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「流言飛語」被災地で深刻化 デマがニュースで報じられる例も

2011-04-03 02:01:31 | 日本ニュース (病気・環境)


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災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか [著]レベッカ・ソルニット
[評者]柄谷行人(評論家)[掲載]2011年2月6日
http://book.asahi.com/review/TKY201102080172.html


■相互扶助の出現、無法状態でなく

 大災害が起きると、秩序の不在によって暴動、略奪、レイプなどが生じるという見方が一般にある。しかし、実際には、災害のあと、被害者の間にすぐに相互扶助的な共同体が形成される。著者はその例を、サンフランシスコ大地震(1906年)をはじめとする幾つかの災害ケースに見いだしている。これは主観的な印象ではない。災害学者チャールズ・フリッツが立証したことであり、専門家の間では承認されている。にもかかわらず、国家の災害対策やメディアの関係者はこれを無視する。各種のパニック映画は今も、災害が恐るべき無法状態を生み出すという通念をくりかえし強化している。

 むしろこのような通念こそが災害による被害を倍加している。サンフランシスコ大地震でも、死者のかなりの部分は、暴動を恐れた軍や警察の介入による火災や取り締まりによってもたらされた。同じことがハリケーンによるニューオーリンズの洪水においても起こった。略奪とレイプが起こっているという噂(うわさ)がとびかい、被災者の黒人が軍、警察、自警団によって閉じこめられて大量に殺された。本書でも簡単に触れられているように、関東大震災では朝鮮人の大量虐殺がおこった。これも噂にもとづくものだが、その根底には朝鮮人の独立運動に対する国家側の恐怖があった。

 他方で、サンフランシスコでもニューオーリンズでも、被災者の間および外から救援にかけつけた人たちの間で、新たな共同体がすぐに形成された。日本の例でいえば、阪神・淡路大震災では関東大震災のようなことは起こらなかった。当時、国家の対応が遅すぎるという非難があったが、むしろそのおかげで、被災者と救援者の間に、相互扶助的な共同体が自然発生的に生まれた。そのような「ユートピア」は、国家による救援態勢と管理が進行するとともに消えていったが、このときの経験から、その後に生き方を変えた人が多いはずである。私も何人かを知っている。

 本書において、災害は自然災害だけでなく、戦争や経済危機などをふくんでいる。いずれの場合も、災害は新たな社会や生き方を開示するものだ。ニカラグアやメキシコでは、それが社会革命につながった。人々は自然状態では互いに敵対するというホッブズの政治哲学が、今も支配的である。だが、それは国家的秩序を正当化するための理論にすぎない。災害後の「ユートピア」が示すのは、その逆である。国家による秩序がある間他人を恐れて暮らしていた人たちは、秩序がなくなったとたん、たちまち別の自生的な“秩序”を見いだす。それは、他人とつながりたい、他人を助けたいという欲望がエゴイズムの欲望より深いという事実を開示する。むろん、一時的に見いだされる「災害ユートピア」を永続化するにはどうすればよいか、という問題は残る。しかし、先(ま)ず、人間性についての通念を見直すことが大切である。

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 高月園子訳/Rebecca Solnit 米サンフランシスコ在住のノンフィクション作家。他の著書に『暗闇のなかの希望――非暴力からはじまる新しい時代』など。

 

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「流言飛語」被災地で深刻化 デマがニュースで報じられる例も
産経新聞 4月1日(金)22時10分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110401-00000630-san-soci


 被災地で治安情勢などをめぐる「流言飛語」が深刻化している。出所の大半はインターネットの掲示板や転送を呼びかけるチェーンメールで、中にはデマが事実としてニュースで報じられた例もあった。警察庁は「被災地域で凶悪事件は起きておらず、惑わされないで」と注意を呼びかけるとともに、サイト管理者への削除要請にも乗り出している。

 警察庁によると、特に多いのは被災地の犯罪情勢に関するデマで、具体的な地名を挙げたうえで、「外国人窃盗団が暗躍している」「強盗や強姦が多発している」「略奪が横行している」など。「○○の水道水が危ない」といった放射能絡みも目立っている。

 被災地や原発周辺では、自宅を空けて避難している人が多く、こうしたデマやうわさに不安を感じ、警察に相談したり、パトロールの強化を訴えたりする例が続出。しかし、震災後に被災地域で外国人を窃盗容疑で摘発したことはなく、強盗や強姦などの凶悪犯罪が起きたという報告は1件もないという。

 また、偽の給油整理券と引き換えに現金を詐取される被害が発生しているといううわさが流れ、テレビや地元紙がニュースとして報道。しかし、警察が後で調べたところ、被害事実は確認されなかった。

 このほか、実在しない報道機関を名乗った架空のニュースが掲示板に書き込まれたりするケースもあった。警察庁はこれまでに約30件の悪質なデマの削除を依頼したといい、「被災者の不安や混乱をあおる行為は見過ごせない。今後も監視を強化する」としている。

 

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窃盗被害から被災地守れ 消防団が夜間巡回
4月2日(土) 岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110318_2


東日本大震災で、被災地の治安悪化が懸念されている。大津波で倒壊した家屋を物色したり、車からガソリンを抜き取ろうとする不審者が各地で目撃され、銀行の現金自動預払機(ATM)から現金を奪おうとしたとして逮捕者も出た。治安悪化は阪神大震災の時にも問題となったが、本県の住民たちは「危機的状況のときこそ心を一つに」と団結もしている。犯罪を防ぐ地域の力が試されている。

 宮古市内で避難所生活している女性(87)は11日の震災で慌てて逃げたため、自宅に印鑑を置いたままだ。「他の人が行かない場所だから大丈夫と思うけど…」と不安が頭をよぎる。

 陸前高田市では物品やガソリンの窃盗被害が相次ぐ。避難所の前で堂々とポンプ式の専用機材を使いガソリンを抜き取る悪質な例もあり、地元住民は不安な毎日を過ごす。

 複数の住民によると、バールを持った3人組の若い男が数日間にわたり住宅地を物色しているのが目撃された。実際に周辺の住家からはパソコンや液晶テレビなどが盗まれているという。

 空き巣被害を聞き、避難所から自宅に戻った同市米崎町の及川征喜さん(66)は「侵入者が来るかと毎日寝た気がしない。食材や燃料が不足しているのはみんな同じ。こんなときこそ人と人との『絆』を大切にするべきだ」と残念がる。

 釜石市内でも家人不在の民家が物色されたり、ガソリンを抜き取られる被害が出始めている。同市嬉石町の平野剛さん(44)は「知らない人を見ることもある。防災無線を何度も流して泥棒を寄せ付けないでほしい」と訴える。

 大船渡市赤崎町でも、被災した住宅からの金品の盗難や自動車からの燃料の抜き取り被害があったという。地元消防団や自主防災組織が夜間巡回などで警戒している。消防団によると、夜間に預金通帳や金庫などが盗まれる被害が多発。侵入した民家に家人がいることに気付き逃げた者もおり、治安悪化に不安の声が上がる。

 阪神大震災では治安が悪化し、窃盗や女性が被害に遭う犯罪が増えたとされる。

 非常時だからこそ地域の結束を信じる声もある。宮古市大通り1丁目の自営業斉藤仁陸(にろく)さん(71)は「我々の地域では盗みの話を聞いたことはない。貴重な食料を分けてくれる人もいた。信頼し合い一つになっていると感じる」と「共助」を強調する。【写真=倒壊した家屋の多くは家財道具が残されたまま。窃盗被害の懸念が広がる=17日午前9時55分、宮古市内】


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