ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

人魚王子(4)

2008-08-15 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
あるとき、王子と姫は、王様とおきさき様の代理として、遠くの国まで船で旅に出ました。

そして、大切な用を済ませた、その帰りの海で、大嵐にあいました。
選りすぐりの船員たちは、大嵐の中で、なんとか船を陸地に近づかせようとしましたが、


ついに、船は沈没してしまいました。


王子も姫も海に投げ出されました。

王子は泳ぎが得意です。それでも、大嵐の荒れ狂う波にもまれながら、泳げない姫を助けることは難しすぎました。


このままでは、二人とも溺れてしまいます。



王子一人なら、岸までたどり着くことができるでしょう。

だからといって、王子は、姫を海の中であきらめることは、とてもできません。



「人魚だったら、助けられるのに。」


(つづく)