<この国と原発>第4部・抜け出せない構図/6止(その1)
マグロの町、青森・大間に「フルMOX」
2012年1月28日(土)13:00
◇世界初、進む建設
今月5日、東京・築地市場の初競りで1本5649万円の最高値をつけて話題になった「大間マグロ」。青森県大間町は「マグロの町」として脚光を浴びているが、世界でも例のない原発の建設が進んでいることは問題視されてこなかった。
Jパワー(電源開発、本社・東京都中央区)が08年から建設中の大間原発は、炉心の燃料を通常のウラン燃料ではなく、全てMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料にする予定だ。「フルMOX」と呼ばれ、商業用軽水炉では世界初。出力138万3000キロワットは国内最大となる。そして、国策・核燃料サイクルの一翼を担う。
MOX燃料を軽水炉で使った場合、ウラン燃料に比べて制御棒の利きが悪くなる。また、使用済みのMOX燃料は発熱量や放射線量が高く、高レベル放射性廃棄物も大量に出る。処理方法も決まっておらず、プルトニウム自体の毒性も強い。
10年7月には、大間町の対岸18キロにある北海道函館市の住民が原子炉設置許可取り消しを求めて提訴した。訴状で住民は訴える。「実験炉—実証炉などの段階を踏まず、即商業炉でフルMOXを実施するのは技術的に拙速で重大な危険性がある」
そして、この「初めて」づくしの原発を担うJパワーにとって、原発保有は初めてだ。
大間原発の歴史は76年4月、町商工会が町議会に原発の立地調査を請願したことから始まる。当時はマグロの不漁期だった。「経済的な不安が背景にあった」と、当時から反対運動を続けてきた同町の元郵便局員、奥本征雄さん(66)は言う。
だが、マグロは戻ってきた。奥本さんは、無念そうに話す。「今のように取れていれば、原発の誘致はなかった」
最新の画像[もっと見る]
- 狂いの歯車 13年前
- さよなら原発 311北九州集会 13年前
- 高線量被曝がどんな病気を発症させるのかデータを集めるための人体実験か 13年前
- 原発を容認しているカルト信者でもわかる、悪化している明白な事実 13年前
- 更新された太平洋汚染シュミレーション 13年前
- 安定を演出した光景 13年前
- 既に実害続発増大。大人が発言すらしないツケは、未来を抵当に入れられた子どもたちが払わされる。 13年前
- 政府が札束を餌に弱者を踏みにじり、破局をも輸出しようとしている。助長しているのは盲従諦観座視無関心。 13年前
- 海洋汚染映像 13年前
- 水源の汚染、紅葉シーズン。被曝者増加は確実。警戒情報なし。 13年前