今回は、メインディッシュの一皿をご紹介します。
ハタのムニエル 茸を添えてです。
脂がのり肉質もしっかりとしたハタには、香ばしくコクのあるバターが良く合いますので、時間をかけてじっくりとムニエルにしてみました。
白身魚にはオリーブオイルでカリッと焼く事が多いのですが、しかし今回仕入れたハタには、白身の肉に近い力強さと濃厚さを感じましたので、その個性に負けない調理法とソースにしています。
その他にも大きなハタには、他の白身魚と違い、熟成によって味わいや身質が変わる気がします。
そこでソースは、豚のジュ(肉汁)をベースにレモン汁やケッパー、イタリアンパセリ、エシャロットを加えて、仕上げに香ばしい焦がしバターで仕上げた、香り高くコクのある物になっています。
魚のソースに豚のだしとは少し変わっていますが、ハタの強い味わいとイメージから、インパクトのある旨みが欲しかった事と、バターを使った調理法には、ベーコン等の豚肉の香りとの相性が良い事から使っています。
バターと豚のジュと聞きますと、重くてくどいように思われるかもしれませんが、レモン汁やケッパーの酸味が強く効いていますので、むしろサッパリとした味わいです。
ソースに加えるバターも焦がす事で、乳化させたソースよりも味の切れがぐっと良くなりました。
付け合わせには、香ばしくソテーした茸をたっぷりと添えていますので、ボリューム感のある魚料理を楽しんでいただけると思います。
ワインとの相性もピッタリの一皿です。
そして、先日ついにミシュランの東京版がでました。
ミシュランはフランス修行時代によく読み、星付きのレストランやシェフに憧れていましたし、そこで修行する自分の励みにもなっていました。
今回の東京版の発売も、日本の飲食業界の活性化や、料理人の意識向上などの効果を期待しています。
星をもらい仕事を評価される事はとても素晴らしい事ですし、本人にとっても嬉しい事だと思います。
しかしミシュランに掲載されたお店以外にも、それ以上に努力をして経験をかさねて、本当に素晴らしい仕事をされている先輩の料理人が、東京には沢山おられる事を自分は知っています。
今回はミシュランというガイドブックの、ある一つの基準の評価として受け止めたいと考えています・・・。
人に評価される事も大切ですが、それ以前に人が見ていてもいなくても、自分の仕事を一生懸命にする。
そんな料理人に自分はなりたい。