その日、松島に寄った時は、もう日が暮れていた。
まだ、暮れ六つ時(六時頃)だというのに、まるで五つ時(8時)を過ぎたかのようで、深まる秋は日の落ちるのが早いもの。
松島海岸駅前(仙石線)で、海を右にして立ち、前方を見ると細い道がある。
その道を入って行くと、左にホテルがあり、右からは、ほのかに温かさを感じるオレンジ色の灯りが目に入った。
その灯りの傍に行くと、看板があり「菓子工房 松田屋」と書かれている。
ガラス越しに店の中を覗くと、魅力的なケーキが見えた。
「入ってみよう」輝くケーキに、見ているこちらの目も輝く。
今日は、持ち帰りやすい品を選んだ。
棒状で個別に包まれたチーズケーキと、フルーツケーキやチョコレートケーキ、そしてシュークリーム。
このケーキは、どれも素材の味をしっかり引き出していた。
チーズの味も生チョコレートの味も濃厚だし、フルーツケーキは、中にさっくりした生地も加え、食感に工夫が加えられている。
シュークリームは、ふっくらした生地の中に、まろやかで、卵と牛乳の味わい豊かなクリームがたっぷり入っていた。
美味しい品も、その土地に行く楽しみになる。
松島に行く楽しみが、また一つ増えた。
※追記 震災後の津波で浸水しましたが、復旧再開し、現在も同じ場所で営業しています。