ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

題詠blog2013「未」投稿歌

2013-12-24 14:59:01 | 題詠2013
恒例? 題詠blogに載せなかった歌のかけらです。
ひとつの題に対して、たいてい2~3首は作ってみるのですが、
投稿せず、陽の目を見なかった歌たちもあります。
ずいぶん無理やり詠んで、数だけはこなしてるって感も否めませんが・・・(笑)

■題詠blog2013未投稿歌
001:新
東天に微かな光湛えたる新月出れば願いをかける
002:甘
言葉とは流れ来たるるせせらぎのやうでときどきほんのり甘い
003:各
盃を各々取りて捧げもつ乾杯前の神妙な顔
004:やがて
やがて鳴くまで待とうかほととぎすよ四百年の栄華後に来
005:叫
海に叫び山に叫びし青春の印を探す旧友(とも)の瞳に
006:券
テーブルにひそと置かれし招待券手にとらるるを待つがごとくに
007:別
別れても好きな人だと言えるまでいくつの夢をみるのだろうか
008瞬
指先で触れた瞬間跡形もなく崩れ落つガラスの心
009:テーブル
花柄のテーブルクロスが欲しいのと友は微笑み未来を描く
テーブルの脚の影だけ伸びていく春一番の声を待ちつつ
010:賞
感謝状表彰状に皆勤賞賞状書士なる職業のあり
011:習
しきたりや常識などを軽々と越えて時代を翔けてゆきたし
012:わずか
山の端にわずかに残る白きもの言い出しきれぬ言葉にも似て
013:極
014:更
細かなる更紗の柄のとりどりの光の色を肩にまとへり
空色の更紗まとひてスミハルジョ異国のまちに思ひを馳せる
015:吐
路上にて唾を吐きゆく人あれば罰金取らるるシンガポールでは
016:仕事
着信音聞き分け仕事の顔になる君の変化を頼もしく見る
いい仕事していますねといつからか褒め言葉となり多用されおり
017:彼
もう二度と会えないひとの名を呼びて彼岸の入りに春風を見る
卒業生手に手に卒業証書持ちケータイ電話も肌身離さず
018:闘
老いし鷹は山にこもりて羽根を抜き再生すべく自己と闘う
019:同じ
あのときと同じシャツ着て立っている君の幻見たような午後
020:嘆
海を臨み幼子抱きてすくと立つマリア像の眼嘆きに満ちて
021:仲
「これからも仲良くしてね」と書きおきて北の町へと友は越しゆく
022:梨
アルプスに残れる雪よりなお白く春の日に透く梨のはなびら
023:不思議
チェシャー猫はニヤニヤ笑いのみ残し不思議の国へアリスを誘ふ
024:妙
茶を点てる姿勢の清し人眠る冬桜咲く妙蓮寺かな
鳥の声に顔を上げれば紅淡き桜溶けゆく妙蓮寺の空
025:滅
できるなら君に幻滅したくない だからさよならまた会う日まで
026:期
学期末近づきくれば教師らは苦しくあらむ成績付けに
夏休みプール通いの証なる子等日焼けして開ける二学期
「じゃあまたね」手を振り別れ逝きし友最期の笑顔も君らしくして
027:コメント
コメントにて我の思いをそのままに掬われしときの嬉しさ
028:幾
幾重にも花びら巻きて紅深き神が創りし乙女椿は
029:逃
030:財
ふくよかな笑みを醸せし弁財天に両手をあわせ佳き日願へり
031:はずれ
032:猛
我が指を咥え離さぬ小さき鳥百舌はなるほど 猛禽類なり
033:夏
034:勢
七年に一度の諏訪の御柱祭(みはしらさい)木落しの声の勇ましきかな
035:後悔
後悔とふ海に溺れし日もありき今穏やかな汀を歩く
036:少
薄紅の花びら撫ずる五月風少女の我に今年も会はむ
037:恨
痛恨の一球打たれし少年は眼泳がせ空を仰げり
038:イエス
039:銃
銃声の後のしずけさ雪原を染めて血の痕点々とあり
040:誇
八重さんはハンサムウーマンなる女性会津の誇りと友は語りき
041:カステラ
大吟醸浸みたるカステラの切り口に酒の神様宿りしやうな
042:若
鮮やかに牛若丸の剣の先ひらりひらりと敵を倒しぬ
043:慣
君のいぬ日の空白に慣れようと英会話など始めてみたり
044:日本
鎮まりし日本画のごとき風景が雪見障子の先に広がる
045:喋
窓の外に光の満ちてお喋りな鳥たち集ひ朝が始まる
046:間
間の抜けたとぼけた顔で悠々と水槽のなかウマヅラハギは
047:繋
→魂が呼び合ふものか水無月の集いに繋がる友の縁よ
048:アルプス
緩やかに紫めきて靜もれる南アルプスを包む夕闇
049:括
就活は腹を括りて未来への扉を開けるトンネルなるか
050:互
困ったらお互い様と肩たたき向日葵のように笑いし友は
051:般
052:ダブル
雲のごときダブルガーゼに顔を埋め日向のにほひ確かめてみる
053:受
恋愛は受身でゲームに没頭すリアルな恋は苦手な彼ら
注文を受け打ちくるる蕎麦の味土の香りを噛みしむやうな
054:商
「銀座」とふ名前の付きし商店街 戸越旧軽おのおの賑わふ
055:駄目
これは駄目あれも駄目とふバリアーを自ら張りてチャンスを逃がす
056:善
願わくは善きサマリアのひとのごと分け隔てなく他人に優しく
057:衰
058:秀
059:永遠
永遠に忘れたいこと捨てるなら二度と行かれぬ遠くの海で
060:何
はなだ色の空より生れる風花の何処に消えてまた舞いあがる
いま何時?文字盤覚えたる幼聞きつつはやも眠りていたり
061:獣
ビル街の風の抜け道閉ざされて獣のやうな暑さまとひぬ
062:氏
住み慣れし町のはずれの氏神様遅夏の日に焼かれておわす
住み慣れし町の三叉路にひそと立つ氏神様はむかしのままに
063:以上
降水量が基準値以上に上がったと警報メール 鳴り通す夏
064:刑
処刑さるるまでの幾年を穏やかに過ごしたといふフランスの王妃は
処刑台見上げて何を思いしかフランス王妃の無残な最期
065:投
サイドより投げたる石は水面を幾たび刻み消えてゆきたり
066:きれい
ぼんやりと闇の中より浮きあがる弥勒菩薩のきれいなる指
067:闇
越中八尾の闇より浮かぶ雪洞の連なりて立つ二百十日に
068:兄弟
兄弟の双子の星座船乗りを導きながら輝きており
069:視
可視化とふ言葉もありやグラフにし見やすくしたる人間の知恵
070:柿
柿の実のひとつ残りて秋空に吸い込まれゆく橙色の
夕空にひとつ残れる柿の実の星となりつつ吸い込まれゆく
071:得意
数学が得意な君よ世の中に割り切れぬもの複雑あまた
072:産
鳩が産みし卵がひそと木の上で囁くやうに風と語らふ
073:史
先人に歴史に学べとひとは言ふ古今東西にデータベースあり
074:ワルツ
秋の陽がワルツのやうに軽やかに落ち葉を誘ひ森を透けくる
075:良
いつまでも良い子でばかりいられぬと自我に目覚める蒼き思春期
076:納
せせらぎと小鳥の声のこだまする山間低く赤き屋根見ゆ
077:うっすら
はにかんでうっすらと頬染めながら転校生は名を告げにけり
078:師
でもしかで教師になれし頃もあり教師受難の時代よ今は
079:悪
悪口を言えば己れに帰りくる昔の人は真理つきたり
080:修
奈良京都修学旅行の定番が今は田舎で自然探訪
081:自分
自分たちだけが知ってる木の下にタイムカプセル埋めし夕暮れ
082:柔
高山の風に吹かれて柔らかく花びら揺らすチングルマの秋
083:霞
霞食ふほど夢見がちなわけでなしリクルートスーツ買ふ戸田くんの夏
084:左
筆を持つ手が別の生き物のよう 半紙に墨落とす左利きの君
085:歯
歯並びを見ては「あいつも矯正だ」タレントを見る歯科医の性か
086:ぼんやり
かねてよりわかつていたのだぼんやりと心の隅に巣食う悪意を
087:餅
月餅を頬張る君の笑顔みて宵もうれしや春節の月
088:弱
解きゆく古着の糸は弱りいていにしえびとの暮らしを思う
089:出口
クレタ島の出口の見えぬラビリンス クノッソス宮殿に流れし涙
090:唯
この花は世界でひとつだけの花唯吾がためにスミレを植えぬ
091:鯨
身も骨もヒゲも油も人類の歴史とともに在りたる鯨
092:局
危機的な局面にこそ発揮さる人間力の大きさ深さ
093:ドア
指先も背筋も伸ばしピリピリと張り詰めし瞳の新米ドアマン
094:衆
聴衆を唸らすタクトさばきにて小沢征爾の渾身の指揮
095:例
たくさんの事例あつめて検討す新しきこと始める前は
例題を解きて自信を深めたりいつの時代も受験生の難
096:季節
なだらかな季節の移り追ふやうに衣替えせし紺の制服
097:証
風吹けばさらわれそうに頼りなき枯葉のやうな目撃証拠
098:濁
濁りたる河のうねりを眺めいるテレビの前の我の平和か
099:文
文月の空に輝くアンタレス生(あ)れ月なれば我が星とせむ
直筆の文なればこそ感じいる友の温もり筆跡なぞる
メールより文なればこそ温もりを感ずる友の筆跡なぞる
100:止
白じろと上書きされし停止線目に眩しくて夢から覚める

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