◆犬の散歩◆

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パクリ問題に関して思うこと

2005年10月20日 15時32分35秒 | 政治・世相・スポーツ等
昨日あたり再三ニュースでやっていたので今更という感じではあるけど、スラムダンクの絵をパクった漫画について、出版社と作者が事実を認め、作者の全作品の回収と連載作品の中止を決定した。

あまりに厳しいという意見もあるけど、これって野球でいったら八百長に関与してたようなもんで、業界から抹殺されても仕方ないような行為だと思う。とはいえ、他人の著作物を参考にするというのは過去から行われていて、どこからいけないのか、どこまでがいいのかというのが、いまいちはっきり区別されていないという意見もある。そういう議論を掲示板で見たので、ちょっと記してみる。

今回とくに悪質なのは、単に構図などを真似たとかではなく、トレースしてしまったことだ。見ながら書いてたまたま似てしまったのではなくて、上からなぞっているのだ。PCを使って画像を重ねている検証サイトがあったけど、あんなものを見せられたら何も言い返せない。手足の角度やシワなども完全に一致してしまっている。あそこまで同じにしなくてもいいのにとすら思えるほどだ。

単に資料として使っただけだというのなら、ここまで厳しいことはないと思う。単行本の回収くらいあるとしても、当該部分の描き直しで許されることもあると思う。それと、相手が悪かった。一億冊売れた漫画をぱくったら、そりゃ検証されやすい、目につきやすい。そういう部分もあったと思う。

確かに当然の処置とは思うけど、出版社がここまで鬼のような処置が出来るというのは、実はこのトレース、スラムダンクだけではなくいろいろなものからやっていたらしく、検証されてるだけでも相当なものになってるからだろう。作者が出版社に「ほぼすべての作品で常習的にそうやって描いていた」と自白したのだとすれば、すべての作品の回収、絶版というのも仕方ないのかもしれない。(個人的にはそうだと思ってる)


著作物について分類してみる。
原著作物から、それを独自なアレンジをしたり、翻訳したりして加工した著作物のことを二次著作物と呼ぶ。原著作物を一次著作物というが、一次著作物の著作権はもともとの作品を生み出した人が持つのは当たり前として、二次著作権はその加工をした人が持つ、ただ、これは当然、一次著作権の下に成り立つものであって、加工した著作物は2次著作権者の自由にはならない。まあ当たり前のことだけど。
つまり、Aという漫画を元に書いたパロディだったりイラストだったり、まあ同人活動みたいなものだけど、これは確かに2次著作権を持つから勝手にコピーとかされないんだけど、自分で描いてれば自由というわけではなく、発表するには一次著作権者の許可がいるし、場合によっては対価も必要になってくる。つまり多くの同人誌は違法著作物になり得るということ。つまりコミケなどは大物作家たちが数人集まって訴えたらあっと言うまに潰れてしまうほど危ういものなのだ。
しかし、これはこの著作物を元に作った二次著作物ですよというのと、これはオリジナルだというのでは罪の重さが全く違う。主に後者は世間でも相当な悪として認識されている。

ここまではいいとして、では似てるレベルのものはどうか。
たとえば○○という漫画と○○という漫画が似てるとか、この辺の構図は真似てるだろうなとか、○○という作家の絵は○○という作家の絵に似てる、それはアシスタントだったから、などということはよく聞く。これはパクリにならないのだろうか?
絵柄というのは似せたくて似せてる場合もあるし、そうでない場合もあるから微妙なものがあると思う。だからとやかく言うのは無理がある。
構図に関しては、たとえばある雑誌の漫画や写真を見ながら書くことは、みんなやってるんだろうけど、厳密にはダメである。でも、見ながら書くことで適度にぶれるし、全く同一のものにはならない。結果、トレースとは一段階違ったものができあがる。ここにその人なりのアレンジがあるけど、模倣をしているのでこれは二次著作物であり、オリジナルとして発表してはいけない。なぜなら、そこには機械的な模写作業があるだけで、その精度の上下はあるとしても、作家性が一つも介在していないからである。

しかしこれ、適度にアレンジしたら元の著作物が何か分からなくなるので、ばれようがない。つまり元の著作物がなにかばれないくらいの模倣ならばOKということになる。これを倫理で禁じても、ばれようがないのだから咎められない。これはグレーだけど仕方ない。そのようにして作品を作ってる人は山ほどある。個人的には、これは悪いことだとは思わない。このアレンジ部分に作家性が入るから、物理的に違う部分が多ければ、元の作品を参考にして新たに生まれた一次著作物ということも可能ではある。もちろん、アレンジの度合いにもよるけども。
(昔、「サルでも描ける漫画教室」という漫画の書き方漫画があって、絵が苦手な漫画家に対して先生役が「描けないなら見て描けばいいだろう」といって他人の漫画を差し出したシーンがあった)

では、合法的に資料を得るにはどうしたらいいか。簡単な話、自分で写真を撮ればいい。今回のスラムダンクならば、バスケの絵が欲しければスラムダンクからパクらないで、実際に誰かにバスケをやってもらって、それを写真に撮り、それをトレースなり模倣なりすれば誰からも文句はこなかった。
写真そのものの著作権は写した人にあるし、その写真に写ってる人が誰かわかるようにさえ描かなければ(つまり漫画のキャラに置き換えておけば)写ってる人の肖像権も関係がなくなる。自分で撮った写真は最強の資料である。

資料についてはそれでいいとして、では作品的なパクリはどうしたらいいか。どのキャラとどのキャラが似ているとかいう話はよくあることで、これはもういちいち証明のしようがないので、パクリとかいう話とは別に考えるしかない。ただ、あまりにも物語が似ていたり、台詞などが一致していたりすると別ではある。

長くなってきたので分けることにしよう。

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