FF1(5) GBA版とPSP版のあれやこれや

2010-10-29 18:50:43 | ゲーム
振り返ってみるとGBA版はそれなりに「やる気」は感じられる移植ではあった。
シーフと黒魔の強化、赤魔が強くなりすぎない調整は、一応はFF1に通じている人間の仕事だと思う。魔法もMP制に変更し、MP消費や習得時期のバランスもある程度考えられている。
……まあ褒められるのはそこまでか。
FF史上でも空前のエーテル大安売りはライトユーザーを舐めているんだろう。
無駄に種類が多いくせに存在意義を疑うどうしようもない追加アイテム(例:バイキングアクス)はコレクションに挑戦してみろということか?
(一方で天使の指輪が手に入らないらしいという話も有名だが)
「使うとフレアー(無制限)」という武器の存在については、ある意味FF1らしいのだが、なぜ「裁きの杖」にフレアーなのか、なぜアトモスが落とすのかは永遠にわからないだろう。そんなチート武器を容易に量産できるようにするな。
オリハルコンがブラッドソードだったり、炎完全無効のレッドジャケットとか、要所要所で面白い追加アイテムはあるんだけどなあ。

GBA版は「とにかく簡単にする」が方針だったらしいが、この方針のもとでバランス取りを途中で放棄してしまったんじゃないだろうか。部分的には熱意を感じるという。
単に難易度を下げるだけなら、ミスリルソードが無くなる理由は説明できない。やっぱりここで戦士と赤魔が突出しないための調整だろう。存在意義の薄い武器の救済? それならバイキングアクスを救済してやれ。
アイテムは異常な投売り、敵の出現率が上がっているからレベルも上がりやすい。しかしSoCのザコは経験値がぜんぜん儲からない。
ボスだけはかなり強いものを用意してあり、既存のカオスたちもFC版と比較して大幅に強くなっている。わかりにくい説明をすると、レベル上げを最小限で突き進んだ場合、ボス戦で苦戦しながらも何とか勝利できる程度。
こちらも強くなっているので、FC版のように攻撃魔法で壊滅する状況は稀だが、ボス戦がやたら長引くようになっており、プレイ感は大きく異なる。
普通のRPGみたいだ。SoCに行かない前提で。

PSP版にはこの「やる気」を全く感じないのである。
前に記事を書いたときは気付かなかったが、PSP版はGBA版よりレベルの上がりが遅くなっている。
ザコは問題にならないほど弱い。だが逃げているとボスはかなり厳しくなってしまうので、ザコを無駄に多く倒さなければならない。とにかく楽しくない単純作業が続く。
これはバランス調整をしたというより、簡単にしすぎたら不評だったから適当に直しといたという投げやりな変更だ。だからザコ戦は一切難しくなっていない。
そして時の迷宮は迷宮自体もむちゃくちゃでとてつもなくひどいが、追加アイテムは種類も性能もデタラメだ。いろいろ考えたが、FF1を、いやさファイナルファンタジーが何なのかさえわかってない人間がやったと考えないと説明がつかない
FF11の全く強くない無名の武器であるバーバリアンソードがアルテマウェポンを越える理由は何度も考えたが、自分の中ではFF11の武器攻撃力を読み間違えて選んだという結論に達した。つまりFF11にも詳しくない何者かの選定だ。
よしんばファイナルファンタジーというよりソード・オブ・ソダンに出てきそうな武器が最強である理由に何らかの納得いく説明があるとして、マクシミリアン甲冑とセットで赤魔導士が装備できる状況など存在しえない。(FF11にもマクシミリアンは無いそうだ)
赤魔がナイトと同等になって誰が得するかというと、最強の万能戦士を作りたいという最強厨的願望しか感じない。
ましてゴールドスタッフとかサバイバルベストとか、過去にどこに出てきたかも覚えてない店売り装備が伝説級のアイテムってのは。
これを「ファイナルファンタジー」として売っていいのか?

…しかしグラフィックと音楽はいいほうではある。プレイ感もGBA版より随分良くなっており、そっち方面の調整についてはそれなりの熱意があるようだ。

FF1(VC) (4) しかしGBA版の話

2010-10-28 22:47:12 | ゲーム
GBA版ではミスリルソードはエルフの町で売っていない。
この剣はかなり先まで最強の武器であるため、入手時期を遅らせることにしたようだ。
具体的に、エルフの町の直後~グルグ火山あたりまでの武器は大半がミスリルソード以下である。これほど強い武器が早期に手に入るのは「やりすぎ」という判断だろう。実際、沼の洞窟~土のカオスまでは使わなくても何とかなる。
そのせいで、エルフの町で聞けるミスリルの武具の話が意味不明になっているが。

GBA版はジョブの能力がかなり違う。WSC版でも調整されているが、GBA&PSPは完全に別物なので、ジョブ評価じたいも異なってくる。
なおPSP版の追加アイテムについては評価に含めてません。赤がナイトと同じ装備とかどんなバランスだと。

・戦士→ナイト
相変わらず強い。攻撃力は他のジョブが伸びたために負けることもあるが、FC版と同じくらいの威力は持っているので十分だ。もちろん防御力は最強のまま。
ヌルゲーのGBA版といえども、戦士抜きだと難易度が上がるので必ずパーティに入れておきたい。

・シーフ→忍者
旧作とまったく性能が違う。
命中(=攻撃回数)が異常に高くなっており、手数の多さで最初から戦士を上回る威力を発揮する。序盤でミスリルソードが売っていないことも相対的にシーフの評価を高めている。
素早さが高いので攻撃順も早い(旧作は素早さが行動順に関係なかった。素早さ自体も戦士のほうが高かったが…)。
相変わらず紙装甲なことを差し引いても十分以上の活躍が見込める優秀なアタッカー。ゲームバランスがヌルくなったおかげで死ぬ確率も減ってるし。
クラスチェンジ後はヘイスト&ストライ役としての需要も見込める。
弱点は攻撃回数のカンストが近いこと。いずれナイトや赤魔もカンストするので、そのときには利点が少なくなる。
だがそれはクリアする頃の話であるし、序盤で活躍できるだけでも十分すぎる。

・モンク→スーパーモンク:
能力が調整されている。素手攻撃力の計算式が変更されて、よほど鍛えても旧作の圧倒的な威力こそ発揮されないが、低レベルから安定して強くなっているとも言える。
が、その低レベルでの攻撃力はパワーアップしたシーフと比べると大差なかったりする。防御はシーフに負けているので、適当に使うと劣化シーフみたいな感じになりかねない。魔法防御も低いので即死を食らいまくる。
最終的に最大の攻撃力に到達できることは変わっていない。(しかし最大攻撃力は力99体力99のスーパーモンクで143らしい。同じ力なら攻撃125のバーバリアンソードのほうが強いってことか…)

・白魔術士→白魔導士
魔法の効果に「知性」が影響するようになったので、専業の白魔は赤やナイトより格段に強い。
追加ダンジョンの攻略にはラヒーラが活躍する。

・黒魔術士→黒魔導士
やはり知性が高いので旧作より使える。黒魔法好きなら使いたい。
フレアーが撃ち放題の武器とか出てくると悲しくなるけどね…

・赤魔術士→赤魔導士
あまり強くなっていない。他のジョブが強くなったぶん、赤魔は3や5のような中途半端ジョブになった感がある。HPも黒魔と同じくらい低いし魔法の効果も白黒に勝てない。
いや、パワーダウンしてるわけではないので、ファミコン版と同じ敵には普通に通用するのだが。
序盤の防具が強いという利点はそのままだし、ヘイスト&ストライ役としては優秀すぎるほどである。

GBA版はジョブ格差は無くなったが、どちらかというと「弱かったものをパワーアップする」方向の調整である。戦士が弱くなったわけではない。より正確にはレベルアップの回数が増えたために戦士も強くなっているといえる。
敵はほとんど強くなっていない(※)ので、ただこちらのパワーが増しただけである。ヌルゲーになるわけだ…

※敵にも「知性」があり魔法効果に補正がかかるので、若干全体攻撃が強くなっている場合もある。が、こちらも魔法防御が上がったのであまり影響がない。

FF1 (3)

2010-10-28 22:00:57 | ゲーム
エルフの町までで揃う装備で比較
※ただしミスリルソードは除外。理由は後で書く。

戦士
武器:ブロードソード(攻撃15、命中10、550ギル)
またはバトルアクス(攻撃16、命中5、550ギル)
防具:てつよろい、てつのたて、かぶと、かわてぶくろ(アーマー32、1060ギル)

シーフ
武器:サーベル(攻撃13、命中10、450ギル)
防具:かわよろい、かわのぼうし、かわてぶくろ(アーマー6、190ギル)

赤魔術士
武器:ブロードソード(攻撃15、命中10、550ギル)
防具:くさりかたびら、かわのぼうし、かわてぶくろ(アーマー17、220ギル)

モンク
武器:テツヌンチャク(攻撃16、命中0、200ギル)
防具:かわよろい、かわのぼうし、かわてぶくろ(アーマー6、190ギル)

白魔術士
武器:ハンマー(攻撃9、命中0、10ギル)
防具:どうのうでわ、かわのぼうし、かわてぶくろ(アーマー6、1140ギル)

黒魔術士
武器:ダガー(攻撃7、命中10、175ギル)
防具:どうのうでわ、かわのぼうし、かわてぶくろ(アーマー6、1140ギル)

*補足
ミスリルソード(攻撃23 命中15 4000ギル)
装備できるのは戦士と赤魔。シーフは不可。

モンクのテツヌンチャクが妙に強く見えるが、命中が低いし力も戦士のほうが高いのであまり強くない。赤魔のブロードソードよりは強い程度。
というかこのレベルでも素手のほうが強くなってくる。モンクの素手は攻撃力=レベル×2(力は関係なし)、攻撃回数が通常の二倍。攻撃回数が多いからレベル6程度でもテツヌンチャクに迫る。
シーフは言うに及ばず。防具についてはシーフが弱いというより、「くさりかたびら」「てつよろい」の性能が異常である。最初の町で80ギルで買える防具が、かなり先まで上位の装備であるという事実。

FF1(VC) 戦士オンリー(2)

2010-10-28 21:13:22 | ゲーム
各ジョブ考察(FC版):

・戦士→ナイト
最強の装備が出来る前衛ジョブ。それ故に攻撃力も防御力も最高ランクで、力も体力もバランスよく高い。
中盤以降はほとんどダメージを受けない。
ナイト化すればレベル3までの白魔法を習得できるので、バ系魔法の運用やポーション代わりにもなる。便利。

・シーフ→忍者
シーフの能力は終わっている。Wizardryのシーフから罠解除能力をなくしたようなものである。装備は戦士どころか赤魔術士にも劣り、基本能力も幸運以外戦士に全て負けている。
忍者になることで装備だけは赤魔導士より勝る。黒魔法レベル4にはヘイストがあるので、ヘイスト役として活路を見出せる可能性はあり、ナイト二人よりはナイト忍者の組み合わせのほうが強くなる可能性もあるかもしれないが、単にヘイストを使わせる役なら赤魔のほうが汎用性がある。シーフ時代の苦労に見合う強さはない。

・モンク→スーパーモンク
序盤はあまり強くない。レベルが上がると素手攻撃力が極端に高くなり、最終的には最強ジョブになる。
しかしレベル上げに励まないスピードプレイをする場合は、全てにおいて戦士に劣る。じっくりプレイする人向けである。またレベルを上げても防御面は最弱ランクであり、二人以上入れるのはおすすめできない。
なおモンクの時点での魔法防御は高いようだ。しかしスーパーモンクになるとその利点は失われる。
FC版のスーパーモンクは魔法防御が下がっただけであり、モンクの完全な下位互換ジョブである。

・白魔術士→白魔導士
全ての白魔法を習得でき、回数も多い。前衛パラメータは低いので有効な攻撃手段が少ない。
大きな利点はディア系とヒール系が使えること。戦闘では防御系の補助魔法で活躍する。

・黒魔術士→黒魔導士
全ての黒魔法を習得できる。体力や力は最も低い。
強力な攻撃魔法は役に立つのだが、主要なものは赤魔でも習得できるため利点が少なく、弱いジョブだと考えられている。
黒魔法が弱いわけではなく、赤魔が強すぎるのである。

・赤魔術士→赤魔導士
黒魔法と白魔法の重要なものは大半習得できる。しかも前衛能力もシーフより強く、防御力もモンクより強い。
恐ろしく便利なジョブである。

攻撃力目安(独断)
高レベルモンク>戦士>忍者≧普通のモンク>赤魔>>>シーフ
※個人的にはモンクの評価は低い。慣れてきて低レベルで進めるようになると忍者以下だと思っている。

防御力目安(割と正確)
戦士>>忍者>赤魔>>>シーフ>モンク

忍者はそれなりに強いと考えてもいいが、このゲームで辛いのはクラスチェンジ前の時期である。やはりシーフはおすすめできない。
忍者になっても魔法役としては赤のほうが圧倒的にいいし、前衛なら戦士のほうがいい。
忍者とは「戦士に使えない魔法が使えて、赤魔より若干前衛能力が優れる」極めて中途半端なポジである。
ただ個人的好みで言うなら初プレイはそれでもシーフを使って欲しい。それも戦シ白黒がいい。
矛盾しているようだが、このゲームはシーフ込みのバランスで作られている気がするため。
赤魔の強さを知って驚愕するのは二週目からでいい。

FF1(VC) 戦士オンリー

2010-10-27 22:45:17 | ゲーム
あまり考えなし。FF1は戦士が大変強いので2~3人にすると通常のプレイよりも随分難易度が下がる。
では4人ならどうか?

名前を考えるのが面倒なので「せんし1」「せんし2」「せんし3」「せんし4」で開始。ナイトになったらどうしようとか考えてなかった。
ガーランドはセオリーどおりレイピアとくさりかたびらで楽勝だがポーションを用意してなかったらブラポカに行くまでに戦士2が死にかけた。レベルはそれなりに上げないと苦しい模様。
レベルが低すぎてアストスに苦戦。ミスリルソードを買っておくべきだった。
ミスリルソードと鉄鎧だけ人数分そろえれば当面装備を買う必要はなくなる。いや永遠かも。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・8(完結)

2010-10-25 20:15:22 | ゲーム
世界樹の迷宮のヒットは痛烈だった。

世界樹の迷宮とウィザードリィ:
「世界樹の迷宮」は当時アトラスに在籍していた新納一哉氏の個人的な嗜好が強く反映された作品だと考えられている。主にpodcastでの発言を参考にするとそういう印象。実際のところはどうなのか知らないが、新納氏が抜けた2以降もその作風は受け継がれている。
感じるのはウィザードリィ、それもファミコン版の息吹。あえてオートマップを排してマッピングそのものを楽しませる設計、拠点となる街、訓練場でのキャラクターメイキング、シビアなダンジョン、理不尽ですらある仕掛けの数々。ついでにボーパルバニー。

実際に発売された「世界樹」は、思ったほどウィザードリィではない。アイテム集めやクエストの概念はどちらかというと近年のRPGに近く、戦闘システムは強度のドラクエ型。それもドラクエ6の過酷さを持っていた。
だが確実にウィザードリィの楽しい部分を受け継いでいた。各地に潜伏していたファミコン版ウィザードリィを愛する人たちがこぞって買っていって、その完成度の高さに息をまいた。
で、売れた。少なくとも和製ウィザードリィよりは売れた。
既にウィザードリィは死んでいた時勢に、ウィザードリィを強く意識した、ほとんど無名の3DダンジョンRPGが売れてしまった。
新納氏は退社したが、その後も精力的に作品を発表し、紛れも無く人気クリエイターとなっていた。もともと潜在的に人気があるクリエイターだったというべきか。

ウィザードリィのタイトルに価値など無かった。
かつてはあったのかもしれないが、今となっては価値の無いものになっていた。

ちょうどウィザードリィの版権関係が厳しくなり始めた時期である。
国内の、いや世界中見てもウィザードリィの新作は無かった。そんなものは最初から日本にしか無かった(……嘘です。奇しくも同じアトラスのBUSINは国外展開していたらしい)
翌年にエンパイアの直系である「エルミナージュ」、そしてエクスの隠れ移植である「剣と魔法と学園モノ。」が登場するのは決して版権の問題ばかりではない。
というのも、どうやら「剣と~」は取ろうと思えば版権を取れたようだからである。版権元と会社が繋がってるから取ろうという案もあったとかなんとか。だが取らなかった。
むしろウィザードリィを冠さないほうが売れるのではないかと制作側も思い始めたようである。
既に前例もあった。携帯アプリのネザードメインという作品は、実はGBの外伝の直系作品だった。面倒な権利を取るくらいなら別タイトルにする。
エルミナージュもなかなか評判はいいようで、たぶん世界樹から入ったユーザーも取り込んでるんじゃないだろうか。

ウィザードリィルネサンスが成功するのかどうかはわからない。また数年内にウィザードリィは消滅するかもしれないし、FC版がVC配信されるなどの展開が無いとも言い切れない。
この記事はつまりそれらを応援するものでも拒絶するものでもなく、ただウィザードリィから離れていった人間の戯言であると受け取ってもらいたい。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・7

2010-10-24 22:01:07 | ゲーム
RPGのバグは付き物。大作だろうとシンプルだろうと関係ない。
それを踏まえて。
サマナーとか初代エンパイアとかのバグはひどすぎる。これは制作期間が足りないとか開発環境が苛酷とかいうんじゃなく、単純に技術不足なんじゃないか?
エンパイアはバグが無ければまだ遊べるらしいが、サマナーはバランスが崩壊しているにも関わらず簡単らしい……なんじゃそりゃ。

ウィザードリィの開発者、ロバート・ウッドヘッドは偉大な人物だった。
ウィザードリィはD&Dをトレースしただけのゲームではない。TRPGから必要な部分だけを抽出し、ついでにサムライやニンジャやクイジナートなどの趣味を叩き込む。何よりバランスが見事だったからこそ、コンピューターRPGという一大ジャンルを築き上げることができた。

移植を行った遠藤雅伸もすごい人物だった。氏はウィザードリィとあまり関係ないところで国産RPGの始祖「ドルアーガの塔」を作った大人物である。インタビューで答えてたウィザードリィを移植の経緯(アスキーから話が来てウッドヘッドが「移植は不可能」とか言ってたとかいう話)はどこまで真実か疑わしいが、原作の尊重と同時に、優れたビジュアルと音楽、プレイしやすさを最大限に考えた移植はウッドヘッドからも絶賛された。
クリエイターの格が違った。一流のRPGを作れる人間が一流の原作を移植したのだから、そりゃ面白くて当然だった。

いや、たぶん徳永剛だってそんなに無能な人じゃないよ。
ただ自分の名前を出しちゃったのが彼の失敗点で、残念ながら氏はウィザードリィの世界を勝手に滅ぼす権利を持つほど人気のあるクリエイターではなかった。
遠藤雅伸がウボナサム・オドネ王(ひどい名前だ)とかいう名前で滅ぼすのならまだ多少は受け入れられる……わけでもないか。

アガン王のストーリー:
外伝3は新種族と新職業を追加し、さらに迷宮の外の世界を冒険する。ゲームボーイでよくここまでやったという意欲作である。
それだけの変化を起こすストーリー上の裏づけとして、旧シリーズより未来の物語となっている。リルガミンの街は滅び、守護龍も魔除けも力を失っている。それはさておき謎多き国王「アガン」の仮面を外すのが冒険者の当初の目的なのだが、その過程で滅びた街を探索することになる。
ちなみにリルガミンを滅ぼしたのはアガン王であった。
ネタバレ:ラスボスはアガン。


エンパイア(古の王女)だけはプレイした:
まあ、辛いゲームだった…
ひたすら単調で苦痛だった記憶しかない。迷宮がオートマップ前提なのか非常にいやらしい構造になっていて、魔法の種類がやたら多くて属性も多くて混乱する。
種族ごとに相性が設定されているが、どんな組み合わせでも大抵マイナスになるのでパーティは同じ種族で固めたほうがマシになる。ドワーフとエルフで仲悪いから共存できないというのは辛すぎる。で相性を何とかするためにハーフエルフというしょうもない種族を入れることになるが強い種族が増える後半はハーフエルフ前提みたいだ。
そして新職業の「狂戦士」。簡単に言うとカイエンの必殺剣みたいな技を使える。#6の新システムを否定した結果ファイナルファンタジーになったでござるよ。
もっともバグはそんなに致命的なのは無く、これでもまだ遊べるほうらしいのだが。
エンパイアはシリーズを重ねるごとに改善しているというが、もう一作だけで僕は無理だった。
これはただ古いシステムを使っただけのRPGじゃないか、と。

それにストーリーも、なんというか。
二次創作のために年表を作ってくれてる人がいたので参考にリンクするが。
「首都カシナート」という単語が出て来るだけで頭が痛くなる。さんざんフードプロセッサーだと言ってきたのに、この英語圏ではネタにしか見えないオメガ恥ずかしい名前を採用する理由とは、いやいやフードプロセッサーじゃなくて格好いい武器なんですよというアピールなんだろうが、別に街の名前でやる必要はないんじゃないか。
で、リルガという王女が出て来る。どうもこの王女の名前を取って将来は街の名前をリルガミンと改名してくださいという誘導的配慮のようだ。他にも何かギルガメッシュとか出てくるので、こいつらが将来の店の名前になるのが決定されているようだ。
断っておくが、このゲームはウィザードリィの版権を完全には取得していない。
……いいさ、どうせアガン王に滅ぼされるDESTINYだ。
未来を決めてしまったアガン王と、過去を勝手に決めたエンパイアとどっちが正しいという問題でもないだろう。

PSのエンパイアはまだいいほうとしても、有象無象シリーズについてはアガンくらいなら越えられるんじゃね?って気持ちでウィザードリィ作っちゃったんじゃね?
だが間違いなくファミコン版ウィザードリィは「極めて優れたクリエイターが作った傑作」であって、ただの古いシステム、古いプログラム技術のRPGでは決してない。
そのことを理解できない人たちがウィザードリィを作ろうとして、やっぱり作れなかったから今の惨状がある。
09年の時点で、Wizardryのブランドは死んでいた。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・6

2010-10-24 17:13:00 | ゲーム
ファミコン版のプログラムは大変高度なものだが、致命的なバグがあった。参照するパラメータを間違えていて味方のACが無意味な数値になっている。
TAS氏(ロックマン2TASの解析などで知られるTaoTao氏)による詳しい解析が公開されたのは2008年の末のことで、FC版の発売から21年が経過していた。それまでも計算式が不自然であることに気付いているものはいたようだが、正確なところまで知っているものはいなかった。
『II』以降は修正されているので、知っている人は知っていたのかもしれないが。
このことによって、最高傑作だと思われていたファミコン版『I』の評価が急激に揺らいでいるらしい。困ったことに、ACが機能していないにも関わらず何故かバランスは取れているのである。味方のACの代わりに敵のACで判定しているため、敵が強くなれば味方も強くなるというシンプルなロジックがあるからだ。
逆に言うと2Fや3Fの毒モンスターはどれだけ装備を固めても強い。
これは知らないほうが幸せだった。

この手のミスはNASIRの専売特許だと思い込んでいたが、そうではなかったようだ。かなり最近のゲームでも計算式のミスは見られる。

ゲーム進行に支障をきたすタイプとは違う、計算式関連のバグについて、知ってる例をいくつか。

FF1:ストライなど、いくつかの魔法に効果が無い。味方が使うデスペルには何の効果も無いが敵が使うデスペルは機能している。「知性」に何の効果も無い。敵の打撃属性に「敵本人の弱点属性」が参照されているため、炎に弱いゾンビ系のマヒ攻撃は炎属性になっており、アイスアーマーで防げる。他にも不可解な点が多数ある。

FF2:やはりバリアやデスペルの魔法などが機能していない。
あとABキャンセル。

FF3:戦闘中に装備変更などをすると強化系魔法の効果が消える「ウインドウイレース」と呼ばれる現象が知られている。3のプロテスとヘイストは非常に(異常なレベルで)強力なのだが、このバグのおかげで活用しにくい。

FF5:「ちからのくすり」はゴブリンパンチの攻撃力しか上がらない。

FF6:魔法回避率が物理攻撃の回避率を兼ねてしまっている。魔法回避の高い装備をそろえれば物理相手にも無敵になる。物理回避率のほうは一切機能していない。
有名なバニシュデスは実は仕様であるという解釈がある。バニシュ状態だと全ての魔法が効くのは「仕様」であり、ミスなのはボスにバニシュが効く設定のほうなんだと。

FF7:防具に設定されている魔法防御が機能していない。

WIZ外伝1:武器のダメージの設定にミスがあり、固定部分が参照されていない。たとえば7~13ダメージの設定(2~8+5)は実際には2~8になっている。このミスにより、事実上の最強武器は中盤で手に入るファウストハルバード。
また敵のヒーリングの効果が異常。HPが回復するはずが、ターンごとにレベルが上がる設定になっている。これは外伝3まで共通なんだと。

世界樹2:いくつかのスキルの効果がおかしい。レンジャーのフォーススキルがマイナス効果。あと敵にも耐性を付与してしまうダークハンターバグ。

TOD2:称号バグ。成長値のボーナスがオーバーフローしてレベルアップ時の成長がマイナスになる可能性がある。

TOD(PS2):術防バグ。相手の術防御が味方の術防御で決まるので、術防御を低く保ったほうが大ダメージを狙える。DC版で修正。
ところでPS版の空気王が初期レベルで加入するのはバグみたいなもんだと思う。

簡単なミスもあれば「うっかりじゃ済まんぞ」的なものもある。場合によっては余計な知識を手に入れたばかりにゲームの攻略方針そのものが揺らぐことになる。
RPGのダメージ計算式などは詳しく画面に表示されないので、デバッグ過程で発見しにくいのだと考えられる。
こう考えるとドラクエは安定してる。ヒャダインの習得レベルくらいだ。

ということで、ウィザードリィが悪いわけではない。RPGがみんな悪いんじゃ。
そのことを踏まえて次の記事に続く。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・5

2010-10-23 19:29:55 | ゲーム
ファミコン版ウィザードリィIに計算式の不備があるのは前に書いた。
ともすればゲームが破綻するようなレベルのミスである。だがプレイするとバランスが取れている(ように感じてしまう)。テストプレイはした結果なのだ。

ところで他にもけっこう悲惨な歴史があるようだ。

・外伝IV ジルフェバグ
ジルフェの呪文を使うとデータが消える。超シンプルかつ重大なバグ。
回収などは行われなかったがバグが起きないカセットへの交換が行われたという情報もある。自分が交換したのはバグが起きない版だったのかどうか、売り払った今では確かめる術もない。

・DIMGUIL
細かいバグがいくつかあるらしい。そんなに深刻ではなさそうだが、カードバトルでフリーズするとか。修正版が出ていて、交換もしていたようだ。>参考リンク

・エンパイア初代
レベルが勝手に上がったりデータが消えたりするヒーリングで即死したりするバグがあるらしい。
あんまりひどいので修正版と交換してたようだ。>参考リンク

・サマナー
全てが何もかもバグってるという話。
>参考リンク
・敵のお金と経験値が入れ替わっているとしか思えないバランス。
・エナジードレインの魔法が当たると億単位の異常な量の経験値が手に入る。
・エナジードレインを味方が受けても億単位の異常な量の経験値が手に入る。
・条件を満たすと敵のレベルが1000台に固定される。初期化しても戻せない。
・アイテムが全て外伝2のパクリ。

……よく発売できたな、と。
修正版が比較的早く出たらしい。初回版しか出回っていないうちに買っておくべきだったかもしれぬと、少し思う。

和製ウィザードリィへの確執という名の恨み言・4

2010-10-23 19:04:19 | ゲーム
和製ウィザードリィの概念・その2:
簡単に言えば旧システムを使っていることが定義に近い。つまりウィザードリィ外伝シリーズと同じ。
訓練場でキャラクターを作って、酒場でパーティを組んで、キャラクターには善悪があって……
「魔術師は2レベルおきに魔法を習得し、レベル13で全部の魔法を習得できる」とか、そんな細部の仕様まで旧システムに依存する。
異常である。
ドラクエでヒャドとかメラミとかの魔法を習得するレベルが全作で一定だったらどう思うか。それはおかしい。
確かに若干は魔法体系も変わってはいるらしいのだが、でもレベル13で最強攻撃魔法とワープ魔法と願いを叶える魔法を習得というのは揺るがないらしい。
ダメージの計算式や転職の条件、特性値の初期値等も多くが旧シリーズ依存。さらにファミコン版特有の要素もちらほらと獲得している。

もうひとつ。これらは旧ウィザードリィではない。言ってることが意味不明のようだが、そうなのである。
版権としてはウィザードリィのタイトルのみ使用を許可されているということのようだ。一説によると#6の版権で旧システムを使っているという。
つまり、ウィザードリィってタイトルは使ってもいいけど同じゲームは作れない、ということになるのか?
そこらへんは不明なのだが、事実として呪文名が変更されている。これは版権の許諾が降りないのか、版権料が高いだけからケチっただけなのかは定かでない。

例として
*エンパイア(初代)
ハリト(単体火)→フレイムアロー
マハリト(グループ火)→ファイアボール
ティルトウェイト(核撃)→ニュークリアブラスト
マロール(ワープ)→テレポート

効果こそ旧作と同等だが、独特な呪文名が一般の英単語に置き換わっている。いくつかは#6の魔法と全く同じなので#6の版権という説は矛盾していないように思える。

*エンパイア(PSシリーズ)
ハリト(単体火)→リト
カティノ(眠り)→カティドレイ
リトフェイト(浮遊)→レビフェイト
マロール(ワープ)→マハロール
マハマン(願い)→マハンマハン

このパチモノ臭は何だ。なんだマハンマハンって。
オリジナルの呪文名を使うのはアウツでパチ魔法は可らしい。どういう基準?

「ウィザードリィを作れない版権」を使って、ウィザードリィっぽいものを作り上げたのがエンパイアをはじめとする和製ウィザードリィ群だ。
例外は「DIMGUIL」と「BUSIN」。
DIMGUILは事実上はアスキーの外伝V(外伝IVからキャラクターを引き継げる)なので呪文名も旧シリーズのものを使用している。
BUSINはウィザードリィのタイトルを使用してはいるが、別作品に等しい。おそらくはこれが本来あるべき「和製ウィザードリィ」ではないのだろうか。