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東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

フロマージュ(ヨーロッパ産チーズ) 

2006年09月30日 | 食材

本日は、グリンツィングでお出ししていますフロマージュ(チーズ)をご紹介します。

通常ですと、5種類位のフロマージュを皿盛りにして盛り合わせていますが、ご要望が有ったり特別な時には、今回の様にお客様に見ていただいてから、お出ししています。

ワイン好きの集まるお店と言うこともあり、ほとんどのお客様がオーダーされます。美味しいワインとチーズとパンがあれば十分、と思う時も有りますが、一様、料理人ですので料理も頑張っています。

右上から時計回りに、栗の葉に包まれたバノン、6ヶ月熟成のグリュイエール、トロトロなモンドール、山羊乳のサントモール、三大ブルーチーズのロックフォール、マール酒で洗ったエポワス、オレンジ色が綺麗なミモレット、そして真ん中が、定番のカマンベールです。

フロマージュは、渋谷東急百貨店の東横店にあります、フェルミエさんから仕入れています。

通勤途中にお店があるので、実際に自分の目で見て、食べ頃のフロマージュを選んでいます。と言いましても、いつも選んでいただく場合が多いのですが。

フェルミエさんのお店の方に、フロマージュの話を聞かせていただいたり、試食をさせてもらう事も有ったりと、とても勉強になります。店員さんは皆さん優しい方ばかりなので、出勤前にお店に行く事が毎日の楽しみでもあります。

フランス修行時代、美味しくて値段が手ごろな事もあり、友達と一緒にワインを飲みながらフロマージュをよく食べていました。レストランの賄いでも沢山食べました。

ノルマンディー地方にいた時に食べた白カビのブリーと、その時の大家さんが作った自家製のシードルの組み合わせの美味しさは、今もはっきりと憶えています。

日本ではお値段が安くありませんが、レストランでの食事を楽しむ為には無くてはならない物ですので、これからも勉強していきたいと思っています。

 

 

 


鴨のフォワグラ (テリーヌ)

2006年08月13日 | 食材

本日は、フランス料理の定番の食材 フォワグラをご紹介します。

フォワグラにもガチョウと鴨の2種類有りますが、グリンツィングではフランス産の鴨のフォワグラを使っています。

個人的にガチョウの物より鴨の方が、味わいも香ばしくて舌触りも滑らかですので好みです。産地もフランス産の他に、ハンガリー産などいくつか有りますが、やはりフランスの物が良いように思います。

調理法としては、フライパンでポワレやソテーする方法や冷製のテリーヌにしたりするのが一般的です。その他にも、フラン(洋風茶碗蒸し)やコンフィ、燻製にしたりする事も有ります。ソース等にも加えたりするので、そのバリエーションを挙げると数えきれません。

そこで今回は、王道の調理法 テリーヌの作り方をご説明します。

作り方にも、それぞれ個人差やお皿の仕立て方によって違いが有りますが、今はオーソドックスな作り方で仕込んでいます。

まずは、常温で柔らかくしたフォワグラの血管を取り除きます。冷たくて固い状態ですとボロボロに崩れてしまいますし、温かくし過ぎて溶けてしまってもいけません。

中央の太い血管から丁寧に取ります。 

 

取り除いたら元の形に戻して、塩、オールスパイス、砂糖、セルローズとたっぷりのアルマニャックで一晩、冷蔵庫でマリネ(漬け込み)します。 

翌日に冷蔵庫から取り出して少し柔らかくなったフォワグラをテリーヌ型にしっかりと詰め込みます。隙間があると、断面が綺麗なマーブル状になりません。

そして100度のオーブンに湯煎にかけて入れます。そのつど状態が違いますのではっきりとした時間は言えません。大体、30分から1時間位かかります。

中心の温度が38℃になったらオーブンから出します。

常温で粗熱を取り、余分な脂も取り除きます。

軽く上に重石を乗せて冷蔵庫で一晩冷やし固めます。

翌日に重石と上の部分の脂を取り、表面を平らに均します。

取り除いておいた脂を漉して上から流します。脂をかける事によって酸化しなくなり、日持ちも良くなりますし色も変わりません。

完成までに3日間かかりますが、フォワグラとお酒、スパイスの絡み合う濃厚な味わいはそれだけの価値が有ると思います。

最近は軽くて新しいテクニックを使った、デザイン的にもモダンな料理が注目されていて、クラシカルで濃厚な料理の良さがあまり聞こえませんが、どちらが良いとか悪いとかの問題であって欲しくないのです。

古いから悪く、新しいから良いのではなくて、それぞれのスタイルの中に料理人の技量の良し悪しが有るのだと思います。

目先の流行に惑わされないように、何が本質なのかを考えていきたいです。


白桃

2006年08月06日 | 食材

本日は、大好きなフルーツ 山形県産の白桃をご紹介します。

まんまるで、産毛見たいな物がフサフサしているなんとも可愛らしい食材です。

今のメニューでは、先日ご紹介しました白桃のブランマンジェで使っています。

これまでにも、ムースやスープ仕立てなどいろいろと考えてきましたが、個人的にそのまま食べる方法が一番美味しいと思っているだけに、いつも悩みます。

最近の自分の料理の傾向として、なるべくシンプルに調理して、そこに効果的な香りを組み合わせる事でメインの食材を際立たせたいと考えています。

そこで今回は、軽くコンポートにした白桃にフレッシュのミントを合わせてみました。清涼感のある香りが、瑞々しく甘い白桃をよりサッパリ感じさせてくれると思います。

写真では、ミネラルウォーターとグラニュー糖、レモンの輪切りだけで簡単にコンポートしていますが、ここに色々なスパイスやハーブを加えれば、それだけで立派なデザートの一皿になります。

あと、湯剥きした時の皮も一緒に入れると、ピンクの色が出て綺麗です。 

 

フルーツに限らず良質の食材を前にすると、料理人は何が出来るのか悩みます。

食材あっての自分達ですが、より自由な自分らしい味とは何か、今日も考えています。

 

 

 


大羽鰯

2006年07月20日 | 食材

本日は、自慢の食材をご紹介します。先日に夏の前菜として紹介した大羽鰯のマリネ ガスパチョ仕立てで使っています大羽鰯です。

とても大きくて、見るからに食べ応えが有りそうです。写真のお皿が、メインデッシュ用なので、その大きさが分かって頂けると思います。

今回は、マリネの工程をご説明します。

まず、3枚に鰯をおろし、たっぷりの粗塩を振ります。

10分たったら、水洗いして皮を取ります。その次は、白ワイン酢に同じく10分程漬けます。キッチンペッパーで水気を拭き取り、上質のオリーブオイルと香草のタイム、鷹の爪と一緒に漬け込み(マリネ)します。

一晩経った次の日が、味も馴染み美味しくいただけます。

 

普通の鰯でも良いのですが、良質な食材を使うと、調理していて楽しいですし、お客様にも自信を持ってお勧め出来ます。

単純な作業ですが、だからこそ食材の質が良いと本当に美味しい一皿になるのです。