ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

なかよし?(3)

2007-03-21 | 灰に埋まった村/ なかよし?
学校に慣れてくると、ヨシオにも、どんどん友だちが増えました。学校の行き帰り、休み時間も放課後も、いつも楽しく友だちと一緒です。

それでも、一番のなかよしは、あの一番最初に声をかけてくれたワルコでした。

それは、ワルコが女の子だから、というわけではありません。
ヨシオは、ワルコと一緒にいると、なんかホッとするのです。

ワルコは時々、おねえさんみたいに、ヨシオにおせっかをしたり、ああだこうだと意見することもありました。

あるときは、ヨシオの給食の食べ方がどうのこうの、と言い始めたことがありました。ワルコは、そう言いながら、ヨシオにおかずを分けてくれました。

ヨシオが消しゴムを忘れたときのことです。ワルコは、どうして夜寝る前にかばんの中身をチェックしないのかと、説教し始めました。そう言いながら、自分の消しゴムを、半分切って、ヨシオにくれました。

体育の時間に、鉄棒がうまくできないで、ヨシオがしょんぼりしていると、ワルコが励ましてくれて、そして、放課後、鉄棒の練習に付き合ってくれました。

もちろん、
普通に遊んでいるときも、
ヨシオにとって、ワルコが一番のなかよしでした。

(つづく)