ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ハイエナがオドオドするようになったわけ(4)

2008-02-28 | 放蕩息子Part2
うずくまっていたハイエナも、薄暗がりの中、ライオンが近づいてくるのがわかりました。ハイエナは、恐ろしくて仕方ありません。けれども、もう身動きする力はありませんでした。ただ震えているだけでした。

ライオンは、ハイエナの前に立ちました。そして、気高い声で言いました。

「安心しなさい。わたしは、あなたを助けに来たのだ。」

そう言うと、ライオンは鋭い牙のある大きな口を開け、ハイエナに噛みつきました。ハイエナは、もう終わりだと思いました。

けれども、ライオンは、お母さん猫が子猫を大事に銜えるように、ハイエナを銜え、急な谷を上り始めました。自分だけでも登るのが難しいのに、口にはハイエナを銜えているのです。力強いライオンでも、それはとても大変でした。一歩先に進むるたびに、足はトゲトゲ石で傷つきます。それでも、ライオンは、谷を登って行きました。

谷を登りきったライオンは、ハイエナを銜えたまま、草原を渡ります。傷ついた足は、自分のからだの重さに加え、ハイエナのからだも重さもかかります。一足ごとに痛みがからだに走ります。

ライオンは、自分の住処に戻りました。そして、傷ついたハイエナを手当てしてあげました。

(つづく)