原作名:魔法少女リリカルなのは
作者:中西矢塚
最終更新日:完結済
評価:B
サイト:Arcadia
http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=10452&n=0#kiji
[あらすじ]
場所は聖王教会騎士団訓練所。
埃まみれで転がり、青空を見上げて重い溜め息を吐くのは、クロス・ハラオウン九歳。最年少での騎士叙勲を間近に控え、それでも身にまとうのは興奮ではなく、鬱々した諦観のような何か。
今のこの生が、異世界にあるのではなく、『リリカルおもちゃ箱』という創作世界で、自分がその世界の異物であると知っているのは、果たして幸福か不幸か。
鬱々とモラトリアムを抱えながら、『魔法少女リリカルなのは』の世界だと知ることなく、クロノ・ハラオウンの弟、クロスとして生き足掻く転生者の話。
[文章]
オリ主のクロス視点の時のみ一人称。他視点では三人称。誤字誤用脱字は少な目。各話の文字数は多めで読み応えあり。
[総評]
『魔法少女リリカルなのは』ではなく、『リリカルおもちゃ箱』の知識持ちが、クロノの一つ年下の弟クロスに転生し、管理局員ではなく聖王教会の騎士となって活動する話。ただし派手な戦闘シーンはない。
主人公が少々ダウナー思考と語りをしているので、人によっては受け付けないかもしれないので注意が必要。これは前世の記憶から、ここが『創作物』世界だと知っていることで、異分子である自身の存在に葛藤し続けているため。
また、クロスが聖王教会所属なので、母と兄を含めた管理局との折り合いが悪い。これを管理局アンチとするか、評価が分かれると思われる。
地球での活動が第十五話からと遅いのは、その前にStS編のフラグをべきべきにへし折っているから。管理局を見限ったスカリエッティは、聖王教会の研究室で愉快な研究を続け、レジアスはそこから出て来る謎な技術で自派閥の勢力強化。どう頑張ってもStS編には辿り着けそうにない。
その代わり、アリサやすずかが良い味を出して、クロスと絡んでくれる。なのはは名前が一回出るかどうかの完全な空気、セリフすらない。ついでにリンカーコアもないので、ジュエルシードに関わることもない。
人によっては地雷率がかなり高くなる要素が多いが、個人的には主人公の鬱なペースを乗り越えてから楽しめる作品だった。