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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

シュトーレン

2006年12月24日 | デザート

本日は、クリスマスの為に作りましたデザートをご紹介します。

シュトーレンです。

シュトーレンはドイツ、オーストリア地方のクリスマスケーキです。

フランスでもクリスマス前になると売られていましたので、何回か食べる事が出来ました。、ドライフルーツと洋酒、スパイスの風味がとても良くて、美味しかった記憶が有ります。

作ってすぐに食べるお菓子ではなく、数日間の熟成後に美味しくなる所がこのお菓子の魅力です。すぐに食べたい気持ちを我慢してクリスマスまで待つ時間も、この時期の楽しみの一つです。

シュトーレンにも作り方や入る食材によって様々な物がありますが、今回グリンツィングで作りましたのは、オーソドックスなマジパンを中に入れた形です。

バターのたっぷり入った生地に、洋酒に漬けたドライフルーツとスパイス、マジパンを入れてじっくりとオーブンで焼き、更に溶かしバターをたっぷりと塗った上にシナモンシュガーをまぶしてから、仕上げに粉糖を振って完成です。

付け合せには、蜂蜜のアイスクリームを添えています。

真っ白で独特な形から、キリストの揺り籠を模した等の幾つかの説があります。

日本のクリスマスケーキと言いますと、イチゴと生クリームを使った華やかで、いかにもおめでたい感じのするものですが、同じクリスマスケーキでも国が違うとこうまで違う物かとびっくりします。

日本のクリスマスケーキにも意味や由来は有ると思いますので、調べてみたいと思っています。

味わいその物は素朴ですが、その中にお酒やフルーツ、スパイス等の特別な贅沢を楽しむ気持ち、シュトーレンのお菓子の存在の意味や保存できる等の生活の知恵に、ヨーロッパの文化や人々の日々の生活を感じました。

今回は、この様なクラシックなお菓子の存在の意味と美味しさが一致している事に、とても感動しました。

 

 

 

 


バニラアイスクリームのクロケット仕立て 温かいチョコレートスープ添え 

2006年12月21日 | デザート

本日は、香り高いデザートの一皿をご紹介します。

バニラアイスクリームのクロケット仕立て 温かいチョコレートスープ添えです。

クロケットとは、フランス語でコロッケの意味です。

今回は冷たいバニラアイスクリームに、バターで炒めたパン粉やアーモンドパウダー、カソナード、シナモンパウダーをまぶしてクロケットに見立てています。

見た目はコロッケですが、油で揚げていませんので熱くはありません。

その代わりに下に敷いていますチョコレートスープは、熱々の状態にした物をハンドミキサーにかけて泡立ています。

チョコレートスープは、ココアパウダーで作ったチョコレートソースとバニラ入りのアングレーズソースを混ぜて生クリーム、牛乳でのばした物を鍋に入れて火にかけ、最後にコニャックをたっぷりと加えて仕上げています。

コニャックの香りが効いた温かいチョコレートスープに、冷たいバニラアイスクリームを溶かしながら味わっていただきます。

バニラアイスクリームにまぶしたパン粉にも、シナモンやアーモンドの香りが付いていますので、とてもチョコレートとの相性が良いと思います。

実を言いますとこのデザートは、自分のオリジナルでは無く20代前半の時に働いていたレストランで、その時のシェフに教えていただいた一皿なのです。

久しぶりに作ってみましたが、とても遊び心のある良い料理だと改めて感じました。

何年かの修行を経て自分もシェフになり、自分の料理を考えなければいけない立場になりました。

以前は気づかなかった料理の難しさを毎日実感しています。

なかなか簡単には出来ません。

しかし今は、明日またチャレンジ出来る事に感謝しています。

 

 

 

 

 


モンブラン

2006年12月03日 | デザート

本日は、秋冬の定番のデザートをご紹介します。

モンブランです。

一般的には、焼いたメレンゲに立てた生クリームをのせてマロンクリームを周りに絞ったフランス菓子です。

名前の通りに、ヨーロッパのアルプスにあるモンブラン(白い山)を意味していて、振りかけた粉糖が山頂の雪を表現しています。

そこでグリンツィングでは、周りのマロンクリーム中にたっぷりのバニラビーンズを使ったアイスクリームを入れて、お持ち帰りの出来ないレストランのデザートにアレンジしてみました。

作り方は、低温で焼いたメレンゲの上に丸くくりぬいたバニラアイスクリームをのせてその上に立てた生クリームをかぶせ、さらにフランス産のマロンペーストとピューレを牛乳でのばしたマロンクリームを上からたっぷりと絞ります。

仕上げにチョコレートソースをかけてから、粉糖をかけて完成です。

見た目にはボリュームが有りますが、中のバニラアイスクリームと生クリームが濃厚なマロンクリームと調和して、思いの他サッパリと食べる事が出来ます。

お客様にはとても喜ばれていて、甘さも少し控えめにして有りますので男性の方にも好評です。

自分もフランス修行中にシャモニーに食事に行った際、本物のモンブランを観る事が出来ました。その美しさは今でもはっきりと憶えています。

その時の感動を東京で!とはいいませんが、沢山の料理人やパティシィエが挑戦する一皿ですので、自分でも何か出来ないかと考えました。

いったんはこうしてご紹介していますが、決して完成しているわけではありません。これからも少しずつ変化していきます。

すべての料理にいえますが、昨日より今日、今日より明日、より美味しくなるように。と毎日思っています。 

 

 


マロンのスフレ

2006年11月15日 | デザート

本日は、熱々のデザートをご紹介します。

マロンのスフレです。

フランス産のマロンペーストを使っているのでとても香ばしく、コクのある味になっています。

通常のデザートは営業前に仕込んでおいた物を、オーダーが入ると組み立てたり温めなおして盛り付ける場合がほとんどですが、スフレはその場で混ぜ合わせて焼かなければいけないため、とても手間が掛かります。

しかも、少しの生地の状態の違いやオーブンの温度で、焼き上がりが変わってしまいます。そのためオーダーが通るたびに緊張します。

今回のマロンのスフレは、最初の試作の段階ではなかなか上手くいかず苦労しました。

結果としては大きく膨らむ様になり、周りはカリッと中はふわふわで、スプーンを入れるとマロンとラム酒の穏やかな香りが立ち上がる、とても美味しい一皿になりました。

グリンツィングではマロンのスフレの他に、カルバドス酒やグランマルニエ酒などのお酒を使った物もお出しする事が有ります。

それぞれに良さが有りますが、焼きたての一瞬を味わっていただく、レストランならではの贅沢なデザートに変わりはありません。

営業中の忙しい中、他の席のお肉やお魚を焼きながらや、前菜を盛り付けをしながらスフレを焼く事はとても難しいですが、無理と思えば何も出来なくなってしまいます。

難しい事に挑戦することで、色んな発見や今まで出来なかった事ができる様になり、自分自身が成長出来ると信じています。

小さなキッチンでは大変なデザートですが、大きく膨らんだスフレを見たときのお客様の喜ぶ顔を見ると、挑戦してよかったと本当に思います。

 

 

 

 


パイナップルのラビオリ仕立て その2

2006年08月27日 | デザート

本日は、先日に書きましたパイナップルのラビオリ仕立ての新しい形をご紹介します。

今までは、コンポートにしたパイナップルのスライスの中にバニラ風味のクリームを挟んだ物でしたが、パイナップルの状態によって、硬くて食べにくかったり、中のクリームや隣りに添えたココナッツアイスクリームとの味のバランスも気になっていました。

食材の組み合わせは気に入っているので、より分かりやすく、食べやすい形に、と言う事で考えました。

新しい皿では、バニラ風味のクリームとパイナップルのコンポート、ココナッツアイスクリームに、パイナップルジュースのゼリーを覆いかぶせています。ゼリーですので柔らかく食感も良くなりましたし、全体のバランスも一体感があり、デザイン的にも可愛らしくなりました。

前菜やメインデッシュでは、実質的な美味しさを求めるため、なかなか新しいテクニックを使ったり、組み合わせのチャレンジは難しいですが、デザートでは、少し位の遊び心が有っても良いと思います。

完璧を求めると、皆、同じような形や味になってしまいます。

それぞれのシェフの個性が、フランス料理の美味しさであり、楽しさであると思います。

まじめに料理する事も大切ですが、少しの遊び心も忘れない様にしていきたいです。