただいて3年と少し経ちましたが、数えきれない程のワインを飲ませていただきました。

ワインを飲みながら話されるオーナーの話はいつも楽しく、また貴重な経験の話ばかりですので、とても勉強になります。

それは賄いを通して、「食事の本当の豊かさとは何か」を教えていただいているのだと思います。

あまりこの様な事を言う機会もありませんでしたが、いつも感謝しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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豚ばら肉のクリーム煮込み

本日は、フランス家庭料理の定番の一皿をご紹介します。

豚ばら肉のクリーム煮込みです。

フランスでは仔牛肉を使いますが、今回は賄い料理ですので代わりに豚肉を使いました。

正式なメニュー名はBlanquette de veau(ブランケット ド ヴォー)ですが、豚肉を使いましたのでBlanqette de porc(ブランケット ド ポー)になります。

フランス修行中のビストロで働いていた時のメニューにありましたし、星付きのレストランでも賄い料理でよく作りました。

そこで今回も、賄い料理を通してフランス料理を学びたいと言う気持ちから、この古典的な料理に挑戦してみました。

作り方は、カットした豚ばら肉を一度湯がき、ブイヨンと香味野菜と共に軟らかくなるまで蓋をして煮込みます。

豚肉を取り出して、漉した煮汁を煮詰めてから、バターと小麦粉を混ぜた物と生クリームを加えて濃度をつけて、塩、コショウで味を調えます。

そこに煮込んだ豚肉と、色付けない様に火を通した小玉葱とマッシュルームを加えて温めます。

仕上げに生クリームと卵黄を混ぜた物を加えて、軽く火を通して完成です。

付け合せにはバターライスを添えています。

見た目にも真っ白で、優しさと素朴さが伝わってきます。

以前、日本にいるフランス人の友達に「今何が食べたいか?」と聞いた時に、真っ先に出た言葉がブランケット ド ヴォーでした。

付け合せも「Riz(お米)がいいよね。」と言ってみたら本当に嬉しそうに喜んでいました。

とても懐かしかったのだと思います。

自分もフランスにいた時は寂しい気持ちもありました。それと同じ様に、遠い日本に来ているフランス人の友達も寂しいのかもしれません。

フランスでブランケット ド ヴォーを食べると、いつも新潟の母親の作るクリームシチューを思い出していました。

国や言葉が違っても、今まで食べてきた料理で故郷を懐かしむ気持ちは、誰でも同じだと思います。

人それぞれ、懐かしい思い出、嬉しかった時、辛かった時、寂しかった時、色んな記憶と共に料理があります。

自分の作る料理を食べて、お客様にはどんな記憶として残るのでしょうか?

少しでも幸せな記憶として残ることが出来たら、料理人としてこれ以上の喜びはありません。

 

 

 

 

 

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ブーダンノワール 林檎添え

本日は、少し変わった賄い料理をご紹介します。

ブーダンノワール 林檎添えです。

ブーダンノワールとは、豚の血で作ったソーセージの事を言います。

血で作ったと聞くとびっくりされる方もおられると思いますが、フランスではとても庶民的な食べ物としてビストロや家庭で普通に食べられています。

自分もフランス修行中には、お肉屋さんやお惣菜屋さんでよく買って食べていました。

最初に太くて真っ黒なソーセージがとぐろを巻いて売られているのを見たときには、とても美味しそうには見えませんでした。ましてや血で出来ていると聞くと少し食べる事に抵抗が有りましたが、いざ食べてみると思っていたよりも癖も無くとても濃厚でコクのある味わいに、一口食べて大好きになってしまいました。

そんな思い出もありその時は、豚の血まで捨てず料理にしてしまうヨーロッパの人達に、農耕民族の日本人との文化の違いを感じていました。

そこで今回は久しぶりにブーダンが食べたくなり、それなら賄いで作ってしまおうという事になりました。

久しぶりに作りましたが、なかなか上手く出来て良かったです。

付け合わせは定番の林檎とマッシュポテトを添えています。

軟らかいブーダンノワールと滑らかなマッシュポテトを混ぜて食べると、しみじみと美味しくてフランスでの食事を思い出しました。

ソテーした林檎の甘酸っぱさも、濃厚なブーダンととても相性が良いです。

本当に美味しい物なのでぜひお客様にも食べていただきたいのですが、豚の血で出来ていると説明しますとなかなか注文してもらえないので残念です。

理解してもらい難い特殊な一皿ですが、きっと喜んでもらえる方法があると信じています。

それが料理人の仕事だと思います。

 

 

 

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林檎のショーソンパイ

本日は賄い様に作りました、素朴な美味しさのデザートをご紹介します。

林檎のショーソンパイです。

じっくりと甘く煮込んだ林檎のジャムを、バターをたっぷり使った折り込みパイ生地で包んで、香ばしくオーブンで焼き上げたシンプルなお菓子です。

今回は、営業用に使う折り込みパイ生地が余ったので、久しぶりに作ってみました。

個人的に、とても思い入れが有る料理の1つです。

最初の出会いは、20代前半にホテルで働いていた時です。

見習いの頃に少しでも料理が上手に成りたい気持ちから、夜の営業が終わった後に料理書を見ながら色々と練習していました。

その中でも折り込みパイの生地は、なかなか上手くいかない技術でした。今にしてみればそうでも無いと思いますが、その当時はとても難しい事に感じていて、初めて上手くいった時には本当に嬉しかった事を今でも憶えています。

その時に作った生地を使って、林檎のショーソンパイを作った時が最初の出会いです。

その次は、最初にフランスに修行に行った時です。

初めての外国と言う事もあり、とても緊張していました。フランス語もほとんど勉強しないまま、気持ちだけが先走り日本を飛び出しました。

案の定、フランスに着いてみたものの、何もかもが分かりません、恥ずかしい事にお腹が空いてもどうして良いのかすらも分かりませんでした。怖かったです。今となれば笑い話になりますが、その時は本当に困りました。

そこで勇気を出して、駅の売店で初めて買った物が林檎のショーソンパイでした。

お腹が空いていた事も有りましたが、とても美味しくて、気持ちも少し楽になりました。

人間、一度経験してしまうと慣れるもので、それからのフランスは怖いどころか、日本よりも居心地の良い所になりました。

このシンプルなお菓子は、若い時の自分の辛かったり楽しかった事を思い出させてくれる大切な物なのです。

 

 

 

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スズキのクネル リヨン風

本日は、フランス修行中に賄い料理としてよく食べた一皿をご紹介します。

スズキのクネル リヨン風です。

本来はブロシェと言う川魚を使って作る料理ですが、今回は賄い料理ですのでスズキで代用しています。

フランスでの修行先として一番長い期間を過ごし、特に思い出深い町がリヨンです。

働かせていただいたレストランのメニューとしてクネルは有りませんでしたが、賄い料理やリヨン市内にあるビストロの一皿として、美味しかった記憶が有ります。

そんな事をふと思い出し、久しぶりに食べたくなったので今回作ってみました。

日本のレストランではあまり馴染みの無い一皿ですが、濃厚なソースがかかり香ばしく付いた焼き色がいかにも無骨なフランスのビストロ料理的で、とても雰囲気があり大好きです。

味わいは少し単調で、素材の良さを味わうよりは熱々で出てきた所を気取らないワインと共に楽しむ所に、この料理の美味しさが有ると思います。

フランスで食べたクネルよりは少し上品な感じになりましたが、クリーム仕立てのしっかりとした海老のソースと、口当たりの滑らかなクネルは、懐かしさを思い出すには十分に美味しかったです。

このリヨン風クネルの様に、食材の本来の形や味がわかりにくい料理は実際の営業ではやり難い面がありますが、こうして久しぶりに作って食べてみると、手間をかけた物の良さと美味しさをしみじみと感じました。

クラシックな手間をかける事の良さを学びつつ、今のお客様にも喜んでいただける無理のない料理を、考えていきたいと思っています。

 

 

 

 

 

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