ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ありんこ村の奇跡(5)

2007-07-13 | ありんこ村の奇跡/ さて、どうする?
谷を挟んで、丘の両側に、アリたちの積み上げた砂と石が山のようになりました。

黒い雲が流れてきました。どうやら、大雨が降るようです。雨が降り始めました。始めはポツポツ、そしてだんだん激しくなってきました。大雨です。アリたちは、働くのを止めて、家に帰りました。

アリたちは、思いました。「また大雨で、畑は水に浸かってしまった。今度の収穫もダメになったな。これから、どうなるんだろう。」


雨がやみました。アリたちは、外に出てきました。

とてもびっくりすることが起こっていました。

アリたちが積み上げた、あの石の山が両側とも姿を消していたのです。その代わりに、目の前には、今までなかった大きな池が広がっていました。

大雨で丘が崩れたのです。そして、丘の上に積み上げられていた石の山が両側からいっぺんに谷をふさいだので、大雨の流れも、それを崩すことができなくて、せき止められて、池ができたのです。池に流れ込む水は、畑とは違う方向に、流れ出ていました。

「神様、ありがとう。ボクたちが、予想もしなかった、最高にすばらしいことをしてくださいました。」

ありんこ村は、もう大雨が降っても心配ありません。畑は水に浸かることはありません。谷の下まで、水を汲みに行く必要もなくなりました。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)