セツの 日々つれづれ日記

猫たちの様子や感動した景色など、日々のささいな出来事をアップしています。

長谷寺(奈良県)だだおし 2

2013-02-22 15:02:14 | 撮影散歩
それでは、だだおしについて、続きを書きますね。


もうそろそろ、本殿に到着です。

ゼイゼイといいながら、見上げた舞台。




ここには、京都の清水寺のように、見晴らしのいい舞台があります。

今回はすごい人出だったので、写真は撮りませんでした。


本殿の側面です。




木造の建物も、背が高くなると石造りの建物のような迫力があるように感じました。

こちらも本殿の側面です。




本殿の四方をかこうこの廊下を、これから鬼とたいまつがぐるりと駆け抜けていきます。

どう見ても、かっこ良く古びた木造の建物。

国宝って書いてある!

ほんとにここで火を焚くの~~~!?

あかんやろう、それは、と一人で冷や汗をかいていましたが、時間が近づくにつれぞろぞろと現れたのは、消防士の皆様。

彼らがこの建物を火からちゃんと守ってくれました。

ほっ。


鬼の撮影場所をキープして、時間を待ちます。

本殿の正面や中は、その場所からは見えません。

牛王札(ごおうふだ)というものを買うと、中で一連の行事を見ることができるようです。

なので、今回は耳を、聴覚を使って行事を把握します。


そろそろ時間です。

お坊さんが、マイクでこの行事に関しての説明をしているのが聞こえます。

しばらく続いたあと、聞こえてきたのは、涼やかな鈴のような音。

チリーン、シャラーン。

空気が澄んでいく感じと、何かを静かに呼び起こすような音に聞こえます。




チリーン、シャラーン。

青い空に抜けていくような、綺麗な音です。


お坊さんの読経が始まりました。

このお経は独特の旋律があって、まるで歌っているようでした。

よく聴いていると、歌詞の中に般若心経が混ざっているようです。

仏教系の学校に通っていたことがあるので、般若心経はソラで言えるんですよ~(笑)。



この後、参拝者の額と牛王符に宝印の加持があるとのことですが、たぶんぺったんと宝印を押してもらうのではないかと。

おそらく厄除けの意味があるのだと思います。

それが済むと、ついに鬼を追う儀式が始まります。

聞こえてきたのは、ドンドンと激しく打ち鳴らす太鼓の低い音と、法螺貝の高くのびる音。そして。

何人もの男の人のうなり声。

鬼が追われて苦しんでいる、と感じました。

声はどんどんと大きくなり、怖くなります。

まるで地の底から力の限りに無念を訴えているような声。

うおーっ、わあーっ、わあーーーーっ!!!

どうして死ななければならなかった、もっと生きたかったのに。

なぜなんだ!なぜ!!

うなり声は、私にはそう聞こえました。

怨霊の声って、きっとこんな声だ。

今にも地の底から這い上がってきそうな声の大きさに、これは怨霊たちの慟哭だ、と感じました。


桑原水菜さんの小説『炎のミラージュ』の世界、そのものでした。
(ご存知のない方はすみません)

お坊さんたちの声の演技が上手過ぎるのか、お坊さんたちの口を借りて本当に怨霊たちが叫んでいるのか……。


ほんっと、怖かったです。

しかも一回止んだかと思ったらもう一回。

あの叫びを聞かされます。


たくさんの悲しみが胸にせまるようでした。



ついに、本堂の外へと追いやられた鬼達が出てきました!




まず、青鬼さんです。

カメラを構える人たちに、すごい勢いで襲いかかろうとします。

ガーーー!!

でも、みんな、必死で写真を撮るかキャーと大喜びしてました。

鬼の後を、大きなたいまつを持った男の人たちが追います。




炎から、なにか牛のようなものが飛び出しているように見えますね。

後から見てぎょっとしました。

次に緑鬼さんが現れて、青鬼さんと向かい合うとガオーッとケンカし始めます。






後を追うたいまつのお兄さんたちは、真っ赤になった首のあたりに水をかけてもらってました。




頑張って!!

たいまつどうしもガンとぶつけて、火の粉が飛び散ります。






またここでも、牛の顔が出てきてますね~。

どう受け取ればいいのか……。

牛頭天王の牛頭でしょうか……。


鬼さんの後ろのお世話係さんも大変そうですが楽しそうでもあります。


あ、ついに赤鬼さんがやってきました!




赤鬼さんのお面が一番大きくて迫力でした。

怖がらせるのも上手!

一番ベテランさんなんでしょうね~。








どんなに驚かせても、現代の人たちは逆にカメラのシャッターを切って応戦します(笑)。

このあたり、とても楽しい行事になっています。

たいまつの炎は天井まで届くほどで、燃え移らないかヒヤヒヤ。




この炎が災厄を浄化して、コロコロと落ちた炭は縁起がいいと持ち帰る風習なのだそうです。


みんな、とっても楽しんでいました。




何度かぐるぐると回廊を回った後、鬼さんたちは寺の外へと逃げていきました。

東へと追い払われるそうです。

それはそうですよね、西に行っちゃったら都がありますから。

鬼さんたちを見終わって、お寺にいつもの静けさが戻ってきました。

やあ終わった終わったと、三々五々に引き上げていく観客達。

私たちも、本堂へお参りしたり舞台を見たりとうろうろ。

すると、ちょっと道を開けてくださ~いと声がかかりました。


法要を終えたお坊さんたちが、静かに本堂から出てこられました。




前のお坊さんがおりんをチーンと鳴らし、時折その後ろの青い衣の方がジャラン!と錫杖で地面を突き。

法要の道具を持っておられる方は、みな白い装束を来ていました。




この箱に、宝印などの大事なものが入っているのかな。




ここはお寺なんだなぁ、お坊さんたちはみんなこの行事に最大の敬意を払い、日夜頑張って修行されているんだろうなぁと、そんな身の引き締まるような雰囲気が伝わりました。


舞台から静かに向こうの山を見ていると、ゆっくりと日が暮れていくのが見えました。




これで、行事は完全におしまいです。

名残惜しい気持ちもありましたがとにかく寒くて寒くて、凍えた指先に息を吹きかけながら階段を下りていきました。



鬼と追い払われた人々と、鬼と蔑み恐れた人々。

家に帰ってきてからも、ずっとそんなことを考えていました。


この長谷寺のあたりはその昔、無縁仏などの亡くなった方々の遺体を葬ったり捨てる場所であったそうです。

このお寺は、天武天皇の時代に創建されたと言われています。

権力者が、倒してきた人々や犠牲になった人々の怨念を鎮めて呪われないために建てたのでしょうか。

苦しんできた先祖を供養することができれば、いまだ虐げられている側の人々の恨みが少しは治まると思ったのか。

現在まで毎年こうして怨霊を呼び起こし追い払うことを続けるのは、それほど、毎年ガス抜きのようなことをしなければならないほど彼らの恨みは深かったのか。

なぜ今も、あんな声を出す行事を毎年毎年し続けているのでしょうね。

1300年も続く古い行事には、謎がいっぱいです。


長谷寺のだだおし、これにて終了です。

長々と見ていただき、ありがとうございました。


それでは、イブちょのキリッと顔でしめましょう。




また来てにゃ~~~!!

長谷寺(奈良県)だだおし 1

2013-02-22 01:11:53 | 撮影散歩
ほっぺたのでんぼが痛くて気になるセツです(。-_-。)


バレンタインデーである2月14日、奈良県桜井市初瀬にある長谷寺へ行ってきました。

そんな行事があるなんてちっとも知らなかったのですが、友達が誘ってくれて、連れて行ってもらいました



この『だだおし』という行事は、節分の日から一週間、鬼さんに猶予を与えてから追う儀式だそうです。

なので、こちらでの節分の豆まきは「福は内」しか言わないそうです。


詳しいことは長くなるのでネットで調べていただくとして(すみません)、私が見たこの行事のお話をしたいと思います。

相変わらず写真の枚数が減らせなくて、申し訳ないです。


さて、行事本番の前に、参道などをぶらぶらしてみましょう。


ポスターが貼ってありました。




だだおしは、大和の代表的な火祭りのひとつだそうです。


古い建物がたくさん残る町並みを見ながら歩いていると。

さっそく素敵な出会いが。




猫ちゃん発見!!

なんともたくましいおみあし。

低い屋根の上をのしのしと歩いていました。

こちらを見下ろしてにゃー!




声はけっこう可愛かったです。

ここいらのボスかもしれません。


趣のある酒屋さんです。




吊るしてあるぼんぼりを見ると、すぐ酒屋だと分かります。


あ、そういえば、ここ初瀬は、昔話に出てくる『わらしべ長者』の町だそうです。

わらしべ長者がどうかお願いしますと観音様にお祈りするシーンがあるのですが、それはこのお寺に向かってなんですね。


そんなことが紹介されている観光案内所で、『出雲人形』が展示されていました。






かわいい、というか、なんというか……。

解説を読むと……。

あ、當麻寺で相撲のお話をしたときに出てきた野見宿禰(のみのすくね)の名前が!

垂仁天皇(すいにんてんのう)のお妃が亡くなられた際に、殉死(一緒に他の人間を埋めること)の代わりにこれを埋めてほしいと、野見宿禰が土で作った人形を勧めたそうです。

その土人形がこの出雲人形の原型だそうです。

もともとこの地の人たちが、埋められる役割だったのでしょう。

残酷な話です。

ちなみにこの初瀬のすぐそばの地名は『出雲』です。

出雲から呼び寄せられた野見宿禰、その通りでしたね。

野見宿禰と當麻寺のお話の記事はこちらです→野見宿禰と當麻寺のお話


ついつい歴史に絡めて考えてしまいますが、現代ではきっと、出雲人形を作る方々は、可愛いねぇと愛おしく思いながらひとつずつ作っておられると思います。


ひときわ古い建物を覗くと、お豆腐屋さんでした。




こういうところのお豆腐は、きっと水が綺麗で美味しいんだろうなぁ。


草餅のお店がいくつかありました。




お土産に5つ買って帰りました。

そのお店にいた、看板猫ちゃん。




寒いからか、ストーブの前で目を細めていました。

とってもつり目なところはイブちょに似ています。


昼食で入ったお店で、にゅうめんと胡麻豆腐をいただきました。




にゅうめんは、三輪素麺で有名な桜井市だけあって、さすがのお味。

そして胡麻豆腐はなんと、わさび醤油で!

これが美味しいのなんの!

口に入れた途端、身震いしちゃいましたよ。


さっぱりと美味しい昼食を終えて、ついに長谷寺に入って行きます。

門前の川には、可愛い赤い橋がかかっていました。




入口の門です。






彫刻が美しかったです。


そして、長谷寺と聞くとまず思い出すこの階段。




この景色が大好きです。

一段が低くて上がりやすく、長く屋根が続いているので、まるで回廊のようです。

ふと横を見ると、牡丹の花が雪で痛まないようにとかけられた傘が見えました。




優しいですね。


確かここ長谷寺は、牡丹でも有名だったと思います。


緩やかだけどだいぶ高低差があるので、みんなだんだん息が上がってきます。

足を止めて息を整え、また登っていきました。


今回はここまでです。

次回は、ついに、行事本番です。

またぜひ、見にきてにゃ~~~!




猫パンチ!