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ふくらく通信

東北人が記す、東北の良さや震災の事、日々のなんだりかんだり。
他所で見る東北の足跡や繋がり、町の今昔や輝きを発信。

石巻の一歩②(2011年10月6日の記録)

2017-09-07 20:01:49 | 東北被災地の歩み:南三陸・石巻

 

10月6日に、石巻の町をさらりと廻り、とある横丁を目した。

この日は通り雨があり、雲は多いが青空も覗いて虹が見え、風はちょっと冷たいが、日差しは温かな日だった。



                   

 

石巻駅を右手に見て、穀町を通り抜けると、大街道沿い(国道398号)に目当ての場所が見える。


「ホット横丁石巻」だ。

 

たこ焼き屋の「築地銀だこ」が、雇用の場を被災地に設けて支援しようと動き出し、賛同企業を募って株式会社ホット横丁が作られたという。

 

そして夏には、石巻に小さな商店街「ホット横丁石巻」が出来た。

 

 

ここに並ぶ店の一つに、「石巻生まれのホットドック」が売られている。

自家製パンが、宮城の「ひとめぼれ」の米粉が入った物だという。

 

具も特製のソーセージだというので、旨そうだし地域産物を使っているのに惹かれて食べてみた。

 

 

名前は「ロックンロールドッグ」である。 

 

名前の印象では、てっきり香辛料の効いた力強い味かと思いきや、予想を裏切る旨さだった。

びっくりするほど、素材を活かした穏やかな味わいなのである。

 

石巻生まれのホットドックは、作る人々の心を表したように、素直で温和な味わいだった。

 

 

ちなみに、ロックンロールの名前は、石巻に因んでいるようだ。

洒落が効いている。「石」は「ロック」で、「巻」が「ロール」ということらしい。

 

 

ほっとする場でもあり、熱意のある場でもあり、ホット横丁は「がんばっぺ」が笑顔で伝わる場所だった。


石巻の一歩・その1(震災から7ヶ月経過)

2017-09-07 19:03:33 | 東北被災地の歩み:南三陸・石巻

久しぶりに石巻の町へ行くと、商店街は、中が空っぽになった店がたくさんあるけれど、町の破片だらけだったのが片付いて綺麗に道が通っていた。

震災から2~3ヶ月は、何処の港町も建物の破片で一杯だったのを、自衛隊が毎日重機を動かして道の端に集めていたし、辻では警察が交通整理をしていた。

行方不明者を捜索しながら、様々な破片を片付けていったのである。


あんなに破片だらけだったのに、それでも日々働く人がいて、一つ一つ取り組んできた結果、砕けた町の断片が取り除かれた。

それを見て、日々努力を積み重ねることは、本当に凄いことなのだと思った。


石ノ森漫画館のある中瀬は、水に浸かる部分が増えている。

中瀬の真ん中を通る道まで、海水がひたひたと迫っていた


漫画館の向かいには、国内最古の木造教会という、美しい八角形屋根のハリストス教会があった。

明治13年建築で、1978年の宮城県沖地震で損傷したが、その後に中瀬公園に移築されたという建築物だ。


これが、窓は割れ、白壁が所々剥がれて正面の扉が失われているが、かろうじて外観は残っている。

2度の震災にも、この美しい建築物は、傷みながらも耐えて残っていたのであった。


建物はあるが、中が空っぽになった所の多いかつての商店街だが、その中にも、なんとか改装して衣料品を売る店がいくつか開いていた。

町のあちこちに、「がんばっぺ石巻」の文字と、励ましの寄せ書きが貼られている。

その「がんばっぺ」は、決して人々を急くものではなく、日々不幸のままではないこと、出来ることをやって段々に進んでいく中に喜びもあることを、共に呼びかけている合言葉だと、町を見ていて思った。