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自己流経済学再入門、その他もろもろ

小野塚喜平次について

2010-02-01 | Weblog
最近、少しづつではありますが、小野塚喜平次について調べ始めています。小野塚喜平次は1871年、長岡に生まれ、東京大学で日本人初の政治学講座担当教授となり、後に東大総長も勤めています。私にとっては、郷土の偉大な先達にあたります。

小野塚は日本の政治学の礎を築くとともに、吉野作造、南原繁、今中次麿、蝋山政道、矢部貞治、岡義武、河合栄治郎ら、多くの後進を育てました。丸山真男、福田歓一らは孫弟子にあたります。つまり、その影響は政治学界に留まらず、近現代の日本における良質なリベラリズムの源流の一つになっている、と評価できるのではないでしょうか。

小野塚の生涯および業績については例えば、南原繁・蝋山政道・矢部貞治著「小野塚喜平次 人と業績」(岩波書店 1963)に詳述されています。本書冒頭に「わが国における科学としての政治学の創始者で、且つ昭和の初期に日本がファッショ政治と戦時体制へと急ぎつつあった間、東京帝国大学総長として、大学の自治と学問の自由のために闘った」とあります。

小野塚の業績のうち大学自治に関しては、最近では立花隆「天皇と東大」(文藝春秋 2005)が戸水事件について詳述しています(同書では小野塚のことを「大正デモクラシーの先駆者」と評価しています。もっとも同書では、小野塚の戦時体制への対応について批判的な記述も見られます)。また、師弟関係については松井慎一郎著「河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実」(中公新書 2009)、田沢晴子著「吉野作造 人世に逆境はない」(ミネルヴァ書房 2006)等々、最近刊行された書籍においても割合目にすることが多いのですが、こと彼の学説となると省みられる機会は極めて少ないように思われます。

なかなか彼の手になる著作を入手するのも簡単ではありませんが、少しずつアップしていけたらと考えているところです。