◆犬の散歩◆

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のまネコ問題

2005年10月20日 15時33分21秒 | 政治・世相・スポーツ等


さて、前回に引き続いてパクリについて。

資料としてトレースや模倣はダメ、でもばれないようにアレンジすればOK、ということと、少々似てるからどうにもならないということが前回のまとめ。

で、もう一つパクリとしてネットをにぎわしているのが、のまネコ問題。これについて、2ちゃんねる内外で認識に多きな差がある。

まず、2ちゃんねるではエイベックスがモナーをパクったという話になってるが、これ明らかに順番が違う。経緯を知らない人が見れば、モナーとのまネコが似てるとか似てないとかいう話になり、似てればパクリ、そうでなければパクリでないという話になると思う。これについては後述。

次に、何と比べて似てるのか。アスキーアート(AA)のモナーと、ぬいぐるみののまネコとは、はっきりいって全く似ていない。目つきも口も違うし、似てるのは目と口と耳があって手足がある白い生き物というだけ。これではパクリというのはきつい。

では何に似ているのか。それは多くの人が描くAAのモナーをかわいくイラストに起こしたもの。これは口がAの逆さまの記号になっていて、かろうじてもとのモナーの意匠を残しているから、まあモナーなんだろう。当然、最初のマイアヒFLASHの絵も口が逆さまAであった。イラストのモナーと、のまネコならば、似てるとも言える。しかし、そのFLASHのモナーを描いたのは、のまネコの作者であるわた氏と同じなのである。

順番に関してここで書くことにするが、エイベックスがモナーのキャラでマイアヒを売ろうと思い、勝手に使ってこれをのまネコとした、という流れならエイベックスに全く理はないことになる。でも実際は逆なのだ。

最初にマイアヒFLASHを作った人は、確かにモナーのつもりで絵を描いている。これが後ほどのまネコに変わったのだ。FLASHとぬいぐるみで同じキャラなのか別のキャラなのかを論じる人もいるが、そんなものはここでは意味がない。同じに決まっているから。

エイベックスから見た経緯はこうなることだろう。
自社が著作権を持つマイアヒという曲があり、これを近々売り出すことになっていた。ふとネットを見ると楽曲を無断使用してFLASHが作られていた。見たらおもしろかったので苦情を出さずにこれをそのまま使おうと思った。でも売り物として使うのにモナーだとマイアヒグッズも作れないので自社が著作権を持つものにしたい。
この状態で、もしモナーにあたるものが複雑な造形をしていれば、全く別のキャラにしたんだろうけど、誰が描いても同じになるような白い生き物が使われていたのだから、ちょっと変えてのまネコにしたって問題あるまい、と。
もちろん、AAのモナーにはそれを作った人の著作権がある。そして、それをイラストに起こした人にも著作権がある。後者は2次著作権ということになる。

最初のFLASHは、一次著作権者が不詳、二次著作権者はわた氏ということになるから、これをこのまま商売にしてはいけない。なので、わた氏が1次著作権者となるものを作ってもらうしかない。そうやって生まれたのがのまネコなのは明らかなことだが、これがモナーと似ているか、真似か、パクリか、ということになる。

AAモナー(1次)→FLASHモナー(2次) ここまではいいとして、次ののまネコが3次著作物となるのか、それとも「インスパイヤ」された1次著作物となるのか。
モナーにインスパイヤされて別のキャラを作ることは全くの合法である。インスパイヤというのは霊感とかきっかけとかそういう意味合いだろう。これを禁止したら新たなキャラなど生まれない。ある程度は許容されるべきところだ。問題は、どれだけ似てるのか、なぜ似てしまうのかというところだ

のまネコは1次?3次?
これ、どっちでも言えると思う。2ちゃんねらーから見たら、3次とすることもできる。ここで1次と3次、つまりAAとのまネコぬいぐるみを並べてみるとする。はっきりいって別物である。これが似ているという人はちょっとおかしいと思う。
次に2次と3次はどうか。確かに似ているともいえる。似ているのは同じ人が描いているから当たり前である。絵柄の問題で2次と3次がある程度似るのは当たり前なのだから、あとはどれだけ2次と3次に物理的違いがあるか、という話になる。
FLASHの絵とのまネコのぬいぐるみでは、立体化されることでさらに丸く、かわいくなっている。つまり、似た原因は同じ人が描いているからで、パクったから似たのではなく、絵柄が似ているから仕方がないということもできる。
このように別物だという解釈も無茶なものではない。この論点を貫く限り、もし裁判になってもエイベックスは負けないと思う。ようは開き直るかどうかだ。この開き直りが可能なのは、似ている対象が2次著作物であり、1次著作物のAAではないということと、モナーがあまりに単純な造形をしていることによる。複雑な意匠が多ければ、絵柄で似たなんていいわけはできないからね。

2chねらーからみた順番なら、AA→FLASH→ぬいぐるみという流れしか見えないのだろうけど、そうでない人から見たら、2番目と3番目に共通性を見いだすことが、かならずしも正しいわけではない。盲目的にエイベックスを批判している人は、まずこういう見方もあることを理解してほしい。

エイベックスに有利な点:単純すぎる造形のモナー、わた氏の絵柄の問題など。
2ちゃんねらーに有利な点:1次→2次→3次の流れの存在。
まあ、法的な見方をすればエイベックスにちょっと有利かなと私は思う。
これに経緯(勝手に楽曲を使われた)を加味すると、エイベックスが極悪企業には見えないのです。私には。

次に倫理的な問題。
エイベックスの立場だったら、「2ちゃんねらーめ、勝手にマイアヒ使ってFLASHとか作って遊んでいたくせに、自分がちょっと使われたら大暴れしやがって」くらいにしか思ってないだろう。現実に彼らは著作権をなんとも思っていない。FLASH素材は勝手に著作物(CDなど)を使うし、テレビの画像の無断アップも日常茶飯事である。
(金はとってないし、怒られたらやめるからエイベックスと同じにするなという人がいたが、金取らなくても怒られたらやめても違法は違法)

それに、最初からモナーをパクろうとしたわけじゃない。勝手に楽曲を使われていて、それがたまたまモナーだっただけだ。そこで商品化するときに全く別のキャラにしておけばまだよかったのだが、あれだけ単純なんだから、白いネコを考えたといいわけしたらそれで通るだろうと軽く考えていたのだろう。
もし、最初からこの手の展開をしたかったのなら、モナーなど使うことはなかったはずだ。勝手にモナーのFLASHを作られてしまったから、これをどうするかという展開にならざるをえない。2chねらーであるわた氏が、マイアヒの楽曲をパクってFLASHを作らなければこういう話しにはならなかった。この問題のきっかけは2ちゃんねらーなのだ。

こういったことを加味して考えれば、エイベックスが悪の企業だという認識はできないはずだ。2ちゃんねらーだってパクってるんだから。
さらにのまネコを3次著作物ではなく、オリジナルの白いネコだということだってそれほど無茶ではない。ただ、エイベックスが読み違えたのは、2ちゃんねらー特有の性癖(俺らはなにをやってもいいが、おまえらはダメというもの)を読み切れなかったことと、弁解がとんでもなくへたくそだったことだろう。

エイベックス養護をしてると思われたくないので立場を明らかにしておく。
私はエイベックスのことは好きでも嫌いでもない。今回の件で思ったことは、彼らは法律には詳しいのだろうけど、2ちゃんねらーに詳しくないのと、いいわけが下手だということと、立場をはっきりさせないのが、ケンカの仕方が下手だなあと思った。一度突っぱねたのだから最後まであれはオリジナルののまネコだと言い張ればいい。インスパイヤなんてことも言う必要ない。ちょっと2ちゃんねらーに花を持たせようとしたのだろうけど、それが油に火を注いだ結果になったのだろう。
2ちゃんねらーに楽曲をパクられ、白いネコをマイアヒの宣伝に使わざるを得なくなったのは偶然であり、かわいそうな不幸だった。それをうまく利用すればよかったのに、結果的に「社長が謝った」という敗北部分だけが広まってしまった。これもケンカの仕方が下手だなあと思った部分。やるならやる、引くなら引く。そうすべきだった。
もちろん、モナーとは似てもにつかないキャラで売り出せば一番よかったというのは言うまでもないことだが。

まあ、今回の件で学ぶことがあるとすれば、2ちゃんねるに関わるとろくなことがない、といったところか(笑)

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