ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

アクションRPG。敗北の原因は?(2)

2008-09-16 | アクションRPG。敗北の原因は?
「ふん。」

タロウは、だからどうした、という様子で、またゲームに向かった。画面の流れは、さっきよりもずっと早い。一度やった場面は、もう頭に入っているので、無駄な動きがないのだ。あっという間に、セカンド・ステージに来た。

「まあ、予定どおりと言っとこか。」

と言いながら、実は、ちょっと得意になっていた。それまでよりも、少し慎重になって、でも、ガンガン進んで行く。また、建物に入った。荒れ果てたホテルのような感じで、あっさりした廊下の両側に、ドアが並んでいる。破壊されていて部屋の中が見えるドアもあれば、半開きのドア、完全に閉まっているドアなど、いろいろある。タロウは一つのドアを開けた。中は空っぽだ。・・・なんかありそうだ。

「ここは、たぶん、これか・・・。よっしゃ、おもったとおり。」

開けたドアを、閉めて、もう一度開けると、タロウの予想どおり、アイテムが隠されていた。

「ふーん。これで、考えてあるつもりかいな。さっきと同じパターンやん。」

タロウが獲得したアイテムは、「信仰の大盾」だった。


廊下を通り抜けて、階段を登るとき、少し緊張した。でも、何も起こらなかった。どんどん上って、屋上に出たとたん、敵が襲ってきた。

「これをまっとってんやん。」

でも、タロウは攻撃を仕掛けなかった。かわすだけだ。自分から攻撃したら、敵がその技を身につけて、それだけ強くなるからだ。タロウは、敵の攻撃のすきをついて、一発でしとめるつもりなのだ。ところが、敵が弓矢で攻撃してきた。タロウは、ますます攻撃のチャンスを見つけられなくなった。タロウのライフ・レベルもパワー・レベルも、もうほとんど残りがない。

「あっかん。死んだ。」

敵が放った矢をかわして、敵の背後にジャンプしようとしたタロウだったが、敵はそれまでよりも速いテンポで、次の矢を放ったのだ。タロウは空中でまともにそれを食らってしまった。

「うーん。やられた。くっそー。」


さて、タロウの敗北の原因は?

答えは簡単。そう、獲得したアイテム「信仰の大盾」を使わなかったからだ。

(つづく)