彷徨者のネット小説レビュー

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千雨降り千草萌ゆる

2011-11-03 18:00:00 | 魔法先生ネギま!

原作名:魔法先生ネギま!
作者:感満
最終更新日:完結済 2013年11月10日
評価:B
サイト:にじファン ハーメルン
    http://ncode.syosetu.com/n7761p/
    http://syosetu.org/?mode=ss&nid=666

[あらすじ]
 麻帆良の異常を幼い頃から実感していた長谷川千雨。教師やクラスメート、両親に相談するもまともに受け取ってもらえず、孤立し、孤独に心が折れかけていた。
 両親を奪った両親を憎み、両親を戦地で無駄死にさせた近衛詠春を憎み、住人を洗脳する麻帆良の結界を憎み、麻帆良を支配する魔法使いのトップ近衛近右衛門を憎み、両組織を公私混同し私物化する近衛一族を憎む、天ヶ崎千草。
 偶然に二人は出会い、千雨は魔法の存在を知り、千草は護るものを得る。二人の共通項、孤独だった事と、魔法使いの都合で人生を狂わされた事。
 そんな似た者同士の二人が、修学旅行の生徒を盾に、京都に侵攻を開始した麻帆良に対し、魔法使いに媚びる詠春の排除を含め、魔法使いに反攻する物語。

[文章]
 千雨を中心にした三人称。筋の通った理由付けがなされているため、魔法使いへの反感や千雨への共感がしやすい。
 反面、技術的な問題も多い。『復讐』を『復習』、組織の頂点に立つ人物を指しての『旗印』を『旗本』など、誤字誤用が多い。また読点が少なく、区切りがつかずに読みにくい。会話文を多く使用し、その他の描写がおざなりにされ過ぎている。

[総評]
 ネギアンチではなく、魔法使いアンチ。
 魔改造と言う程ではなく、原作開始時には魔法関係者になっていた千雨。最初に知り合ったのが千草だったため、関西呪術協会寄りの思考をし、かつ、麻帆良での孤独な数年間が魔法使いによる認識阻害のためと知り、魔法使いへ抱く感情は怒りや憎しみ。この辺りの心情は上手く書けていると思う。
 ネギを狙ってボコボコにする作品でない所は好印象。ネギの秘匿意識の欠落が、魔法使いの『英雄視』する色眼鏡にあり、世間一般で言う『常識』を教え込むのに、魔法使いの世界がいかに不適か浮き彫りにした外伝も良い。
 最後の最後で、暴走した魔法使いサイドを武力鎮圧したシーンは、個人的にはやり過ぎに思えた。謀略と洗脳と人知れずに侵略が売りの魔法使いが、これで一介のテロリストか内乱勢力に堕してしまった印象がある。ネタに走ったのもマイナス評価。
 技術的な問題は多々あれ、オリキャラやチート、無双を出さず、原作キャラのみで完結させた良作。たまにはこういうアンチ物も読んでみるのも良い。



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