Entrance for Studies in Finance

ベトナムでの橋崩落事故(07年9月)

ベトナムにおける建設中の橋崩落事故(2007年9月)
2007年9月のベトナム南部のカントー橋崩落事故は、多数の死傷者を出した。
 崩落当時250人近い作業員が作業中であり、結果として54人が死亡。重傷者を含めて負傷者も80名以上に及んだ。この橋は日本の政府援助ODAをうけて、大成建設、鹿島、新日本製鉄(新日鉄エンジニアリング)の3社が共同企業体で請け負って2004年9月以来、工事を進め2008年の完成を予定していたもの。総延長16Kの斜長橋。248億円のODAである。
 軟弱地盤で仮支柱の沈下が生じたことなどが原因と推測されているが、建設コンサルタントが事故前に安全性が確保されていないとの警告を出していたこともわかっているだけに、現地の建設責任者がどのようにリスク管理を行っていたかが問われよう。もちろん現地の厳しい条件の中で工事にあたっていた方の責任を問うことは酷であることは承知の上で、事故の再発を防ぐためにも事故原因と責任の所在が究明されるべきだろう。

参考 ベトナム経済など
ベトナムは正式にはベトナム社会主義共和国。首都はハノイ。人口は8423万(2005年)。1990年代末に経済悪化を経験したあと(1997年のアジア通貨危機以降経済が急落)、2000年に入ってから順調な経済成長を続けている。中央銀行のドン安政策による輸出振興。海外からの直接投資拡大。海外からの観光客の増加など。2007年上半期のGDPの伸びは前年同期比7.9%増(2008年の目標は8.5-9% 07/11で国民1人あたり名目GDP1000ドルが視野)。
ホーチミン証券取引所(2000年7月開設)。ハノイ証券取引所(2004年7月取引開始)。また2007年5月にホーチミンに金取引所が開設された。
 上場企業の例。バオミン保険、バオベト証券、アジア商業銀行、バオベト保険。サイゴン証券(双日が現地企業向け投資銀行業務で提携2007/4)、ベトナム石油運輸、サイゴン縫製。ビナミルク(大手乳業)。EPT(IT最大手)。
 ベトナム輸出入銀行(民間銀行1989設立 三井住友銀行と資本・業務提携07/11)。
 しかし非上場の国営企業がなお重要産業を支配。ベトナム最大の国営商業銀行ベトナムバンク(三菱UFJ銀行と業務提携06/12)。石油ガス公社ペテロベトナム。大手観光業のサイゴンツーリスト。ベトナム化学公団(化学メーカー)。国営ベトナム鉄鋼公社(インドのタタ製鉄と合弁事業を計画 ベトナムで製鉄所建設へ)。ベトナムデータコミュニケーションズ(VDC 国営のデータ通信会社 KDDIやNTTコムと提携し日系企業向けサービス2006秋より)、国営ベトナム石炭・鉱物工業グループ(住友商事がグループ傘下の無煙炭炭鉱操業会社に出資2006/12)など。
 550社を超える国営企業の株式会社への転換と日米欧の企業に株式の一部売却を首相が各省庁に指示(2007/4/2日経)。政府は海外ファンドの資金の流入を期待。

Written by Hiroshi Fukumistu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Economics」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事