Entrance for Studies in Finance

Mao's Last Dancer (2009)

小さな村の小さなダンサー

 中国から機会を与えられてアメリカでの研修機会を与えられて渡米(1979年)。しかし中国に戻らない決断(1981年)をした中国人ダンサー(Li Cunxin李存信1961-)の自伝(オーストラリアで出版されてベストセラーになる)をもとにその半生記を製作。大変政治的にむつかしいテーマであるにもかかわらず、中国本土での撮影が許可されたことは興味深い。当時の中国政府関係者の対応も、それぞれ理解できるものであることもわかる(中国側への政治的配慮もあるだろうが、中国政府関係者の姿はそれぞれ人間的だ)。出演しているダンサー(Huang Wenbinほか)の水準の高さがこの映画のリアリティを高めている。
 結果としてこのダンサーは自分の意思を貫いた。その行動は時代からはかなり先走ったものだったし、事前の注意を無視したものだった(たくさんの関係者が多分多大な迷惑を被ったことだろう)。しかしそれを中国側関係者は時間をかけることで、また米中和解の象徴として許したことが経緯から読み取れる(1984年両親と再会 1988年一時帰国許可 1995年北京公演果たす)。得るものがあれば失うものもある。中国政府が時間をかけて取り上げたものを返したことも読み取れる。

trailer
plot summary from Allmovie
li cunxin com
movie review by abc net au

義勇軍進行曲(国歌)
鄧小平南巡講話(1992年)
歌唱祖国(2009)

ブリスベーンから

 このダンサーの行為は理解できる。とくにたった一人で異文化のなかに放り込まれて、精神的不安と闘いながら長期間孤独な生活をした留学生がそこの生活になじんだとき、今度は帰国に不安を覚えることは理解できる。

 なお以下は2008年6月22日の私のブログからの引用である。 
「ひたむきに前に向かって進んでいる一人一人の中国人の姿を映した何本かのドキュメンタリーも記憶に残る。小留学生」(2000)は民放のフジテレビが放送したドキュメンタリーで中国からの小さな留学生張素をめぐる物語。フジテレビが2000年5月に放送。製作は張麗玲(1967-)そして協力者たち。このドキュメンタリーシリーズに出てくる中国の人たちはみな前向きで他人に甘えず自立して必死に生きている。製作に奮闘する張麗玲と彼女を支えた家族の姿は「中国からの贈りもの」として2002年12月に放送された。シリーズ最後との触れ込みで2006年11月3日夜家在我心中」(1999)がフジテレビから「泣きながら生きて」と題して放送された。」

2011-09-20(2016-06-01更新)

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