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鏡台にぬきし指輪や花の雨 鈴木真砂女お花だったら 金 子 み す ゞ
もしも私がお花なら、
とてもいい子になれるだろ。
ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。
だけど、誰かがやって来て、
いやな花だといったなら、
すぐに怒ってしぼむだろ。
もしもお花になったって、
やっばしいい子にゃなれまいな、
お花のようにはなれまいな。
P.ヴェルレーヌ 訳.鈴木 信太郎
都に雨の降るごとく
わが心にも涙ふる。
心の底ににじみいる
この佗びしさは何ならむ。
大地に屋根に降りしきる
雨のひびきのしめやかさ。
うらさびわたる心には
おお 雨の音 雨の歌。
かなしみうれふるこの心
いはれもなくて涙ふる
うらみの思(おもひ)あらばこそ。
ゆゑだもあらぬこのなげき。
恋も憎(にくみ)もあらずして
いかなるゆゑにわが心
かくも悩むか知らぬこそ
悩のうちのなやみなれ。