「天空少女騎士団」① / 松田未来 / イカロス出版
「出さなかった」のか、「出せなかった」のかは判らないが、もともとの掲載誌のコミック
(単行本)としてこの作品が「出なかった」のは、昨今の出版社(と言うか編集者)と読者の
レベルの低下に他ならないであろう。
さて、本作は昨年を通じてドラゴンエイジ誌(富士見書房)に連載されていた作品。
あらすじとしては1938年のヨーロッパの小国が舞台。
イタリアとの連絡路確保のためにナチスドイツがこの小国に非公然の戦闘、陰謀を仕掛ける。
それに王女ジークリンデと配下の美女、美少女からなる“航空騎士団” の面々が戦闘機を
駆って立ち向かう、というもの。
また、ジークリンデの秘密に関わる少年や謎の鉄仮面パイロットも登場。
敵方のドイツも強化兵や細菌兵器などを繰り出してくるなど、単なる萌戦記モノには終わ
らないスパイスが効いている。
ちなみにジークリンデの愛機(ベース機)は日本の川崎キ-28。
他のメンバーの愛機もオランダ、イタリア、ソ連など(敵役のドイツを除く)各国の機体が
集まっており、ニュアンス的には「エリア88」や「修羅の大空」を髣髴とさせ、メカ的
にもエンターテイメント性が高い。
松田氏は以前に「アンリミテッドウイング」もエイジ誌で連載しており、復帰も喜ばし
かったがこの本作のネタと展開には大いに期待していた。
実際には打ち切り同然の終わり方をしてしまい、このまま単行本化もどうか?と思って
いたところに今回の版元を替えての出版。
しかも、エイジ誌連載分に付け加える形で書き下ろしの新作(2話分)が加わっており、
連載分では語られきらなかった部分が補完されているのは嬉しいかぎりである。
エイジ誌的には“失敗した”作品なので万人向けとは言いがたいが、エンターテイメント性と
同時に考証もしっかりしているので、特に飛行機好き&航空ファンにはオススメ。
画像:T-4(百里)
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当面の間、不定期更新(長期間隔)となります。
闇独語
一般的に言うところの“好み”があるとは言え、これがダメなら今の読者層には「エリア
88」はおろか、「青空少女隊」などもダメなんだろう。
…いや、ほんとダメだな。