本朝徒然噺

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歌舞伎座へ(1/12)

2008年01月12日 | キモノでお出かけ
<お出かけ先>歌舞伎座・壽初春大歌舞伎(夜の部)
<着物>黒地の総絞り
<帯>格子と傘の柄の織り名古屋帯
<帯揚げ>ピンクに赤の飛び絞り
<帯締め>ピンクの冠組
<根付>鼈甲製のねずみ

歌舞伎座の夜の部へ行ってきました。

朝からあいにくの雨で、しかも寒い一日でした。
雨コートを着るためベルベットのコートを着られないので(これの上から雨コートを着るとモコモコになってしまうので……)、少しでも暖かい着物をと思い、総絞りにしました。
この上に普通の道行コートを着て、さらにその上に雨コートを着ました。

道行コートは、20代のころ、初めて自分で着物を買ったとき、一緒に揃えたものです。
最近はついつい、暖かいベルベットコートのほうに頼っていたので、ものすご~くひさしぶりに着ました
紅梅色のような濃いめのピンクにグレーをまぜたような、くすんだ濃いピンクです。
20代のころには、ちょっと地味な感じで顔映りがあまりよくないように思ったのですが、ン年経ってちょうどよくなってきたかもしれません(笑)。
劇場を出る時には雨もやんでいたので、雨コートは脱いで道行コートだけですみました。

道行コート

夜の部の演目の一つ「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」にちなんで、格子と傘の柄の帯を締めていきました

格子と傘の帯

着物と帯がモノトーンなので、小物を明るい色にして挿し色にしました。
ピンクに赤の飛び絞りの帯揚げと、ピンクの冠組の帯締めです。
ピンクの帯締めは、年が明けてからこっち、酷使してしまってますが……

◆◇◆◇◆

劇場へ向かう途中、電車の中で、粋な感じでしゅっと着物を着こなしておられる男性が視界に入ったのですが、なんと春風亭小柳枝師匠でした

春風亭小柳枝師匠は、落語芸術協会に所属するベテランの噺家さんで、粋でスマートな高座がとても素敵な師匠です
小柳枝師匠大好きなので、電車の中で思いがけず遭遇して本当にラッキーでした
さすがに、いきなり話しかけるような不躾なマネはできませんので、遠巻きに「チラ見」だけで……

高座以外では洋服姿の噺家さんが多いなかで、こうして普段から着物で寄席へ向かう師匠は、いまや希少な存在です。
粋な風情がごく自然ににじみ出ている小柳枝師匠の高座は、こういうところから生まれているのかもしれないと思いました。

そんなふうに、着物をごく自然に、素敵に着こなしておられる小柳枝師匠。
雨仕度も完璧に、かつ実用性を考えたものにされていて、とても参考になりました。

寒い日に雨コートを着る時、女性の場合だと、道行コートの上に雨コートをお召しになる方も多いのではないかと思います。
私もそうしているのですが、これだと、屋内に入った時の脱ぎ着に時間がかかってしまって不便です。
かといって、雨コートだけでは寒いですし……。

小柳枝師匠は、上半身は普通のトンビコートをお召しになり、裾のほうは雨コートのようなもので濡れないようにしておられました。
おそらく、上下二部式の雨コートの「下」だけつけて、その上からトンビコートをお召しになっていたのではないかと思います。
これだと、防寒のために厚手のコートを着てもモコモコせず、コート類の脱ぎ着も楽ですよね
ちょっとお店に入ってお茶を飲む場合なんかは、雨コートのほうはそのままつけておいて上のコートだけ脱げばよさそうですし。
この方法はイタダキ!だと思いました

女性の場合だと、トンビコートの代わりにベルベットのコートやポリの道中着などにするとよいかもしれませんね。
上に着るコートの色と雨コートの色のバランスを考えて組み合わせれば、違和感もないのではないかと思います。
その証拠に、小柳枝師匠はごくごく自然な感じに見えましたもん

小柳枝師匠は、お足元も男物のカッコイイ時雨下駄を履いておられて、本当に素敵でした~

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