本朝徒然噺

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稚魚の会・歌舞伎会合同公演へ(8/25)

2007年08月25日 | キモノでお出かけ
<お出かけ先>国立劇場小劇場(稚魚の会・歌舞伎会合同公演)
<着物>矢羽根とトンボ柄の紋駒絽小紋
<帯>黒地に流水柄の竪絽八寸帯
<帯揚げ>白地に淡いピンクのトンボ柄飛び絞り(変わり絽)
<帯締め>水色の冠組

8月25日(土)、国立劇場へ「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」を観に行ってきました。

「稚魚の会」は、国立劇場の歌舞伎研修生修了生のみなさんの会、「歌舞伎会」は、名題下の役者さんたちの会(チケットを先行予約できる「歌舞伎会」とは別物です、念のため……)で、「合同公演」はそうした役者さんたちの「勉強会」的公演です。

毎年、国立劇場のチラシを見て、こういった公演があることは知っていたのですが、これまではイマイチ「行こう」という気になりませんでした。
内容がどうとかいうことではなくて、なんとなく、一般の人(普段、本興行を普通に観に行っている、われわれのようなお客)は行きにくいような気がしていたからです。

もちろん、チケットは普通に販売されていますから、一般の人だって余裕で入れるのですが、「出演者のお身内と松竹関係者、若手の役者さんの追っかけの人たちで場内が埋め尽くされているのではないか」という勝手なイメージを持っていたのでした(笑)。
それがなぜ、今回観に行く気になったのかと言いますと……。

高砂屋さん(中村梅玉丈)のお弟子さんが開設しておられるブログをふとしたことで見つけ、楽しくていつもこっそりのぞかせていただいていたのですが(この場で勝手にご紹介してしまい、失礼いたします……)、そのなかでこの「合同公演」のことが書かれていたのです。
とても熱心に公演の宣伝普及をされていたので、「観に行ってみようかな」と思ったのでした。
チラシや企業ホームページとは異なる、役者さんの生の声が聴けるブログだったからこそ、訴求力も大きかったのだと思います。
そういう情報発信の仕方って大事だなあ……と、あらためて思いました
合同公演のことだけでなく普段の興行のことも熱心に書いてくださっているので、ご興味のある方はぜひごらんになってみてください(高砂屋さんのホームページからリンクされています)。

今回の「合同公演」は、「菅原伝授手習鑑 寺子屋」「乗合船恵方万歳」のプログラムと、「今様須磨の写絵」「勧進帳」のプログラムがあったのですが、私は「乗合船恵方万歳」の常磐津が大好きなので、前者のプログラムを観に行きました。

「寺子屋」では、本興行では省略されてしまうことの多い「寺入り」の場面も上演されており、興味深く拝見しました。
松王丸の妻・千代は、菅秀才の身替わりとして死なせることを覚悟のうえで、わが子を寺子屋に連れてきます。寺入りの挨拶をした後、わざと「隣村まで行ってくる」と言って出かけ、これがわが子と今生の別れになるのです。
後半、わが子の死を悲しむ千代の台詞のなかには、この場面とつながっているものも多いので、ここが省略されずに上演されていたことで、後半の千代の台詞が引き立っていたと思います。
文机も、寺入りの時に下男が持ってくるので、松王丸が文机の数を問いただす場面もわかりやすくなります。
本興行でも、「寺入り」の場面をもっとやってもらえるといいのになあ……と思いました。

「乗合船恵方万歳」は、船着き場を舞台に女船頭、白酒売り、芸者、大工、角兵衛獅子、鳥追い、通人が次々に踊りを披露し、三河万歳のコンビが「柱立て万歳」を披露してめでたく舞いおさめるという、華やかで楽しい常磐津舞踊です。
楽しくておめでたい感じがよく出ていて、気分良く観ていられました。

三河万歳のところでは、ちょいと色っぽいというかアヤシゲなる詞が出てくるのですが、国立劇場での公演だからか(?)上品な詞に変わってました(笑)。


この日も暑かったので、キモノは何を着て行こうか迷ったのですが、なんとなく絹モノの方が多そうな予感がしたので絹モノに(予感的中でホッとしました……)。
勉強会で研鑽を積む役者さんたちへのエールを込めて、トンボ柄の絽小紋にしてみました。
トンボは前に向かってしか飛ばないため、「不退転」をあらわすものとして尊ばれ、「勝ち虫」と呼ばれています。

帯もトンボ柄の絽塩瀬にしようかな……と思ったのですが、絽塩瀬はさすがに暑そうだったので、不退転の決意ができない軟弱な私は涼しい帯に逃げました(笑)。
バッグはトンボ柄にしたので、ご勘弁を……

「乗合船恵方万歳」に(むりやり)ちなんで、柳に舟の扇子を持って行きました。

「柳に舟」の扇子


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