野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

歌にも歌われたニセアカシア

2019年05月08日 15時01分46秒 | 
次は最近咲き始めたニセアカシア、あるいはハリエンジュである。
この樹木は咲き終わると次々と花弁を地面に散らすので初めてアカシアがさいていたことが分かることも多い。
学名からしてニセアカシアと呼んでいるのだがら、混乱が起きるのも仕方のないことだろうか。
早春のミモザも好きだが、ハリエンジュの白い花はわたしたちの心を捉える。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)

アカシアというと1960年の安保闘争の頃の「アカシアの雨がやむとき」を思い出される方も多いだるう。
この雨のように降るアカシアの花は、ほんらいのアカシアではない。ニセアカシアのことである。
日本でミモザと呼ばれるものが本来のアカシアである。俳句でも多く歌われるが、その多くはニセアカシアのことだろう。






1 アカシアの雨にうたれて
  このまま死んでしまいたい
  夜が明ける 日がのぼる
  朝の光のその中で
  冷たくなったわたしを見つけて
  あの人は
  涙を流してくれるでしょうか

2 アカシアの雨に泣いてる
  切ない胸はわかるまい
  思い出のペンダント
  白い真珠のこの肌で
  淋しく今日もあたためてるのに
  あの人は
  冷たい瞳(め)をして どこかへ消えた

3 アカシアの雨がやむとき
  青空さして鳩がとぶ
  むらさきの羽の色
  それはベンチの片隅で
  冷たくなったわたしのぬけがら
  あの人を
  さがして遙かに 飛び立つ影よ





ニセアカシア
(Robinia pseudoacacia) は北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。和名はハリエンジュ(針槐)。日本には1873年に渡来した。用途は街路樹、公園樹、砂防・土止めに植栽、材は器具用等に用いられる。季語は夏である。

一般的に使われる名称であるニセアカシアは、種小名のpseudoacacia(「pseudo=よく似た acacia=アカシア」)をラテン語から直訳したものである。

分布
北アメリカ原産で、ヨーロッパや日本など世界各地に移植され、野生化している[1]。

特徴
樹高は20-25mになる。葉は、初夏、白色の総状花序で蝶形花を下垂する。奇数羽状複葉で小葉は薄く5-9対。基部に1対のトゲ(托葉に由来)がある。小葉は楕円形で3-9対。5-6月頃、強い芳香のある白い蝶形の花を10-15cmほどの房状に大量に咲かせる[2]。花の後に平たい5cmほどの鞘に包まれた4-5個の豆ができる。

きれいな花が咲き、観賞用として価値が高いことからもともとは街路樹や公園用として植栽された[3]。しかし、繁殖力が強く、根から根萌芽が多数出ることや、切り株からの萌芽力が極めて高いことなどで嫌われている。さらに、風で倒れやすい[4]ことなどの課題もある。棘のない園芸用の品種もある。

材の年輪は明瞭[5]で、気乾比重が0.77とミズナラと同程度に重く[6]、日本に産する広葉樹材の中でも強度が高い[3]。こうした特性を利用した床材も利用されている[3]。耐久性が高いためかつては線路の枕木、木釘、木炭、船材、スキー板などに使われた。

葉、果実、樹皮には毒性があり、樹皮を食べた馬が中毒症状を起こした例がある[7]。

有用植物としてのニセアカシア
食用
花を花穂ごと天ぷらにして食べるほか、新芽は和え物や油炒めで食べることができる[8]。
花をホワイトリカー等につけ込んでつくるアカシア酒は強い甘い花の香りがする。精神をリラックスさせる効果があると言われる。
花から上質な蜂蜜が採れ、有用な蜜源植物である。ニセアカシアを蜜源として利用する地域は東日本に多く、2005年のはちみつ生産量の44%がニセアカシアによる[3]。特に長野県でははちみつの74%がニセアカシアの花を「みつ源」としている[3]。
緑化資材
緑化資材として、ハゲシバリの別名で知られる。マメ科植物特有の根粒菌との共生のおかげで成長が早く、他の木本類が生育できない痩せた土地や海岸付近の砂地でもよく育つ特徴がある。このため、古くから治山、砂防など現場で活用されており、日本のはげ山、荒廃地、鉱山周辺の煙害地などの復旧に大きく貢献してきた[4]。北海道では、耕作放棄地、炭鉱跡の空き地などの管理放棄された土地がニセアカシアの分布拡大の一因となっている[9]。

近年、本来の植生を乱すなどの理由で、緑化資材に外来種を用いることが問題視され、環境省の特別要注意外来植物[10]に指定され、近年はあまり使われていない。 根系支持力が高く[11]山地砂防緑化資材として使われたことはあるが、30年を超えると地表近くを這うロープ状の根系が枯死し、根系支持力が衰えるため倒れやすくなる問題がある[4]。

繁殖力が強いため、ニセアカシアの除去は簡単にはできず、除草剤の適切な処理が最適と考えられている[3]。

薪炭材
生育がきわめて早く痩せ地でも育つこと、材が固くゆっくり燃焼するので火持ちが良いこと、そしてある程度湿っていても燃えることなどの利点があるため、薪炭材としても用いられていた。1950年代まで、一般家庭の暖房や炊事、風呂の焚きつけなどに使う火力は、ほとんどが薪(まき・たきぎ)や炭に依存していたため、ニセアカシアは大変有用な植物であった。北海道に多く植えられたのも、寒冷地の暖房用燃料としての需要が多かったためである。

外来種問題

国交省千曲川河川事務所が千曲川(信濃川)河川敷のニセアカシア伐採実施時に設置した告知看板。
日本には1873年に導入された[12]。日本やヨーロッパの自然環境に定着したニセアカシアは、外来種として多くの問題を発生させている。ニセアカシアが侵入したことで、アカマツやクロマツなどのマツ林、ヤナギ林が減少し、海岸域や渓畔域の景観構造を大きく改変させていることが確認されている[13]。ニセアカシアは単独で木本の生物多様性を低下させるだけでなく、好窒素性草本やつる植物をともなって優占し、植生を独自の構成に変えてしまう[13]。また、カワラノギクやケショウヤナギなどの希少種の生育を妨害する[14]。

これらの悪影響を危惧し、日本生態学会は本種を日本の侵略的外来種ワースト100に選定した。日本では外来生物法の「要注意外来生物リスト」において、「別途総合的な検討を進める緑化植物」の一つに指定されている。「要注意外来生物リスト」は「生態系被害防止外来種リスト」の作成に伴い平成27年3月に廃止された為、現在は後者のリストに記載されている。各地の河川敷などに猛烈な勢いで野生化しており、2007年秋には天竜川、千曲川流域の河川敷で伐採作業が行われた[15]。一方で、要注意外来生物に指定された根拠については科学的に証明できないとして反論している報告もある[16]。

ニセアカシアとアカシア
明治期に日本に輸入された当初は、このニセアカシアをアカシアと呼んでいた。後に本来のアカシア(ネムノキ亜科アカシア属)の仲間が日本に輸入されるようになり、区別するためにニセアカシアと呼ぶようになった。しかし、今でも混同されることが多い。本来のアカシアの花は放射相称の形状で黄色く、ニセアカシアの白い蝶形花とは全く異なる。

ニセアカシアと間違えられたミモザ

2019年05月08日 14時43分14秒 | 


日本でミモザと呼ばれるものが本来のアカシアである。俳句でも多く歌われるが、その多くはニセアカシアのことだろう。
ここでは三月に撮影したミモザの花をご覧にいれる。
(2019-03 神奈川県川崎市 道端)






アカシア
アカシア (Acacia) は、マメ科ネムノキ亜科[1]アカシア属の総称。アカシヤ、アカシャ、アケイシャ。

分類
アカシア属の分類には次のような変遷がある。まずKewscience [2]によれば、アカシアニロティカ(Acacia nilotica)は、3500年以上前のエジプト王朝時代に薬として使われていた。西暦40年から90年に、ギリシャ人医師で植物学の父と呼ばれているPedanius Dioscoridesは、医薬物についての本の中で、葉や果実のさやからの抽出物の調製についての記述をしており、アカシア属に由来するものを「akakia」と呼んだ。1754年、アフリカとアメリカの種を記述している24の論文の中で、アカシア(Acacia)はMillerによって正式に用いられた[3]。しかしながら、アカシア属についての概念が広すぎたので、アカシア属として受け入れなかった。また、Miller以前に、アカシア属の名前は、リンネ以前の文献で広く使われていた。[4]1753年、リンネは39の種類をミモサ属に入れ、これらの内2種をMimosa scorpioidesとMimosa niloticaとした。これらの分類は、現在ではアカシアに変えられ、その中のMimosa scorpioidesが今のAcacia niloticaだと考えられている [5]。

アカシア属はおよそ1350種が世界中に分布しており、そのうちおよそ1000種類がオーストラリアに分布している [6]。ところが形態学的および生化学的性質に基づき、1986年にPedleyによって、アカシア(Acacia)属161種、セネガリア(Senegalia)属231種、ラコスペルマ(Racosperma)属960種に分けられると提案された [7]。しかしこの提案は、アカシアニロティカが最も小さなAcacia属に属しているが、アカシアニロティカはアフリカ原産であるだけではなく、アカシア属として初めての名前であったので、南アフリカは、アカシア属の名前は、アカシアニロティカを含んだものにすべきだと信じた。この見解に対して、960種類のラコスペルマ属Racospermaとして提案された多くの種はオーストラリアに見られるが、2003年、オーストラリアとしては、アカシアはオーストラリアのシンボルであるため、オーストラリアのアカシアはラコスペルマ属ではなくアカシア属であると信じた[8][9]。 そのオーストラリアの提案は2005年の第17回国際植物学会議で認められた。しかし、その後もオーストラリアとアフリカの論争は継続された。そこで、2011年の第18回国際植物学会議でこの問題を解決するために、8人の分類学の権威者がアカシア属の再命名について実用的な面からの見解を示し。最終的に、アカシア属をオーストラリアの種のみに使うということが第18回国際植物学会議で承認され、この論争の決着となった [10]。

その会議に続いて、南アフリカの研究者は140種類の南アフリカの種を含めたアカシア属についての詳細な形態学的DNA解析を用いての系統学的研究を行い、この研究の結果からアフリカの樹種については、セネガリア(Senegalia)属とウァケリア(Vachellia)属に分類された。その結果、アカシアニロティカ(Acacia nilotica)はヴァケリアニロティカ(Vachellia nilotica)になった [11]。


特徴
アカシア属は約1000種が熱帯から温帯にかけて、特にオーストラリア大陸、アフリカ大陸に多数の種が分布する。その多くは非常に深く主根を伸ばすため、年間を通してほとんど降水が無い砂漠に自生する。

日本においては、明治時代に輸入されたニセアカシアを当時アカシアと称していたことから現在でも混同される。たとえば「アカシアはちみつ」として販売されている蜂蜜はニセアカシアの蜜である。また、花卉栽培されるフサアカシアなどがミモザと呼ばれるが、本来ミモザはオジギソウを指す言葉である。

インディアンの間では若い男女が愛を告白するのに使ったと言い、花言葉もそれに由来してか「秘密の恋」がある。他には「優雅」「友情」がある。




アカシヤの花 の例句



この町のアカシヤの散る時に来て 能村登四郎
ともすればアカシヤの花匂ふ夜ぞ 上村占魚 球磨
アカシヤによればうなだるゝ花のつかれかな 種田山頭火 自画像 層雲集
アカシヤに花垂るゝ夜の青葉木菟 山口誓子
アカシヤのくらみに散りて朝月夜 飯田龍太
アカシヤのもとに梢の花も落つ 山口誓子
アカシヤの咲きたき空となつてゐし 後藤比奈夫
アカシヤの晩晴花を梢まで 山口誓子
アカシヤの花こそ曇れ野鍛冶の火 藤田湘子 途上
アカシヤの花こぼしつつ時を告ぐ 山口青邨
アカシヤの花屑舞わせ 駄馬の列 伊丹三樹彦
アカシヤの花落ちて寄る水のへり 山口誓子
アカシヤは花ひろがりに琴そろふ 古舘曹人 能登の蛙
アカシヤ咲けり高原の風袖吹くも 水原秋櫻子 残鐘
アカシヤ散る 老酒のラベル濡らす 剥がす 伊丹三樹彦
アンネ展の町 茨咲き アカシヤ散り 伊丹三樹彦
井戸にも散るアカシヤ 島の釣瓶乾き 伊丹三樹彦
偽アカシア北の港の端に散る 大野林火 雪華 昭和四十年
咲きすぎて贋アカシヤと判りけり 後藤比奈夫
回復へ妻アカシアの花の林 金子兜太
夕歩きアカシヤの木に花残る 日野草城
尿鳴らし針槐下の一童子 金子兜太
帰る妻見らるるところ針槐 野見山朱鳥 愁絶
満月に花アカシヤの薄みどり 飯田龍太
異人館贋アカシヤの花隠れ 後藤比奈夫
皆身寄りありと去りゆきアカシヤ散る 松崎鉄之介
窓にふれアカシアの花露をのこす 篠原梵 年々去来の花 皿
花アカシア遊民の鼻ますます赤し 金子兜太
花アカシヤ故郷の名の白石区 松崎鉄之介
花アカシヤ森墓碑銘へ日本海 古沢太穂 捲かるる鴎
花アカシヤ泉のこゑののぼりゆく 石田勝彦 雙杵
花アカシヤ若き日越えし長城に 松崎鉄之介
蜂飼いのアカシヤいま花日本海 古沢太穂 捲かるる鴎
針槐練馬を出でて深川へ 亭午 星野麥丘人
長城去来の蜂か アカシヤの花下の箱 伊丹三樹彦