感性のままに。

平凡な主婦の独り言です。

もう一つの夫婦

2009-09-09 21:07:18 | 日記
前回の記事で夫婦について書いたけれど、書き終わって思い出したことがある。

それは、私の両親のことだ。

恥ずかしい話だが、私の両親は決して仲がいい夫婦ではなかった。いや、仲が悪かったと言ったほうがいい。
私が知る限り、仲良く二人で出かけたり、にこやかに話している所を見たことがない。

父は我がままな人で、常識もなく学歴もない田舎育ちで、母はそんな父が嫌いだった・・・・と私には見えた。

今の若い人だったらすぐに別れていただろうが、当時は離婚なんて世間体も悪く、女は我慢するのが当たり前の世の中だった。

「あんなお父さんでもあんた達の父親だからね。」
それが、母の口癖。

「子供達のために別れない」と母は言っていたが、小さい頃から仲の悪い両親を見て過ごした私は、家にいることが嫌でたまらなかった。

仲のいい両親のいる友達が羨ましくて・・・・。

そんな父が6年前に亡くなった時の話。

母が、ベッドに寝かされている急死した父の冷たくなった頬や髪を「お父さん」と呟きながら、愛おしそうに何回もなでていたのだ。

それを見て、正直驚いた。

まさか母がそんなことをするなんて、私には想像もつかなかったから。
私の知っている両親は、夫婦とは名ばかりの関係だったはず。
少なくとも、母の口から父に対して、愚痴しか聞いたことはなかった。

なのに・・・・。

その母の姿に、この両親の歴史と情を感じた。

「愛」なのかどうかはわからないが、そこには確かに「夫婦」が見えた気がした。

長く連れ添った「夫婦」って、こんなものなのかもしれない。

誰にも迷惑をかけず呆気なく逝った父は、長い間苦労をかけた母に対して、最後に恩返ししたのかな?

そんな最後を迎えた父と共に、今までの母の苦労も消え去ったのかもしれないな。

最後にそんな両親の姿を見て、私の心の中にも両親に対する「何か」が変わった。

『この二人って、やっぱり夫婦だったんだ』
改めて認識した出来事だった。

でも、父の七回忌が過ぎ、未だに母の口からは父に対して愚痴しか出てこないのは、生前と同じだけれど。

夫婦って、不思議・・・・・。