本日は、前菜の一皿をご紹介します。
コンソメスープのパイ包み焼き「秋の香り」です。
最近は、レストランのメニューにコンソメスープをあまり見かけませんが、丁寧に仕込んだその美味しさは、時代を超えて本当に素晴らしいと思います。
そんなコンソメスープを、クラシカルなパイ包みの一皿に仕立ています。
パイ包みのスープと言いますと、フランスの三ツ星シェフ ポールボキューズの黒トリュフのスープ V.G.E.が有名ですが、1975年にヴァレリー・ジスカール=デスタン大統領の為に作った事がその始まりです。
レストラン ポールボキューズでは、コンソメスープに黒トリュフやフォワグラ、牛頬肉、野菜を入れてパイで包み香ばしく焼き上げていますが、グリンツィングでは少し日本風にアレンジしまして、たっぷりと旬の松茸を入れてみました。
黒トリュフの陶酔する様な妖艶さとは違い、優しく包み込む松茸の香りは、日本の秋をシンプルに感じさせてくれます。
その他の具には、フォワグラやオックステールも入っていますので、スープと聞いて想像される以上に、ボリュームもコクも十分です。
そして、主役のコンソメスープは、最初にオックステールと香味野菜を煮込んでブイヨンを作り、更にたっぷりの牛スネ肉を加えて仕上げる、ダブルコンソメにしていますので、濃厚でリッチな味わいになっています。
注文を受けてからパイ包みをオーブンに入れますので、焼き上がりまで15分程時間がかかりますが、待っていただくだけの価値がある、自信の味になりました。
バターの香り漂う焼きたてのパイに、ざっくりとスプーンを入れると、松茸やフォワグラ、牛肉のコンソメの香りが、湯気と共に飛び出してくるその瞬間に、秋の豊かさを感じていただけると思います。
是非ともこの秋には、贅沢な香りと共に、美味しいワインを楽しんでいただきたいです。
さて、話が少し変わりますが、最近考えている事を書かせていただきます。
「料理の世界は厳しい」とよく言われます。
その仕事の厳しさとは、何なのでしょうか?
プライドを持った仕事を保つには、適度な緊張感や、その職場での責任やルールの理解等、自他共に厳しさが必要な部分も確かに有ります。
しかし、他のスタッフに対しての仕事の厳しさとは、それと同じ位の優しさや愛情が有ってこそ、成り立つ物ではないのでしょうか?
以前に料理の専門誌を読んでいて、とても感銘を受けた文章があります。
「スタッフを育てるのに大切な理念とは、母心である」
その言葉に、本当に感動しました。
世間には、父親の様な厳しくて怖い料理長は沢山おられます。
しかし、本当に必要なのは、いつもあれこれと気にかけてくれて、困った事が有れば相談でき、いつも同じ目線で接してくれる、間違ったりしてもその時は厳しく諭しても、最後には許してくれる、母親の様な料理長ではないのでしょうか?
自分自身今までの人生で、母親の一言にどれほど救われたか数えきれません。
フランス料理に限らず調理業界は、いつも人材に不足しています。
優しさや愛情の無い厳しさで、スタッフを辞めさせる事が、料理長や上司の仕事では有りません。
どうしたら、この仕事を長く続ける事が出来るのかを考える事が、本当に大切だと思います。
そうは言いましても、4年前にグリンツィングに来てから料理長になった当初は、そこまで深く考えていませんでした・・・
スタッフの気持ちの大切さを、一緒に働いた仲間から一つ一つ教えて貰いました。
料理人は、物や道具ではなく、花や草木の様に、大切に人を育てる職業であって欲しいと思います。
今日は、偉そうな事を言いまして申し訳ありません。
お久しぶりです。
昨日電話にて予約しましたが、あさって(木曜日)伺います。
飲み仲間で、ご自分のレシピブログを書かれている方と行きます。
先日、トボトボ歩いていると紳士にバッタリ。
熱田会長でした!
そういえば最近おじゃましていなかったなあと思い、予約させていただきました。
みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
松岡
お元気ですか?
急に涼しくなり、もう秋ですね。
グリンツィングも、秋らしいメニューで頑張っています。
木曜日は、スタッフみんなでお待ちしています。