次男が小学5年生の夏だった。
休日だったので、次男は友達とプールに行くと言って出かけて行ったのだが、少しして、我が家の電話が鳴った。
次男の学校の教務主任の先生からだった。
「あのぉ、お宅のR君がコンビニで万引きをしたと連絡がありまして。」
初め、私は一体何を言われているのか理解できなかった。
「は?」
「K町のコンビニから電話がありまして、S小学校の5年の○○○○(次男の名前)と言う子が万引きしたので、来てくれと言われましてね。」
「は、はい。ま、万引き?うちの子がですか?」
「そうなんです。今日はR君はどこに行きましたか?」
「今日は友達とY山プールに行くと言って出かけたんですけど。」
「そうですか。プールには行ってないようですね。」
「え?でも、そんなはずないです。うちの子じゃないです。万引きなんかしません!」
「う~ん。」
私は完全に頭が真っ白になって、先生の言葉の細かい所は聞こえていなかった。
ただ、頭の中は『万引き』と言う響きだけがグルグル回っていた。
でも、どうしても信じられない。
そこで、気を落ち着かせて聞いてみた。
「あの、もう一度お聞きしますが、どこのコンビニですか?」
「K町ですよ。」
「・・・?おかしいですよ。だって、うちの子が行ったのはY町のプールで、K町とは正反対ですよ。それに、友達のお母さんの車に乗せてもらうと言ってましたので、K町になんか行くはずないです。私、そこのお家に電話して確かにプールに行ったかどうか、確かめてみます!」
「そうおっしゃるなら・・・。」
私は急いでそのお友達の家に電話して聞いてみた。
確かに、ちゃんとプールに送ってくれたと言われ、私の「絶対おかしい」と言う気持ちは確信に変わった。
しかし、確かにうちの子の名前を名乗っている以上、すぐにでもそのコンビニに行って確かめたかった。
・・・もし、万が一、それがうちの次男だとしても、絶対に自分から万引きなんかする子ではない!
きっと、仲間の誰かが万引きしてしまい、お店の人に捕まったのが側にいた次男だったのだと思った。
そう考えると、どんなに次男が心細く傷ついているだろうと、早く行って抱きしめてあげたくて居ても経ってもいられなかった。
下を向いて泣いている次男の姿が頭に浮かんだ。
学校に電話し、「私、これから行って来ます!」と言うと、
先生は「いや、少し待ってください。やっぱりおかしいので、私がまず行って確かめて来ますから、待っていてください。」と。
それから落ち着かない気持ちで先生からの連絡を待ったが、程なく電話が鳴った。
「やっぱり、R君ではありませんでした。A小学校の4年生の子でした。」
「あぁ、やっぱり・・・。」
それから詳しいことを聞きに学校に出かけたが、そこには担任の先生もいて、二人で「申し訳ありませんでした。」と平謝り。
担任の先生は電話で呼び出され、コンビニに確認に行ってくれたようだ。
「ほんとに申し訳ありませんでした。お宅に電話する前にちゃんと確認するべきだったのに。私はそんなことおかしいと言ったんですよ。そんなお子さんじゃないですから。」
詳しく聞くと、次男の名前を語った子は、スポ少のミニバスで一緒のチームで、保身のためにうちの次男の名前をとっさに言ったと言うことだ。
そして、家庭環境もいいものではなく、万引きも初めてではないと。
なるほど。。。
でも、何でよりによってうちの次男の名前?
まあ、そんなことはどうでもいいこと。
ほんとに次男でなくてよかった。
そして、やっぱり、次男はそんな子ではないと改めて思った。
しかし、今でも思い出すたび、その時の胸が苦しくなるような頭の中が真っ白になるような感じが甦る。
心臓が口から出そうな感じを味わった。
その日、何も知らない次男が夕方日焼けした顔でプールから帰ったのを、何とも言えない幸せな気持ちで見ていたっけ。
その後、その万引き事件は次男には内緒にしていた。
名前を語ったのが、同じチームの子供だと知ったら、次男がどんなふうにその子を見るか。
そして自分の名前が語られたことを知ったら、いい気持ちのわけがない。
そんなことは知らない方がいい。
次の日、A小学校からS小学校に今回のことでお詫びの電話があったそうだ。
うちにはないの?それで終わり?
その子の保護者からは?
多分、同じスポ少の練習でも会うのだろうが、何のお詫びもない。
私はその子の名前も聞かなかったので、どの保護者なのかもわからないが、多分そちらは知っているはず。
私がその立場だったら、すぐにでも誤りに行くだろうけど。
違う?
それとも、そちらの立場になったら、とても謝りに行けない気持ちなのかもしれないね。
その後、次男も6年生になり、私がPTA役員として先生方と飲み会があったときのこと。
例の教務主任の先生が私に言った。
「あの万引き事件の時、りっひーさんのこと凄いと感心したんですよ。だって、すぐに『うちの子じゃないです』って言ったじゃないですか。我が子を信じきっていて、大した母さんだなあと思って。」
そして、その場にいた次男の同級生T君のお母さんにこうも言ったのだ。
「だって、T君だったらお母さんも『うちの子だったらやりかねない』と思うでしょ?」
そのお母さんは笑って「確かにね~。うちだったら『またかい』って?ハハハ・・・。」と冗談でかわしたけど。
それって、飲み会の席だとしても酷くない?
私が褒められたことなんか吹っ飛んで、あまりに失礼な先生の言葉に内心憤慨していた。
よく、あのお母さんは笑って済ませたなと思うんだけど。
そうよね、この先生の配慮のなさで、私は凄く嫌な思いをしたわけで。
そして、最後に私に言った言葉。
「ほんとにあの時は申し訳なかったと思いますよ。でも、いいじゃないですか!今年はR君も陸上で大活躍したことだし~。」
なんだと~!
関係ないだろっ!
こんな先生が教務主任ですか?
思い出しても腹が立つ!
休日だったので、次男は友達とプールに行くと言って出かけて行ったのだが、少しして、我が家の電話が鳴った。
次男の学校の教務主任の先生からだった。
「あのぉ、お宅のR君がコンビニで万引きをしたと連絡がありまして。」
初め、私は一体何を言われているのか理解できなかった。
「は?」
「K町のコンビニから電話がありまして、S小学校の5年の○○○○(次男の名前)と言う子が万引きしたので、来てくれと言われましてね。」
「は、はい。ま、万引き?うちの子がですか?」
「そうなんです。今日はR君はどこに行きましたか?」
「今日は友達とY山プールに行くと言って出かけたんですけど。」
「そうですか。プールには行ってないようですね。」
「え?でも、そんなはずないです。うちの子じゃないです。万引きなんかしません!」
「う~ん。」
私は完全に頭が真っ白になって、先生の言葉の細かい所は聞こえていなかった。
ただ、頭の中は『万引き』と言う響きだけがグルグル回っていた。
でも、どうしても信じられない。
そこで、気を落ち着かせて聞いてみた。
「あの、もう一度お聞きしますが、どこのコンビニですか?」
「K町ですよ。」
「・・・?おかしいですよ。だって、うちの子が行ったのはY町のプールで、K町とは正反対ですよ。それに、友達のお母さんの車に乗せてもらうと言ってましたので、K町になんか行くはずないです。私、そこのお家に電話して確かにプールに行ったかどうか、確かめてみます!」
「そうおっしゃるなら・・・。」
私は急いでそのお友達の家に電話して聞いてみた。
確かに、ちゃんとプールに送ってくれたと言われ、私の「絶対おかしい」と言う気持ちは確信に変わった。
しかし、確かにうちの子の名前を名乗っている以上、すぐにでもそのコンビニに行って確かめたかった。
・・・もし、万が一、それがうちの次男だとしても、絶対に自分から万引きなんかする子ではない!
きっと、仲間の誰かが万引きしてしまい、お店の人に捕まったのが側にいた次男だったのだと思った。
そう考えると、どんなに次男が心細く傷ついているだろうと、早く行って抱きしめてあげたくて居ても経ってもいられなかった。
下を向いて泣いている次男の姿が頭に浮かんだ。
学校に電話し、「私、これから行って来ます!」と言うと、
先生は「いや、少し待ってください。やっぱりおかしいので、私がまず行って確かめて来ますから、待っていてください。」と。
それから落ち着かない気持ちで先生からの連絡を待ったが、程なく電話が鳴った。
「やっぱり、R君ではありませんでした。A小学校の4年生の子でした。」
「あぁ、やっぱり・・・。」
それから詳しいことを聞きに学校に出かけたが、そこには担任の先生もいて、二人で「申し訳ありませんでした。」と平謝り。
担任の先生は電話で呼び出され、コンビニに確認に行ってくれたようだ。
「ほんとに申し訳ありませんでした。お宅に電話する前にちゃんと確認するべきだったのに。私はそんなことおかしいと言ったんですよ。そんなお子さんじゃないですから。」
詳しく聞くと、次男の名前を語った子は、スポ少のミニバスで一緒のチームで、保身のためにうちの次男の名前をとっさに言ったと言うことだ。
そして、家庭環境もいいものではなく、万引きも初めてではないと。
なるほど。。。
でも、何でよりによってうちの次男の名前?
まあ、そんなことはどうでもいいこと。
ほんとに次男でなくてよかった。
そして、やっぱり、次男はそんな子ではないと改めて思った。
しかし、今でも思い出すたび、その時の胸が苦しくなるような頭の中が真っ白になるような感じが甦る。
心臓が口から出そうな感じを味わった。
その日、何も知らない次男が夕方日焼けした顔でプールから帰ったのを、何とも言えない幸せな気持ちで見ていたっけ。
その後、その万引き事件は次男には内緒にしていた。
名前を語ったのが、同じチームの子供だと知ったら、次男がどんなふうにその子を見るか。
そして自分の名前が語られたことを知ったら、いい気持ちのわけがない。
そんなことは知らない方がいい。
次の日、A小学校からS小学校に今回のことでお詫びの電話があったそうだ。
うちにはないの?それで終わり?
その子の保護者からは?
多分、同じスポ少の練習でも会うのだろうが、何のお詫びもない。
私はその子の名前も聞かなかったので、どの保護者なのかもわからないが、多分そちらは知っているはず。
私がその立場だったら、すぐにでも誤りに行くだろうけど。
違う?
それとも、そちらの立場になったら、とても謝りに行けない気持ちなのかもしれないね。
その後、次男も6年生になり、私がPTA役員として先生方と飲み会があったときのこと。
例の教務主任の先生が私に言った。
「あの万引き事件の時、りっひーさんのこと凄いと感心したんですよ。だって、すぐに『うちの子じゃないです』って言ったじゃないですか。我が子を信じきっていて、大した母さんだなあと思って。」
そして、その場にいた次男の同級生T君のお母さんにこうも言ったのだ。
「だって、T君だったらお母さんも『うちの子だったらやりかねない』と思うでしょ?」
そのお母さんは笑って「確かにね~。うちだったら『またかい』って?ハハハ・・・。」と冗談でかわしたけど。
それって、飲み会の席だとしても酷くない?
私が褒められたことなんか吹っ飛んで、あまりに失礼な先生の言葉に内心憤慨していた。
よく、あのお母さんは笑って済ませたなと思うんだけど。
そうよね、この先生の配慮のなさで、私は凄く嫌な思いをしたわけで。
そして、最後に私に言った言葉。
「ほんとにあの時は申し訳なかったと思いますよ。でも、いいじゃないですか!今年はR君も陸上で大活躍したことだし~。」
なんだと~!
関係ないだろっ!
こんな先生が教務主任ですか?
思い出しても腹が立つ!