東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

ホウボウのポワレ 南仏風

2006年08月31日 | メインディッシュ

本日は、お魚料理の一皿をご紹介します。

ホウボウのポワレ 南仏風です。

ホウボウは、個人的に好きでよく使う食材です。
形は少し変わっていますが、小骨も少なく、皮付きでパリッと焼くととても美味しいお魚です。

南仏風と言うメニュー名は、ソースの風味付けに、ドライトマト、黒オリーブ、レモン、バジル、オリーブオイルなどの南仏特有の食材を加えている所からきています。
旨みのある鶏のジュ(肉汁)をベースに、軽い酸味の効いた爽やかな味わいになっています。

付け合わせには、たっぷりの季節野菜を添えて、ここでも南仏の雰囲気を意識しています。

夏のこの時期にお魚料理を考えると、自然と南フランスでの仕事や生活を思い浮かべます。

太陽の光と香草の香り、真っ青な空に海から聞こえる波の音、賑やかなマルシェ(市場)に並ぶ新鮮な魚介類と生命力のある野菜は、自分にとって、憧れの豊かさでした。

今では、その様な経験が出来たことに感謝しています。

少しでもそんな気持ちが形になるように、これからも頑張りたいと思います。

 

 


イベリコ豚骨付きロース肉のポワレ マスタードソース

2006年08月29日 | メインディッシュ

本日は、ボリュームたっぷりのメインデッシュをご紹介します。

イベリコ豚骨付きロース肉のポワレ マスタードソースです。

スペイン産のイベリコ豚は以前にも紹介しましたが、とても良質な食材です。国産の豚肉と比べても、味わいの濃厚さや脂の香りの良さなど、抜きんでている感じです。

一般的に豚肉料理と言うと、リーズナブルで庶民の食事のイメージが有りますが、このスペイン産のイベリコ豚に関しては、高級料理の部類に入ります。

そんな特別な食材を、今回は実にシンプルに調理してみました。

調理に特別なテクニックは使っていませんし、付け合わせやソースも、とてもオーソドックスな物です。以前は(たまに今でも)人と違った料理を作りたいと思い、自分でも理解できないテクニックや必要性の無い食材を盛り付けたりしていました。

しかし、最近になって思うのですが、必ずしも自分のやりたい事がお客様の望んでいる事では無いのでは、という事です。

お客様の望んでいる事とは、意味の無い複雑さや、目先の新しさでは無い様な気がします。

本心では、「良質な食材を的確な調理で、素直にその美味しさを味わいたい。」と思われているのではないのでしょうか。

毎日調理場で料理を作っていると、ついつい自分の為の料理になりがちですが、本当に大切なのはお客様に喜んでいただく事です。

その気持ちを忘れない様にしていきたいと思います。

 


パイナップルのラビオリ仕立て その2

2006年08月27日 | デザート

本日は、先日に書きましたパイナップルのラビオリ仕立ての新しい形をご紹介します。

今までは、コンポートにしたパイナップルのスライスの中にバニラ風味のクリームを挟んだ物でしたが、パイナップルの状態によって、硬くて食べにくかったり、中のクリームや隣りに添えたココナッツアイスクリームとの味のバランスも気になっていました。

食材の組み合わせは気に入っているので、より分かりやすく、食べやすい形に、と言う事で考えました。

新しい皿では、バニラ風味のクリームとパイナップルのコンポート、ココナッツアイスクリームに、パイナップルジュースのゼリーを覆いかぶせています。ゼリーですので柔らかく食感も良くなりましたし、全体のバランスも一体感があり、デザイン的にも可愛らしくなりました。

前菜やメインデッシュでは、実質的な美味しさを求めるため、なかなか新しいテクニックを使ったり、組み合わせのチャレンジは難しいですが、デザートでは、少し位の遊び心が有っても良いと思います。

完璧を求めると、皆、同じような形や味になってしまいます。

それぞれのシェフの個性が、フランス料理の美味しさであり、楽しさであると思います。

まじめに料理する事も大切ですが、少しの遊び心も忘れない様にしていきたいです。

 


豚肉のパン粉焼き

2006年08月25日 | 賄い料理

本日は、以前に賄いで作って好評だった料理をご紹介します。

豚肉のパン粉焼きです。

料理名は単純ですが、豚肉の色々な部位が入っている贅沢な一皿です。

作り方は、マッシュポテトを下に敷き、その上に別々にローストした豚のばら肉、ロース肉、豚足、ソーセージを乗せます。パン粉をまんべんなく振りかけ、ローリエ、タイムを乗せて、オーブンで綺麗な焼き色が付くまでじっくり焼きます。

仕立て方で言いますとグラタン仕立てですが、ソース等で煮込んだグラタンとは違い、ローストに近いかもしれません。

賄い料理にグラタン仕立てをよく作ります。焼きたての熱々が出せて、味も美味しい事もその理由ですが、何よりも営業で使いきれなかった食材を無駄なく使いきれる点で重宝しています。その時に有る物で自分でも想像していなっかた様なグラタンが出来たりします。

今回も豚肉のローストと前菜用の豚足とソーセージ、メインデッシュの付け合わせ用のマッシュポテトが残ってしまったので、何となく合わせてみたのですが、思っていた以上に美味しかったです。

ごく稀に偶然から生まれる一皿が有ります。毎日どうしよう、どうしようと、新しいメニューに頭を悩ませる中で、この様な偶然がある事も料理の面白さではないのでしょうか。


大羽鰯のマリネ ガスパチョスープ添え

2006年08月23日 | 前菜

本日は、以前に書きました鰯のマリネ ガスパチョ仕立てのアレンジした形をご紹介します。

大羽鰯のマリネ ガスパチョスープ添えです。

お皿を構成する食材はほとんど同じですが、スープ仕立てでは無くて、スープを別添えにしています。別々に食べて頂いても良いですし、ソースとしてかけても美味しいです。

以前のスープ仕立てですと、最初から最後まで同じ味わいですが、今回はお客様の好みで色々な食べ方が出来ると思います。

料理にも、楽しいと思える要素が有ると喜んで頂けますし、食事中の会話もはずみます。

勿論、味が良い事が一番大切ですが、それ以外の感覚(プレゼンテーションや食べ方)でも味わって頂けると、より美味しく感じることが出来ると思います。

どんな一皿でも、これで完成と言う事は有りません。

自分の料理感(価値観)と共に進化させていきたいと思っています。