Entrance for Studies in Finance

Case Study : Softbank  ソフトバンクビジョンファンド

この会社の投資は事業会社のそれではなく、投資会社のようなものだと解説されるがそれに賛成である。事業会社であれば本業があり、その本業にとって利益があるかを考える。しかしこの会社の本業は、ソフトバンクという携帯電話会社だが、今それは投資のためのキャッシュを稼ぎ出す道具にされている。様々な投資は、本業のために行われているとはどうも言えない。今 トランプ政権発足がこの会社の過去の投資で、失策ともみえるスプリントについて、新たな希望となっている。ソフトバンクはオバマ政権下のFCCにより、子会社のスプリント(2013年に1兆8000億円かけて買収 8割出資)によるTモバイルUS(親会社はドイツテレコム)の買収を阻止された(2014年 同年末 ソフトバンク社内でスプリント売却を検討のうえで売却案撤回し今日まで経営再建を模索してきた)が、2017年1月に発足したトランプ政権はこのFCCの方針を見直す可能性がある。これにより米国携帯電話市場で、AT&T、ベライゾンに次ぐ第三勢力形成が孫氏の野望だ。2017年5月には、Tモバイルにソフトバンクはスプリントとの経営統合を正式に提案し、その結果が注目される。

2016年9月に英半導体設計のアームHDを3兆3000億円で買収。そのあと10月14日、最大1000億ドルの巨大ファンド運用の計画(その後明らかになった名称はソフトバンクビジョンファンド)を明らかにした(今後5年でサウジアラビアの政府系ファンド公共投資ファンドPIFが450億ドルを出資 ソフトバンクも250億ドル出資とスケールは大きい)。投資分野はIT分野の有力企業(2016年12月6日 孫氏とトランプ次期大統領との会見で表明された、今後4年間に500億ドル米国に投資するというのはこのファンドからのもの)。孫氏の投資の勘の冴えは1999年にアリババ集団に2000万ドル出資を即決したときにも示された。背景には格安スマホへの顧客の移動で、ソフトバンク本体の稼ぐ力が落ちていること。ファンド経由の買収は、巨額買収を続けてきたソフトバンク本体の負担を軽減する、賢い選択になる可能性がある。それを示唆するのが2017年3月に明らかになった、保有アーム株の25%約80億ドルをファンドに移管する計画だ。巨額買収は今まで有利子負債の増加となって、ソフトバンク本体の経営の負担になっていた面がある。アーム株の移管に示されるように、ビジョンファンドの運営は、これまでのソフトバンク本体の投資負担を軽減しつつ、その投資戦略を、一段と大規模に展開することも可能性にするかもしれない。

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