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Entrance for Studies in Finance

優良株の相場動向 株式投資入門中編補講

Online Open Lecture:株式投資入門中編補講
 ここでは優良株を世界的なシェアの高さで選択される銘柄の中から5社を選択して、数値を見てみたい。見る数値は「組み入れ投信数」「アナリスト数」「時価総額」そして「転職会議評点」の4つである。時価総額(単位:億円)は参考数値として、ほかの3つの数値でまずはこの5社をランキングした。最初の3つの数値は『みんかぶ』から、また転職会議評点は『転職会議』で閲覧した(閲覧日時202108180430)。
            組入投信数 アナ数 時価総額 転職会議評点
1位 東京エレク(8035)  885        21   70,116   3.51
2位 村田製作所(6981)  797     18   59,979   4.14
3位 信越化学(4063)   870     17   73,541   3.27
4位 ファナック(6954)    613     21   47,863   3.49
5位 パナソニック(6752)   593     15   32,354   4.16
 世界的にシェアの高い日本企業の選択には過去に行なった作業を援用した。
 ここで眺めた数値であるが、まず転職会議の評点はSNS上の社会評価の一つとして使えるのではないかという仮説を考えた。つぎに組み入れ投信数やアナリスト数は、株式市場での注目度を表す数として使えるのではないかという仮説である。この点ですでに別稿末尾で別の5つの銘柄について試用してその結果を公表している。 
 注目したいのは「優良株投資」が投資家に何をもたらすかである。2021年7月1日、8月2日、8月17日の終値を比較してみよう。期待されるのは、ゆるやかな相場の上昇である。結論を先に述べると、そう単純にはいえない、ということだろう。
        ①7月1日木 8月2日月 ②8月17日火 ①-②
東京エレク              47,940         46,550          44,600          -7.0%
村田製作所               8,456           9,218            8,875         +5.0%
信越化学                18,825        18,305           17,650          -6.2%
ファナック               26,830        25,095           23,705       -11.6%
パナソニック           1,280.0       1,338.0          1,318.5        +3.0%
    2021年7月に入ってから8月17日までの直近の動きをみると、短期間の特定時点間の比較(各日終値の比較)に過ぎないが、好調な村田、パナソニックに対して他の3社の不調がはっきり出ている。優良株だから相場は安泰とは言えないようだ。また残念ながら(予測されることだが)、好調、不調の銘柄の選別には、「組み入れ投信数」「アナリスト数」「時価総額」そして「転職会議評点」の数値は必ずしも有効でないようだ(ただし「転職会議評点」が際立って高い2社が、直近の株価が好調なのは興味深い)。
 ここで直近の過去相場のトレンドにより大きく影響されたという仮説を置いて、過去1-2ケ月の相場動向をチェックして、最近の動き(2021年7月に入ってから8月17日まで)と対比してみる(各日終値 各月取引開始開始日)。
             ①5/6木     ②6/1火 ③7/1木 ②-③ ①-③ 
東京エレク           48,750     48,680      47,940     -1.5%     -1.7%
村田製作所            8,762       8,449        8,456     +0.1%    -3.4%
信越化学             18,615     18,940      18,825      -0.6%    +1.1%
ファナック            26,200    26,260       26,830     +2.1%    +2.4%
パナソニック        1,271.0   1,251.5      1,280.0    +2.3%    +0.7%
 過去1-2ケ月の動きから、7月1日から8月16日までの相場変動を説明できるか。チャートで見た方が良いが、ここでは特定時点間の相場比較で論じる。5月から7月までの動きと7月以降、大きく矛盾するのは、村田の急回復、信越化学・ファナックの急悪化である。他方で、東京エレクトロンの悪化、パナソニックの回復は、7月までの相場トレンドと一致している。つまり過去のトレンドの延長上に、今後を予測するという手法は正しい場合もあるし、それでは間違う場合もある、ということだ。
 ここで検討している5銘柄については、東京エレクトロンが長期的な下降、パナソニックが長期的な上昇にあることは間違いないようだ。しかし他方、とくに8月に入り、村田は急回復、信越化学・ファナックは急悪化している。それぞれの要因については、別途検討の必要がある。
   四半期決算発表は東京エレクトロンが1社遅れたほかは7月の最後の週の発表でいずれも増益の発表である。にもかかわらず株価に差がでたのである。発表内容で微妙に違う点は、村田、パナソニックは実績の強調、他社は今期経常見通しの上方修正が強調されている。
東京エレクトロン 08/16   今期経常15%上方修正 配当増額
村田製作所    07/29 上期税引き前30%上方修正
信越化学     07/27 今期経常23%増 増配
ファナック    07/29 今期経常32%上方修正
パナソニック   07/29 1Q税引き前35倍増益
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