ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

続どろんこハリィ(1)

2007-03-26 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
あるところにハリィという犬がいました。
ハリィは、黒いブチのある白い犬でした。
そして、ハリィは、おふろに入るのが一番嫌いでした。


ある日、ハリィは、広場に出かけて、
友だちの犬たちとおっかけっこをしたり、
かくれんぼをしたりして、遊びました。


それから、石炭自動車と競争したり、
蒸気機関車の煙の中を通り抜けたりして、遊びました。


そうしているうちに、
ハリィは、本当は、黒いブチのある白い犬でしたが、
白いブチのある黒い犬になってしまいました。


夕方になって、そろそろおなかもすいてきました。
ハリィはおうちに帰ることにしました。



おうちの庭に着くと、家の中から、
男の子と女の子が、外をのぞいていました。

「おとうさん、おかあさん、うちの庭に変な犬がいるよ」

「どれどれ、あぁ、似ているね。
 でもあれはうちのハリィじゃないよ」


ハリィはそれを聞いて、ビックリしました。
そして、自分がハリィであることをわかってもらおうとして、
得意の芸をしました。でんぐりがえり、さかだち、すっきっぷ、
そして、くちぶえも吹きました。


「なんかハリィみたいだな。でもあれはうちのハリィじゃないよ。
 だってハリィは黒いブチのある白い犬なんだから」

(つづく)